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想定外の告白
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殿下を見送るためにレストランの外まで出てくると、外はすっかり暗くなっていて、ライトアップされた庭園がとても美しく見えている。
「リーゼ。来る時は気付かなかったが、庭園の木に灯りがついていて、とても美しいな」
「ありがとうございます。
このレストランは元々は貴族の別邸でしたから美しい庭園がありましたので、夜に来られるお客様にも美しい庭園を見て欲しいと考え、庭園の木や花壇に光を放つ魔石を置くようにしたのです」
「すごい綺麗だ……」
殿下はライトアップされた庭園を気に入ってくれたようで、私は嬉しくなってしまった。
実は、これは私が前世で見たものをパクったもの。
この国には、主要な道沿いに街灯はあるけど、庭や建物などをライトアップする文化はなかった。
せっかく美しい庭園があるなら、夜にレストランに来られるお客様に楽しんでもらえるように庭園をライトアップしたら、絶対にうちのレストランの売りになるだろうと思った。
その話を商会長さんにしたら、仕事の早い商会長さんは外国から光を放つ魔石を取り寄せてくれたので、その魔石を使って試しにクリフォード公爵家の庭をライトアップしてみたら、お義父様とお義母様は気に入ってくれて、レストランの庭園にもやろうということに決まったのだ。
「リーゼ、庭園は入っても大丈夫なのか?」
「ええ。光の魔石があちこちに置いてあって暗くはないので大丈夫かと思います」
「……良かったら、二人で庭園を散歩してこないか?
少しでいいんだ。時間は取らせないから」
王弟殿下と二人で散歩かぁ……
このライトアップされた庭園を気に入ってくれたなら、少しくらいは大丈夫かな?
「ええ、せっかく来て頂いたのですからご案内致しますわ」
「リーゼ、ありがとう!」
嬉しそうに微笑んでいるなぁ。
王弟殿下が少しだけ可愛く見えてしまったのは内緒だ。
「暗くなってから、こうやって木や花を灯りで照らすと昼間とは違った雰囲気を楽しめるな」
「ええ。私もこの雰囲気が好きですわ」
「リーゼ……」
「はい?」
殿下は急に足を止める。
そして、私をジッと見つめた後……
「もう気付いていると思うが、私は……リーゼが好きだ」
「…………」
えっ、想定外の告白?
「リーゼが私を男として意識していないことは分かっているつもりだ。どうぜ私のことをクリスティーナの叔父くらいにしか思ってないだろう?」
うっ……、バレてた。
「私は君を諦めたくない。
私に頑張る機会をくれないか?」
「頑張る機会ですか?」
「ああ。最近忙しかったし、立場的になかなか行動できなかったが、それではいつまで経っても前に進めない。
これからは、遠慮なくいかせてもらう。
……いいね?」
「そんなことを言われても……」
恥ずかしくなってきた私は何と答えていいのか分からなかった。
「クリフォード公爵にも話はしてあるから問題はない」
なっ……! お義父様に話し済みですって?
だから今日、お義父様は私に一人で殿下の見送りをしてこいって言ったの?
もしかして外堀から埋めようとしている?
やっぱりこの人は腹黒だわ!
「でも、私には殿下のような高貴な身分の人とは釣り合いません」
「私は公爵だ。そしてリーゼは公爵令嬢……、何の問題もない。
ふっ! 困った顔も可愛いな……」
は? この腹黒は、中身がおばちゃんの私を可愛いって言ったの?
