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レストラン
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お義父様とお義母様は、私の米料理をかなり気に入ってくれて、一日の食事の中の一食は米を食べている。
穀物屋の在庫の米を買い占めた時は、こんなに食べ切れないわ~と言っていたのに、今ではお米大好き夫婦になってしまった。
でも米って色々な調理方法があるし、赤ちゃんの離乳食から病人食まで色々な人が食べれるからいいと思うの。
ある日の休日、家族でお茶をしようと義両親から呼び出しを受ける。
こんな風に呼び出される時は、何か大切な話がある時だったりするんだよね。
「エリーゼに大切な話がある。グレースと話し合ったんだがな……」
ゴクッ……。そんな改まって言われるなんて、まさかお見合いの話でもされる?
ああ、私の今の21歳という年齢は、前世でいう29歳の扱いに近いから……
「父上、エリーゼの縁談は断って下さい!」
おお! 私が口を出すよりも義兄が拒否してくれているわ。
「オスカーはそうやってリーゼの縁談の話の邪魔をしないでちょうだい!
義兄として義妹を大切にしなさいとか、仲良くしなさいとか私達は話はしたけれど、縁談の邪魔をするように言った覚えはないわ。
お茶会や夜会でオスカーがリーゼに護衛騎士以上にべったりで目を光らせているから、他の令息たちがリーゼと話をしたくても出来ないと社交界では噂になっているのよ!」
「母上。エリーゼに近づいてくる令息たちは、本当にエリーゼを好いているのでしょうか?
エリーゼ個人ではなく、クリフォード公爵家の令嬢という肩書きに惹かれているだけでは?
エリーゼがウォーカー商会と手を組んで儲けていて、個人資産が沢山あることをみんな知っているようですし、サンドイッチの店が成功していることも有名な話です。彼らはエリーゼの金に惹かれているだけではないですか?
本当にエリーゼ個人を好いているなら、私が居てもいなくても諦めずに行動してくるはずですがね……」
義兄が一緒に生活するようになって気がついたのは、お義母様と義兄は仲が悪いわけではないけど、反りが合わないということ。
この二人の意見が衝突して、口喧嘩みたいになることは珍しくない光景だ。
だけど、義兄は私のためにお義母様に話をしてくれているのは分かるんだよ。でも……ちょっとだけ傷付いたんだけど。
私には公爵令嬢という身分と子金持ちということ以外に魅力がないみたいな言い方をしなくてもいいじゃないの!
「グレースもオスカーも落ち着きなさい。
今日は縁談の話ではない。エリーゼのレストランを開店させようかという相談をしたかったんだ。」
「ええ、そうだったわね……。
リーゼのお米の料理は珍しくて美味しいから、レストランを経営してそこの名物料理にすればいいかと思ったのよ。
ほら、貴族は新しい物や珍しい物が大好きでしょ?
お米料理だけでなく、マヨネーズを使った料理もメニューに入れたいわ。
お米の手配は、ウォーカー商会でやってくれるそうよ。」
お義母様はすでに商会長さんにお米の手配を依頼したってことなのね……。
商会長さんも、外国に顔が利くくらいすごい人だからなぁ。
「貴族が領地経営だけする時代は終わったし、貴婦人がビジネスをすることも珍しくない。
エリーゼは料理に詳しいのだから、レストランを経営するのはいいと思ったんだ。」
「父上。エリーゼをこれ以上忙しくさせるつもりですか?
サンドイッチの店に出るのも私はあまりいい気はしなかったのに、レストランまでやれと?」
「別に店に出なくてもいいだろう?
オーナーとして、店の管理やメニューの考案をすればいいだけだ。
エリーゼはどうしたい?」
「どうしたいと言われましても、もう商会長さんは動いてくれているのですよね?
せっかくお義母様とお義父様が機会を下さったので頑張りますわ。」
「まあ! さすがリーゼだわ。
お義母様もお義父も応援するわね。」
確かにお義母様は頼りになる人なんだよね。
サンドイッチの店は、お義母様とその友人の夫人たちが社交界で上手く噂を流してくれたから、お客様がたくさん来てくれたし。
隣で義兄が不貞腐れているのが気になるけど、頑張ろう。
「お義兄様。いつも心配して下さってありがとうございます。
公爵令嬢として私が接客をするようなことは今後は控えるようにしますから、お許し頂けませんか?
