90 / 106
連載
レセプションパーティー
しおりを挟む
お義父様とお義母様によるレストランの出店計画は順調に進み、開店に向けての準備を無事に終える。
そして、今日は貴族向けに店のお披露目を兼ねてのレセプションパーティーを開催することになった。
パーティーに行く準備を終えた私が、時間に煩い義兄と一緒に玄関ホールでお義母様たちを待っていた時……
「リーゼ。準備は出来ているかしら?
まあ! 今日のドレスも素敵ね。さすが、ウォーカー商会のドレスだわ!
今日のパーティーではいい出会いがあるかもしれないから、しっかりやるのよ。
オスカーとつるむのは程々にしなさい。良縁が遠のいてしまうから気をつけるのよ」
「えっ? お義母様、それはちょっと……」
お義母様は、このパーティーの準備に力を入れていたので、今日も朝から張り切っている。
しかし偏屈義兄がいる目の前で、はっきりと良縁が遠のくって言わなくても……
義兄は、面倒な貴族を避けるのに最高の盾になってくれるんだから。
「オスカー。貴方もリーゼばかり構ってないで、年頃の御令嬢と仲良くなってきなさいね」
うわー! 出発前に親子喧嘩になりそうな雰囲気だわ。何とかしないと……
「……お義母様、今日は忙しくなるので早めに出発しませんか?
レストランでお客様をお出迎えしなくてはいけませんよね?」
「エリーゼ、母上の言うことは気にするな。
私達は先に出発しよう。母上は父上と二人で来るだろうからな」
義兄は、今さらお義母様に何を言われても気にしないらしい。やっぱり偏屈って強いわ……
レストランの場所は、王宮から馬車で五分くらいのところにある。
売りに出ていた貴族の別邸を豪華なレストランにリノベーションしたものだ。
店の中は広めの個室をたくさん作って、子連れでも利用しやすい店にしてもらった。
メニューがハンバーグやコロッケ、ピザやオムライスなど子供が好きになってくれそうな物が多いから、ぜひ親子で利用してもらいたいと思っている。
今日は義両親と義兄と私の友人たちの他に、同じ派閥の貴族を招待している。更に義両親は、伯爵家以上の高位貴族にも招待状を送ったらしい。ということは、敵対する派閥の仲良くない人たちも来るから、非常に面倒なパーティーになるという予想が出来る。
時間になると招待客が続々とやってくる。
義両親の動きを見ていると、パーティーの主催者って大変だなぁと思う。次から次へと来るゲストに当たり障りなく挨拶するお義父様とお義母様は凄いわ。
それとは別の所では、義兄が自分の友人や同僚らしき人たちに挨拶していて忙しそうだ。令嬢には嫌われている義兄だけど、同性の友人は普通にいるんだよね。
「エリーゼ、ちょっといいか?」
「……はい、お義兄様」
少し離れた所にいる義兄から、急に呼ばれる。
「こちらは、私と同じ部署で働く同僚たちだ」
そこには優等生風の男性が三人いた。
義兄みたいに偏屈ではなさそうだけど、『僕たち頭良いんで』みたいな雰囲気を出している人たち。
「エリーゼ・クリフォードです。
いつも義兄がお世話になっております」
「君がクリフォード卿の大切にしている義妹君か……
全く似てないな」
「よろしく。私達はクリフォード卿と同じ部署で働いている者だ」
「エリーゼ、一言挨拶したからもう戻っていい」
「えっ?」
「みんな、お前を一目見たかっただけだからもう大丈夫だ。
エリーゼの友人の令嬢が来たみたいだから、行っていい」
「あっ! そのようですね。少し行ってきますわ。
皆様、今日は楽しんでいって下さいね。失礼します」
その後、友人の令嬢たちをおもてなししたり、お義母様やお義父様の友人を紹介して頂いたり、お客様たちにレストランのメニューの説明をしたりと、思った以上に忙しい。
ハァー……、ちょっと休憩したいかも。
その時、横から話しかけられる。
「クリフォード公爵令嬢。今日はお招きありがとうございます」
うっ、この声は……
「スタンフィールド侯爵様。今日は来て下さってありがとうございます」
義兄から気を付けろと言われたから、ちょっとだけ気まずいなぁ。でも、今日も素敵だわ。
「色々な料理を頂きましたが、どれも素晴らしかったです。
あのピザというチーズの料理は、うちのサイラスが気に入りそうですので、レストランがオープンしたらぜひサイラスを連れて来たいですね」
「ありがとうございます。とても嬉しいですわ。
ご子息のお土産にピザを用意しておきますので、帰りにぜひお持ち帰り下さい。
食べる時は、料理人にフライパンで温めてもらって下さいね。蓋をして、チーズがとろけるくらいまで温めれば美味しく食べれますから」
「そこまでして頂くわけには行きませんよ」
「邸で侯爵様を待っているご子息に、私からプレゼントしたいのですわ」
「……ありがとう。そのことをサイラスに伝えたら、きっと喜ぶでしょう。
機会があったら、またうちのサイラスに会って下さい」
「ええ。お会い出来る日を楽しみにしておりますわ」
サイラス君は可愛い男の子だったよね。
でも、息子に会って欲しいってどういうこと?
