91 / 106
連載
伝えたかったこと
しおりを挟む
スタンフィールド侯爵様と話をしていると、義兄が私を呼ぶ声が聞こえる。
もしかして、私が困っていることに気付いてくれた?
さすが偏屈、私のお義兄様!
「スタンフィールド侯爵閣下、お話中に申し訳ありません。義妹に用がありまして……」
「ええ、どうぞ」
侯爵様は人当たりの良い人だけあって、笑顔で退いてくれる。
「ありがとうございます。
エリーゼ。レンフィールド公爵閣下が先程到着されて、父上がエリーゼを呼んでいる。料理の説明をして欲しいそうだ。」
義兄は助けにきてくれたのではなく、普通に用があって呼びに来てくれただけのようだった。
しかし……、レンフィールド公爵って誰だっけ?
「レンフィールド公爵様……?」
「王弟殿下のことだ。今日のパーティーは伯爵家より上の爵位の方はみんな招待しているから、公爵位を持つ王弟殿下も来て下さったようだ」
普段はみんな王弟殿下と呼んでいるけど、公爵だったのね。
「はは……そうでしたか」
「父上と王弟殿下が待っているから、今すぐ来るように」
「あ、はい……
スタンフィールド侯爵様、失礼します」
「ええ。また今度……」
義兄の後ろについて行くと、お義父様と王弟殿下が会話をしている姿が見える。
王弟殿下って、こういうパーティーに来るんだー! 意外だわ。
「エリーゼ。王弟殿下が来て下さったから、エリーゼがテーブルに案内して料理の説明をしてあげなさい。
殿下、せっかくなので色々召し上がっていって下さい」
いつもお世話になっている王弟殿下には、私が接待しろという命令のようだ。
しょうがないか……。私のために遠い異国にまで探しに行ってくれたり、迎えにまで来てくれた人なんだから。
「クリフォード公爵、感謝する。
リーゼ、久しぶりだな!」
「王弟殿下、ご無沙汰しておりました。
今日は来て下さってありがとうございます。
こちらにどうぞ」
「ああ……」
立食式のパーティーでのんびり座れないから、落ち着いて食べれないかもなぁ。
この人はキラキラしているから、いるだけで目立つだろうし。
「王弟殿下、お好きな料理をお選び下さいませ。
私がお取りしましょう」
ビュッフェなので、料理がたくさん並んでいて、好きな物を自由にとる形式にしている。
「リーゼのオススメの物が食べたいから選んでくれるか?」
「畏まりました。では殿下のお好きなハンバーグとオススメのライスコロッケにピザと、エビマヨとサラダと……
とりあえず、これくらいでいいでしょうか?」
どの料理もミニサイズの大きさだから大丈夫だよね?
「ありがとう。どれも美味しそうだな」
料理を選び終わり、二人でテーブルに移動する。
何だか色々な人にチラチラ見られていて居心地が悪いなぁ。
「リーゼ。この丸いコロッケ、すごく美味しい。
エビも白いソースと合うな! こんな美味しいものは初めて食べた。今日は来て良かったよ」
王弟殿下は本当に美味しそうに食べてくれている……
美味しいって言われたら嬉しくなるよね。
「ありがとうございます。
良かったら、王女殿下と食べに来て下さいね。
個室がありますから、ゆっくり食事が出来ると思いますわ」
「ああ。クリスティーナを連れて来るよ」
王弟殿下はいつもは腹黒っぽい顔をしているくせに、ティーナのことを話す時だけは優しい目をしている。
本当に可愛がってくれているのね……
「殿下……、ずっと伝えたかったのですが……」
「リーゼ、急に真顔になってどうかしたか?」
「…… ニューギ国まで行って下さったと聞きました。
ずっとお礼を伝えたかったのです。ありがとうございました」
王弟殿下は行方不明になった私を探すため、ニューギ国まで行ってくれたのに、私はまだお礼を伝えることが出来ないでいたので、いつか伝えたいと思っていた。
「……知っていたのか? 私が勝手に行っただけだから気にするな。
あの時はなかなか見つからなくて絶望したが、今はこうやってリーゼと一緒に食事ができている。
私はしあ……」
「殿下、飲み物をお持ちしました。
何を召し上がりますか?」
話の途中だったけど、義兄と飲み物をトレイに乗せたウェイターが来てくれたようだ。
もしかして、私が困っていることに気付いてくれた?