お義兄様に迷惑をかけることのないように気を付けますから。」
公爵家の未来のボスである義兄の扱いには気を付けないといけないから、一言だけ謝っておこう。
「……分かった。だが、エリーゼが無理をしていると判断したらレストランは売却を考える。」
「お義兄様、ありがとうございます。」
ふぅー。偏屈の扱いは大変だわ。
穀物屋の在庫の米を買い占めた時は、こんなに食べ切れないわ~と言っていたのに、今ではお米大好き夫婦になってしまった。
でも米って色々な調理方法があるし、赤ちゃんの離乳食から病人食まで色々な人が食べれるからいいと思うの。
ある日の休日、家族でお茶をしようと義両親から呼び出しを受ける。
こんな風に呼び出される時は、何か大切な話がある時だったりするんだよね。
「エリーゼに大切な話がある。グレースと話し合ったんだがな……」
ゴクッ……。そんな改まって言われるなんて、まさかお見合いの話でもされる?
ああ、私の今の21歳という年齢は、前世でいう29歳の扱いに近いから……
「父上、エリーゼの縁談は断って下さい!」
おお! 私が口を出すよりも義兄が拒否してくれているわ。
「オスカーはそうやってリーゼの縁談の話の邪魔をしないでちょうだい!
義兄として義妹を大切にしなさいとか、仲良くしなさいとか私達は話はしたけれど、縁談の邪魔をするように言った覚えはないわ。
お茶会や夜会でオスカーがリーゼに護衛騎士以上にべったりで目を光らせているから、他の令息たちがリーゼと話をしたくても出来ないと社交界では噂になっているのよ!」
「母上。エリーゼに近づいてくる令息たちは、本当にエリーゼを好いているのでしょうか?
エリーゼ個人ではなく、クリフォード公爵家の令嬢という肩書きに惹かれているだけでは?
エリーゼがウォーカー商会と手を組んで儲けていて、個人資産が沢山あることをみんな知っているようですし、サンドイッチの店が成功していることも有名な話です。彼らはエリーゼの金に惹かれているだけではないですか?
本当にエリーゼ個人を好いているなら、私が居てもいなくても諦めずに行動してくるはずですがね……」
義兄が一緒に生活するようになって気がついたのは、お義母様と義兄は仲が悪いわけではないけど、反りが合わないということ。
この二人の意見が衝突して、口喧嘩みたいになることは珍しくない光景だ。
だけど、義兄は私のためにお義母様に話をしてくれているのは分かるんだよ。でも……ちょっとだけ傷付いたんだけど。
私には公爵令嬢という身分と子金持ちということ以外に魅力がないみたいな言い方をしなくてもいいじゃないの!
「グレースもオスカーも落ち着きなさい。
今日は縁談の話ではない。エリーゼのレストランを開店させようかという相談をしたかったんだ。」
「ええ、そうだったわね……。
リーゼのお米の料理は珍しくて美味しいから、レストランを経営してそこの名物料理にすればいいかと思ったのよ。
ほら、貴族は新しい物や珍しい物が大好きでしょ?
お米料理だけでなく、マヨネーズを使った料理もメニューに入れたいわ。
お米の手配は、ウォーカー商会でやってくれるそうよ。」
お義母様はすでに商会長さんにお米の手配を依頼したってことなのね……。
商会長さんも、外国に顔が利くくらいすごい人だからなぁ。
「貴族が領地経営だけする時代は終わったし、貴婦人がビジネスをすることも珍しくない。
エリーゼは料理に詳しいのだから、レストランを経営するのはいいと思ったんだ。」
「父上。エリーゼをこれ以上忙しくさせるつもりですか?
サンドイッチの店に出るのも私はあまりいい気はしなかったのに、レストランまでやれと?」
「別に店に出なくてもいいだろう?
オーナーとして、店の管理やメニューの考案をすればいいだけだ。
エリーゼはどうしたい?」
「どうしたいと言われましても、もう商会長さんは動いてくれているのですよね?
せっかくお義母様とお義父様が機会を下さったので頑張りますわ。」
「まあ! さすがリーゼだわ。
お義母様もお義父も応援するわね。」
確かにお義母様は頼りになる人なんだよね。
サンドイッチの店は、お義母様とその友人の夫人たちが社交界で上手く噂を流してくれたから、お客様がたくさん来てくれたし。
隣で義兄が不貞腐れているのが気になるけど、頑張ろう。
「お義兄様。いつも心配して下さってありがとうございます。
公爵令嬢として私が接客をするようなことは今後は控えるようにしますから、お許し頂けませんか?
お義兄様に迷惑をかけることのないように気を付けますから。」
公爵家の未来のボスである義兄の扱いには気を付けないといけないから、一言だけ謝っておこう。
「……分かった。だが、エリーゼが無理をしていると判断したらレストランは売却を考える。」
「お義兄様、ありがとうございます。」
ふぅー。偏屈の扱いは大変だわ。
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