ちょっと警戒してしまうよ……
そして、今日は貴族向けに店のお披露目を兼ねてのレセプションパーティーを開催することになった。
パーティーに行く準備を終えた私が、時間に煩い義兄と一緒に玄関ホールでお義母様たちを待っていた時……
「リーゼ。準備は出来ているかしら?
まあ! 今日のドレスも素敵ね。さすが、ウォーカー商会のドレスだわ!
今日のパーティーではいい出会いがあるかもしれないから、しっかりやるのよ。
オスカーとつるむのは程々にしなさい。良縁が遠のいてしまうから気をつけるのよ」
「えっ? お義母様、それはちょっと……」
お義母様は、このパーティーの準備に力を入れていたので、今日も朝から張り切っている。
しかし偏屈義兄がいる目の前で、はっきりと良縁が遠のくって言わなくても……
義兄は、面倒な貴族を避けるのに最高の盾になってくれるんだから。
「オスカー。貴方もリーゼばかり構ってないで、年頃の御令嬢と仲良くなってきなさいね」
うわー! 出発前に親子喧嘩になりそうな雰囲気だわ。何とかしないと……
「……お義母様、今日は忙しくなるので早めに出発しませんか?
レストランでお客様をお出迎えしなくてはいけませんよね?」
「エリーゼ、母上の言うことは気にするな。
私達は先に出発しよう。母上は父上と二人で来るだろうからな」
義兄は、今さらお義母様に何を言われても気にしないらしい。やっぱり偏屈って強いわ……
レストランの場所は、王宮から馬車で五分くらいのところにある。
売りに出ていた貴族の別邸を豪華なレストランにリノベーションしたものだ。
店の中は広めの個室をたくさん作って、子連れでも利用しやすい店にしてもらった。
メニューがハンバーグやコロッケ、ピザやオムライスなど子供が好きになってくれそうな物が多いから、ぜひ親子で利用してもらいたいと思っている。
今日は義両親と義兄と私の友人たちの他に、同じ派閥の貴族を招待している。更に義両親は、伯爵家以上の高位貴族にも招待状を送ったらしい。ということは、敵対する派閥の仲良くない人たちも来るから、非常に面倒なパーティーになるという予想が出来る。
時間になると招待客が続々とやってくる。
義両親の動きを見ていると、パーティーの主催者って大変だなぁと思う。次から次へと来るゲストに当たり障りなく挨拶するお義父様とお義母様は凄いわ。
それとは別の所では、義兄が自分の友人や同僚らしき人たちに挨拶していて忙しそうだ。令嬢には嫌われている義兄だけど、同性の友人は普通にいるんだよね。
「エリーゼ、ちょっといいか?」
「……はい、お義兄様」
少し離れた所にいる義兄から、急に呼ばれる。
「こちらは、私と同じ部署で働く同僚たちだ」
そこには優等生風の男性が三人いた。
義兄みたいに偏屈ではなさそうだけど、『僕たち頭良いんで』みたいな雰囲気を出している人たち。
「エリーゼ・クリフォードです。
いつも義兄がお世話になっております」
「君がクリフォード卿の大切にしている義妹君か……
全く似てないな」
「よろしく。私達はクリフォード卿と同じ部署で働いている者だ」
「エリーゼ、一言挨拶したからもう戻っていい」
「えっ?」
「みんな、お前を一目見たかっただけだからもう大丈夫だ。
エリーゼの友人の令嬢が来たみたいだから、行っていい」
「あっ! そのようですね。少し行ってきますわ。
皆様、今日は楽しんでいって下さいね。失礼します」
その後、友人の令嬢たちをおもてなししたり、お義母様やお義父様の友人を紹介して頂いたり、お客様たちにレストランのメニューの説明をしたりと、思った以上に忙しい。
ハァー……、ちょっと休憩したいかも。
その時、横から話しかけられる。
「クリフォード公爵令嬢。今日はお招きありがとうございます」
うっ、この声は……
「スタンフィールド侯爵様。今日は来て下さってありがとうございます」
義兄から気を付けろと言われたから、ちょっとだけ気まずいなぁ。でも、今日も素敵だわ。
「色々な料理を頂きましたが、どれも素晴らしかったです。
あのピザというチーズの料理は、うちのサイラスが気に入りそうですので、レストランがオープンしたらぜひサイラスを連れて来たいですね」
「ありがとうございます。とても嬉しいですわ。
ご子息のお土産にピザを用意しておきますので、帰りにぜひお持ち帰り下さい。
食べる時は、料理人にフライパンで温めてもらって下さいね。蓋をして、チーズがとろけるくらいまで温めれば美味しく食べれますから」
「そこまでして頂くわけには行きませんよ」
「邸で侯爵様を待っているご子息に、私からプレゼントしたいのですわ」
「……ありがとう。そのことをサイラスに伝えたら、きっと喜ぶでしょう。
機会があったら、またうちのサイラスに会って下さい」
「ええ。お会い出来る日を楽しみにしておりますわ」
サイラス君は可愛い男の子だったよね。
でも、息子に会って欲しいってどういうこと?
ちょっと警戒してしまうよ……
32
お気に入りに追加
9,704
あなたにおすすめの小説

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。