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ダンス
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最近は偏屈義兄としかダンスを踊っていなかったので、ローランドとのダンスはとても新鮮な気持ちになれた。
「クリフォード嬢とこうやってダンスが出来ることを嬉しく思っている。
あの女のせいで君が怪我をしたと聞いた時は、目の前が真っ暗になった。
怪我で療養が長引くにつれ、君にずっと会えないのではと不安になったが、元気になって戻って来てくれて本当に嬉しかった。」
私がグーム国でそれなりに楽しく生活していた時に、何も知らないローランドはここまで心配してくれていたんだね。
優しいローランドにジーンときてしまった……
「オルダー伯爵様、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。
私もこうやって伯爵様と一緒にダンスを踊れるようになれて幸せです。
これからもどうぞよろしくお願い致します。」
「私も幸せだ。これからもよろしく。」
和やかな雰囲気で会話をしていると、あっという間に曲が終わる。
これは偏屈義兄とのダンスではあり得ないことだと思う。
ダンスを踊り終え、ホールの中央から壁側に移動した瞬間……
「オルダー伯爵様、次は私と踊って頂けませんか?」
可愛い令嬢が頬を赤くして、ローランドをダンスに誘っている。
「申し訳ない。私はこの後は……」
「伯爵様。私は近くで待っておりますから、御令嬢とぜひダンスを踊ってあげて下さいませ。」
令嬢が必死になってダンスに誘う姿がいじらしくて、中身がおばちゃんの私は応援したくなってしまった。
私、可愛い子に弱いのだと思う。
「せっかく君のパートナーできているのだから、もっと二人で話がしたかったのだが……
では一曲だけ踊ったらすぐに戻ってくるから、待っててくれないか?」
「はい。待ってますから大丈夫ですわ。」
「すまない……」
「オルダー伯爵様、クリフォード公爵令嬢、ありがとうございます!」
この令嬢は、本当に嬉しそうに微笑むんだね。
可愛いなぁ……
二人の後ろ姿を見ていると、横から声を掛けられる。
「クリフォード公爵令嬢。私と踊って頂けませんか?」
よく知らない令息だったから断ると、また違う令息に声を掛けられる。
断っても断っても、よく分からない令息からダンスに誘われて、断ることすら面倒になっていた。
偏屈義兄がいないと、財産狙いのような令息たちがこうやって近付いてくるのね……
「クリフォード公爵令嬢。良かったら、私とのダンスに付き合ってくれませんか?」
声の主はスタンフィールド侯爵様だった。
この人なら落ち着いているし、ダンスを踊るくらいはいいかなぁ。ここにただ立っていると、また知らない令息に話しかけられて面倒だし。
「スタンフィールド侯爵様、よろしくお願い致します。」
侯爵様のエスコートはさすがだった。年上らしく令嬢の扱いに慣れているのが分かるし、所作も綺麗。そしてダンスもお上手だった。
これはさぞやモテるだろうなぁ……
若い令息にありがちなガツガツした感じがなくて、大人の余裕みたいなものがあるし、一緒にいても苦痛にならない。
若い令嬢たちはローランドや王弟殿下を狙う人が多いけど、スタンフィールド侯爵様はそれより少し年上の若い夫人たちからモテるタイプだと思う。
「令息たちはクリフォード公爵令嬢にお近づきになりたくて、みんな貴女を見つめていますね。」
「私個人と仲良くなりたいのではなく、クリフォード公爵家と仲良くなりたいのでしょうね。
困りましたわ……」
「そんなことはないかと。
ただ、さっきの様子を見ると私とのダンスが終わったら、また色々な令息が貴女に近づいてくるでしょう。
オルダー伯爵が戻るまで私が側にいることを許していただけませんか?」
気遣いのできる人なのね。
「ありがとうございます。お気遣いに感謝いたしますわ。」
侯爵様とのダンスが終わると、予想通りにまた令息たちからダンスのお誘いを受ける。
しつこくされて、私の顔は引きつっていたと思う。でもそんな時、侯爵様がさり気なく助けてくれたから良かった。
「クリフォード嬢。待たせてしまって申し訳なかった。」
侯爵様と話をしている時に、やっとローランドが戻ってきてくれた。
始めにダンスに誘ってきた令嬢と踊り終えた後に、強引な令嬢数人に捕まっていたようだった。
モテる男の試練みたいなものだね。
「いえ。スタンフィールド侯爵様が私にお付き合いしてくださったので、大丈夫でしたわ。」
「クリフォード公爵令嬢。貴女のパートナーが戻られたので、私はこれで失礼します。
今日は貴女とご一緒できたことに感謝します。
それではまた。」
うーん……。やっぱり大人だなぁ。
「侯爵様、素敵な時間をありがとうございました。
ご機嫌よう。」
その後、ローランドとゆっくり話をしようかと思っても、ローランドを狙う令嬢やクリフォード公爵家と仲良くなりたい令息が来たりして、夜会の会場で二人きりでじっくり話すことは出来なかった。
