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失敗したお見合い
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レストランを経営することが決まると、また忙しい日々が始まる。
店舗の場所を選んだり、メニューを考えたり、従業員を募集したり……。お義父様やお義母様に頼りっぱなしにするわけにはいかないので、自分でも勢力的に動くようにするが、結構大変だったりする。
「エリーゼ……。お前のことだから父上や母上に悪いとか考えて、何でも自分でやろうとしているのだろうがそんな気は使わなくていい。
元々、エリーゼよりも両親がやりたくて言い出したことなんだ。レストランのことはあの二人にやらせろ!」
あの二人にやらせろだなんて、凄いことを言うよね。
偏屈は最強だよ……
「お義兄様。色々心配して下さるのは嬉しいのですが、私は自分の大切な仕事だと思ってしっかりやりたいのです。」
「レストラン経営はエリーゼの仕事というより、両親の道楽だ。
二人には私から話しておくから、お前はメニューを考えることに集中すべきだ。
料理を考えるのはエリーゼしか出来ないことだが、他のことは父上と母上か側近達でも出来る。」
「……はぁ。分かりました。」
義兄は義両親にそのことを伝えたらしく、私はメニューを考えることに専念することになった。
お義父様とお義母様は、自分達好みのレストランにしたいという思いがあったらしく、快く引き受けてくれた。
二人で仲良く内装の話などをしている姿を見ると、義兄の言う通り、義両親にお願いして良かったと思う。
ある日、義兄が仕事でいない日に義両親と三人でお茶をすることになる。
「オスカーは、エリーゼのことになると口煩くなるな。
エリーゼに対して、つらく当たったり嫌悪感をあらわにしたりしたら困ると思っていたが、煩く口を出してくるのも問題だ。」
「二人だけの義兄妹だから仲良くしてくれるのは嬉しいけど、オスカーは極端で困るわよ。
リーゼの縁談の邪魔ばかりするんだもの。」
「お義父様もお義母様も心配しすぎですわ。
お義兄様なりに私を気遣ってくれているのです。
根はとても優しい方ですのよ。それよりもここだけの話なのですが、お義兄様に縁談の話はこないのでしょうか?
一応、公爵家の跡取りですし、黙っていれば素敵なのですから、そんな話があってもいいはずですが。」
「リーゼ。オスカーは黙っていられないからダメなのよ……」
「えっ?」
「実は過去に縁談話は沢山来ていたから、良さそうな家門の令嬢とお見合いみたいに顔合わせをさせてみたんだ。
でも態度は酷いし、冷たいことばかり口にするから泣き出す令嬢が続出したんだ。
だから私達は考えた……。あのオスカーに負けない令嬢ならいいかもしれないとな。
しかし、気の強い令嬢とは皮肉を言い合ったり、本気の口喧嘩に発展して……もうオスカーの顔すら見たくないと言われてしまった。」
「……」
私が思っている以上にあの偏屈はやらかしているようだ。
そういえば、かなり前にマクファーデン公爵令嬢と対峙した時も凄かったよね。
公爵令嬢相手にあの態度なんだから、他の令嬢にはもっと凄かったんだろうなぁ。
「そんなオスカーに縁談話を持ってくるような家の令嬢にまともな人はいないのよ。みんな訳ありなの。
訳あり令嬢を妻として迎えて揉めるくらいなら、無理に結婚なんてしないで、親戚から養子でも迎えた方がいいだろうって考えに至ったのよ。
だから、リーゼはうちの希望の光だと思っているわ。
どっかの無難な二男あたりと結婚してもらって、子供を何人か産んで欲しいのよ。
リーゼがここで生活したいと言ってくれるなら、離れの邸を立て替えてあげでもいいわよ。そこにリーゼの旦那様と住むといいわ。子供ができたら、私達もすぐに孫の顔を見にいけるし。」
「……確かにその方がいいな。エリーゼも他所に行くよりうちにいる方が気楽でいいだろう?」
うーん……。有り難い提案ではあるけれど、そんな都合のいい人がいるようには思えない。
「考えてはみますが、なかなか相手が見つからないと思いますわ。」
「もう! のんびりしていたら、あっという間に歳をとってしまうわよ。」