カァーって顔が熱くなる。
その時、額にチュッと何かが降ってきた……
「……」
今、おでこにキスされた……
腹黒は急に私との距離を詰めてきたようだった。
「リーゼが何を言っても私は諦めるつもりはないからな」
私は慣れないことをされて絶句しているのに、腹黒は夜空の星よりもキラキラした笑顔で私を見つめている……
その後、いつまでも戻らないと家族が心配するだろうと言われ、レストランの入り口まで殿下に付き添われて戻ってきた。
全然見送りになってないよね……
「リーゼ、近いうちに手紙をだす。
クリスティーナばかり構ってないで、私のことも見てくれ。
じゃあ、またな!」
その日の腹黒は最後までキラキラしていた。
「リーゼ。来る時は気付かなかったが、庭園の木に灯りがついていて、とても美しいな」
「ありがとうございます。
このレストランは元々は貴族の別邸でしたから美しい庭園がありましたので、夜に来られるお客様にも美しい庭園を見て欲しいと考え、庭園の木や花壇に光を放つ魔石を置くようにしたのです」
「すごい綺麗だ……」
殿下はライトアップされた庭園を気に入ってくれたようで、私は嬉しくなってしまった。
実は、これは私が前世で見たものをパクったもの。
この国には、主要な道沿いに街灯はあるけど、庭や建物などをライトアップする文化はなかった。
せっかく美しい庭園があるなら、夜にレストランに来られるお客様に楽しんでもらえるように庭園をライトアップしたら、絶対にうちのレストランの売りになるだろうと思った。
その話を商会長さんにしたら、仕事の早い商会長さんは外国から光を放つ魔石を取り寄せてくれたので、その魔石を使って試しにクリフォード公爵家の庭をライトアップしてみたら、お義父様とお義母様は気に入ってくれて、レストランの庭園にもやろうということに決まったのだ。
「リーゼ、庭園は入っても大丈夫なのか?」
「ええ。光の魔石があちこちに置いてあって暗くはないので大丈夫かと思います」
「……良かったら、二人で庭園を散歩してこないか?
少しでいいんだ。時間は取らせないから」
王弟殿下と二人で散歩かぁ……
このライトアップされた庭園を気に入ってくれたなら、少しくらいは大丈夫かな?
「ええ、せっかく来て頂いたのですからご案内致しますわ」
「リーゼ、ありがとう!」
嬉しそうに微笑んでいるなぁ。
王弟殿下が少しだけ可愛く見えてしまったのは内緒だ。
「暗くなってから、こうやって木や花を灯りで照らすと昼間とは違った雰囲気を楽しめるな」
「ええ。私もこの雰囲気が好きですわ」
「リーゼ……」
「はい?」
殿下は急に足を止める。
そして、私をジッと見つめた後……
「もう気付いていると思うが、私は……リーゼが好きだ」
「…………」
えっ、想定外の告白?
「リーゼが私を男として意識していないことは分かっているつもりだ。どうぜ私のことをクリスティーナの叔父くらいにしか思ってないだろう?」
うっ……、バレてた。
「私は君を諦めたくない。
私に頑張る機会をくれないか?」
「頑張る機会ですか?」
「ああ。最近忙しかったし、立場的になかなか行動できなかったが、それではいつまで経っても前に進めない。
これからは、遠慮なくいかせてもらう。
……いいね?」
「そんなことを言われても……」
恥ずかしくなってきた私は何と答えていいのか分からなかった。
「クリフォード公爵にも話はしてあるから問題はない」
なっ……! お義父様に話し済みですって?
だから今日、お義父様は私に一人で殿下の見送りをしてこいって言ったの?
もしかして外堀から埋めようとしている?
やっぱりこの人は腹黒だわ!
「でも、私には殿下のような高貴な身分の人とは釣り合いません」
「私は公爵だ。そしてリーゼは公爵令嬢……、何の問題もない。
ふっ! 困った顔も可愛いな……」
は? この腹黒は、中身がおばちゃんの私を可愛いって言ったの?
カァーって顔が熱くなる。
その時、額にチュッと何かが降ってきた……
「……」
今、おでこにキスされた……
腹黒は急に私との距離を詰めてきたようだった。
「リーゼが何を言っても私は諦めるつもりはないからな」
私は慣れないことをされて絶句しているのに、腹黒は夜空の星よりもキラキラした笑顔で私を見つめている……
その後、いつまでも戻らないと家族が心配するだろうと言われ、レストランの入り口まで殿下に付き添われて戻ってきた。
全然見送りになってないよね……
「リーゼ、近いうちに手紙をだす。
クリスティーナばかり構ってないで、私のことも見てくれ。
じゃあ、またな!」
その日の腹黒は最後までキラキラしていた。
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