ローランドには何の不満もないけど、義兄のありがたみを痛感した夜会だった。
「クリフォード嬢とこうやってダンスが出来ることを嬉しく思っている。
あの女のせいで君が怪我をしたと聞いた時は、目の前が真っ暗になった。
怪我で療養が長引くにつれ、君にずっと会えないのではと不安になったが、元気になって戻って来てくれて本当に嬉しかった。」
私がグーム国でそれなりに楽しく生活していた時に、何も知らないローランドはここまで心配してくれていたんだね。
優しいローランドにジーンときてしまった……
「オルダー伯爵様、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。
私もこうやって伯爵様と一緒にダンスを踊れるようになれて幸せです。
これからもどうぞよろしくお願い致します。」
「私も幸せだ。これからもよろしく。」
和やかな雰囲気で会話をしていると、あっという間に曲が終わる。
これは偏屈義兄とのダンスではあり得ないことだと思う。
ダンスを踊り終え、ホールの中央から壁側に移動した瞬間……
「オルダー伯爵様、次は私と踊って頂けませんか?」
可愛い令嬢が頬を赤くして、ローランドをダンスに誘っている。
「申し訳ない。私はこの後は……」
「伯爵様。私は近くで待っておりますから、御令嬢とぜひダンスを踊ってあげて下さいませ。」
令嬢が必死になってダンスに誘う姿がいじらしくて、中身がおばちゃんの私は応援したくなってしまった。
私、可愛い子に弱いのだと思う。
「せっかく君のパートナーできているのだから、もっと二人で話がしたかったのだが……
では一曲だけ踊ったらすぐに戻ってくるから、待っててくれないか?」
「はい。待ってますから大丈夫ですわ。」
「すまない……」
「オルダー伯爵様、クリフォード公爵令嬢、ありがとうございます!」
この令嬢は、本当に嬉しそうに微笑むんだね。
可愛いなぁ……
二人の後ろ姿を見ていると、横から声を掛けられる。
「クリフォード公爵令嬢。私と踊って頂けませんか?」
よく知らない令息だったから断ると、また違う令息に声を掛けられる。
断っても断っても、よく分からない令息からダンスに誘われて、断ることすら面倒になっていた。
偏屈義兄がいないと、財産狙いのような令息たちがこうやって近付いてくるのね……
「クリフォード公爵令嬢。良かったら、私とのダンスに付き合ってくれませんか?」
声の主はスタンフィールド侯爵様だった。
この人なら落ち着いているし、ダンスを踊るくらいはいいかなぁ。ここにただ立っていると、また知らない令息に話しかけられて面倒だし。
「スタンフィールド侯爵様、よろしくお願い致します。」
侯爵様のエスコートはさすがだった。年上らしく令嬢の扱いに慣れているのが分かるし、所作も綺麗。そしてダンスもお上手だった。
これはさぞやモテるだろうなぁ……
若い令息にありがちなガツガツした感じがなくて、大人の余裕みたいなものがあるし、一緒にいても苦痛にならない。
若い令嬢たちはローランドや王弟殿下を狙う人が多いけど、スタンフィールド侯爵様はそれより少し年上の若い夫人たちからモテるタイプだと思う。
「令息たちはクリフォード公爵令嬢にお近づきになりたくて、みんな貴女を見つめていますね。」
「私個人と仲良くなりたいのではなく、クリフォード公爵家と仲良くなりたいのでしょうね。
困りましたわ……」
「そんなことはないかと。
ただ、さっきの様子を見ると私とのダンスが終わったら、また色々な令息が貴女に近づいてくるでしょう。
オルダー伯爵が戻るまで私が側にいることを許していただけませんか?」
気遣いのできる人なのね。
「ありがとうございます。お気遣いに感謝いたしますわ。」
侯爵様とのダンスが終わると、予想通りにまた令息たちからダンスのお誘いを受ける。
しつこくされて、私の顔は引きつっていたと思う。でもそんな時、侯爵様がさり気なく助けてくれたから良かった。
「クリフォード嬢。待たせてしまって申し訳なかった。」
侯爵様と話をしている時に、やっとローランドが戻ってきてくれた。
始めにダンスに誘ってきた令嬢と踊り終えた後に、強引な令嬢数人に捕まっていたようだった。
モテる男の試練みたいなものだね。
「いえ。スタンフィールド侯爵様が私にお付き合いしてくださったので、大丈夫でしたわ。」
「クリフォード公爵令嬢。貴女のパートナーが戻られたので、私はこれで失礼します。
今日は貴女とご一緒できたことに感謝します。
それではまた。」
うーん……。やっぱり大人だなぁ。
「侯爵様、素敵な時間をありがとうございました。
ご機嫌よう。」
その後、ローランドとゆっくり話をしようかと思っても、ローランドを狙う令嬢やクリフォード公爵家と仲良くなりたい令息が来たりして、夜会の会場で二人きりでじっくり話すことは出来なかった。
ローランドには何の不満もないけど、義兄のありがたみを痛感した夜会だった。
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