「それは分かっておりますわ。」
前世であっという間に歳をとった経験がありますからね。
店舗の場所を選んだり、メニューを考えたり、従業員を募集したり……。お義父様やお義母様に頼りっぱなしにするわけにはいかないので、自分でも勢力的に動くようにするが、結構大変だったりする。
「エリーゼ……。お前のことだから父上や母上に悪いとか考えて、何でも自分でやろうとしているのだろうがそんな気は使わなくていい。
元々、エリーゼよりも両親がやりたくて言い出したことなんだ。レストランのことはあの二人にやらせろ!」
あの二人にやらせろだなんて、凄いことを言うよね。
偏屈は最強だよ……
「お義兄様。色々心配して下さるのは嬉しいのですが、私は自分の大切な仕事だと思ってしっかりやりたいのです。」
「レストラン経営はエリーゼの仕事というより、両親の道楽だ。
二人には私から話しておくから、お前はメニューを考えることに集中すべきだ。
料理を考えるのはエリーゼしか出来ないことだが、他のことは父上と母上か側近達でも出来る。」
「……はぁ。分かりました。」
義兄は義両親にそのことを伝えたらしく、私はメニューを考えることに専念することになった。
お義父様とお義母様は、自分達好みのレストランにしたいという思いがあったらしく、快く引き受けてくれた。
二人で仲良く内装の話などをしている姿を見ると、義兄の言う通り、義両親にお願いして良かったと思う。
ある日、義兄が仕事でいない日に義両親と三人でお茶をすることになる。
「オスカーは、エリーゼのことになると口煩くなるな。
エリーゼに対して、つらく当たったり嫌悪感をあらわにしたりしたら困ると思っていたが、煩く口を出してくるのも問題だ。」
「二人だけの義兄妹だから仲良くしてくれるのは嬉しいけど、オスカーは極端で困るわよ。
リーゼの縁談の邪魔ばかりするんだもの。」
「お義父様もお義母様も心配しすぎですわ。
お義兄様なりに私を気遣ってくれているのです。
根はとても優しい方ですのよ。それよりもここだけの話なのですが、お義兄様に縁談の話はこないのでしょうか?
一応、公爵家の跡取りですし、黙っていれば素敵なのですから、そんな話があってもいいはずですが。」
「リーゼ。オスカーは黙っていられないからダメなのよ……」
「えっ?」
「実は過去に縁談話は沢山来ていたから、良さそうな家門の令嬢とお見合いみたいに顔合わせをさせてみたんだ。
でも態度は酷いし、冷たいことばかり口にするから泣き出す令嬢が続出したんだ。
だから私達は考えた……。あのオスカーに負けない令嬢ならいいかもしれないとな。
しかし、気の強い令嬢とは皮肉を言い合ったり、本気の口喧嘩に発展して……もうオスカーの顔すら見たくないと言われてしまった。」
「……」
私が思っている以上にあの偏屈はやらかしているようだ。
そういえば、かなり前にマクファーデン公爵令嬢と対峙した時も凄かったよね。
公爵令嬢相手にあの態度なんだから、他の令嬢にはもっと凄かったんだろうなぁ。
「そんなオスカーに縁談話を持ってくるような家の令嬢にまともな人はいないのよ。みんな訳ありなの。
訳あり令嬢を妻として迎えて揉めるくらいなら、無理に結婚なんてしないで、親戚から養子でも迎えた方がいいだろうって考えに至ったのよ。
だから、リーゼはうちの希望の光だと思っているわ。
どっかの無難な二男あたりと結婚してもらって、子供を何人か産んで欲しいのよ。
リーゼがここで生活したいと言ってくれるなら、離れの邸を立て替えてあげでもいいわよ。そこにリーゼの旦那様と住むといいわ。子供ができたら、私達もすぐに孫の顔を見にいけるし。」
「……確かにその方がいいな。エリーゼも他所に行くよりうちにいる方が気楽でいいだろう?」
うーん……。有り難い提案ではあるけれど、そんな都合のいい人がいるようには思えない。
「考えてはみますが、なかなか相手が見つからないと思いますわ。」
「もう! のんびりしていたら、あっという間に歳をとってしまうわよ。」
「それは分かっておりますわ。」
前世であっという間に歳をとった経験がありますからね。
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