さすが偏屈、私のお義兄様!
「スタンフィールド侯爵閣下、お話中に申し訳ありません。義妹に用がありまして……」
「ええ、どうぞ」
侯爵様は人当たりの良い人だけあって、笑顔で退いてくれる。
「ありがとうございます。
エリーゼ。レンフィールド公爵閣下が先程到着されて、父上がエリーゼを呼んでいる。料理の説明をして欲しいそうだ。」
義兄は助けにきてくれたのではなく、普通に用があって呼びに来てくれただけのようだった。
しかし……、レンフィールド公爵って誰だっけ?
「レンフィールド公爵様……?」
「王弟殿下のことだ。今日のパーティーは伯爵家より上の爵位の方はみんな招待しているから、公爵位を持つ王弟殿下も来て下さったようだ」
普段はみんな王弟殿下と呼んでいるけど、公爵だったのね。
「はは……そうでしたか」
「父上と王弟殿下が待っているから、今すぐ来るように」
「あ、はい……
スタンフィールド侯爵様、失礼します」
「ええ。また今度……」
義兄の後ろについて行くと、お義父様と王弟殿下が会話をしている姿が見える。
王弟殿下って、こういうパーティーに来るんだー! 意外だわ。
「エリーゼ。王弟殿下が来て下さったから、エリーゼがテーブルに案内して料理の説明をしてあげなさい。
殿下、せっかくなので色々召し上がっていって下さい」
いつもお世話になっている王弟殿下には、私が接待しろという命令のようだ。
しょうがないか……。私のために遠い異国にまで探しに行ってくれたり、迎えにまで来てくれた人なんだから。
「クリフォード公爵、感謝する。
リーゼ、久しぶりだな!」
「王弟殿下、ご無沙汰しておりました。
今日は来て下さってありがとうございます。
こちらにどうぞ」
「ああ……」
立食式のパーティーでのんびり座れないから、落ち着いて食べれないかもなぁ。
この人はキラキラしているから、いるだけで目立つだろうし。
「王弟殿下、お好きな料理をお選び下さいませ。
私がお取りしましょう」
ビュッフェなので、料理がたくさん並んでいて、好きな物を自由にとる形式にしている。
「リーゼのオススメの物が食べたいから選んでくれるか?」
「畏まりました。では殿下のお好きなハンバーグとオススメのライスコロッケにピザと、エビマヨとサラダと……
とりあえず、これくらいでいいでしょうか?」
どの料理もミニサイズの大きさだから大丈夫だよね?
「ありがとう。どれも美味しそうだな」
料理を選び終わり、二人でテーブルに移動する。
何だか色々な人にチラチラ見られていて居心地が悪いなぁ。
「リーゼ。この丸いコロッケ、すごく美味しい。
エビも白いソースと合うな! こんな美味しいものは初めて食べた。今日は来て良かったよ」
王弟殿下は本当に美味しそうに食べてくれている……
美味しいって言われたら嬉しくなるよね。
「ありがとうございます。
良かったら、王女殿下と食べに来て下さいね。
個室がありますから、ゆっくり食事が出来ると思いますわ」
「ああ。クリスティーナを連れて来るよ」
王弟殿下はいつもは腹黒っぽい顔をしているくせに、ティーナのことを話す時だけは優しい目をしている。
本当に可愛がってくれているのね……
「殿下……、ずっと伝えたかったのですが……」
「リーゼ、急に真顔になってどうかしたか?」
「…… ニューギ国まで行って下さったと聞きました。
ずっとお礼を伝えたかったのです。ありがとうございました」
王弟殿下は行方不明になった私を探すため、ニューギ国まで行ってくれたのに、私はまだお礼を伝えることが出来ないでいたので、いつか伝えたいと思っていた。
「……知っていたのか? 私が勝手に行っただけだから気にするな。
あの時はなかなか見つからなくて絶望したが、今はこうやってリーゼと一緒に食事ができている。
私はしあ……」
「殿下、飲み物をお持ちしました。
何を召し上がりますか?」
話の途中だったけど、義兄と飲み物をトレイに乗せたウェイターが来てくれたようだ。
31
お気に入りに追加
9,745
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。
レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。
【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。
そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。