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マヨネーズ
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「お嬢様、このマヨネーズというソースは美味しいです。」
「クセになる味ですよ!」
「マヨネーズとゆで卵を混ぜたものを挟んだサンドイッチも美味しいですね!」
公爵家の料理人達に、マヨネーズは無事に受け入れられたようだ。
「それは良かったわ!
マヨネーズは、色々な食材に合わせやすいのよ。」
マヨネーズを上手く作れるか不安だったけど、材料と調理器具さえあれば、家事魔法だとそれなりに美味しく仕上がるんだった……。
自分の理想とする味や仕上がりをイメージして魔法をかけるから、美味しく出来るのかもしれない。
見た感じはポルターガイストだけど、便利な魔法なのだと改めて思った。
しかし、手作りのマヨネーズは日持ちはしないって聞くよね。
あの偏屈義兄が食中毒になったら、一生恨まれそうだし、恐ろしい反応をされそうだから、たかがサンドイッチとはいえ、気を付けて作らないと。
マヨネーズは作り置きはしないで、サンドイッチを調理する時に一緒に作るしかないか。魔法で作れるから、何とかなるよね。
そのマヨネーズはお義父様やお義母様も気に入ってくれたようだった。
「リーゼの作った卵サンドだけど、とても美味しかったわ。ハムとキュウリのサンドイッチも、辛いマヨネーズを入れるとあんなに美味しいのね。
社交シーズンが始まったら、うちのお茶会でも出そうかしら?
甘いスイーツの口直しにちょうどいいわ。」
今は社交シーズンではないから、殆どの貴族は領地に戻っているらしい。
友人の令嬢達やローランドも領地にいるらしく、手紙でのやり取りをしている状態だ。
だけど、元公爵令嬢で良いものだけを食べて育ってきたお義母様から、料理を認められたことは嬉しかった。
「お義母様から認めてもらえて光栄ですわ。
王宮近くで、テイクアウトのサンドイッチのお店でも始めようかと考えてしまうほど嬉しいです。」
嬉しくなった私は、何気なく口にしただけなのだが……
「リーゼ、それは良い考えかもしれないわ。
王宮の周りは高級ホテルばかりで、ホテルのレストランはあるけど、テイクアウトが出来るような、気楽なお店はないのよ。
オスカーはランチに時間を掛けたくないから、リーゼのサンドイッチを喜んでいたくらいだし、王宮で働いている人は沢山いるから、オスカーみたいな考えの人はいると思うのよ。
テイクアウトのお店を開店させたら、盛況するかもしれないわね……」
「確かに、王宮の周りにホテルは沢山ありましたね。
テイクアウトのお店でしたら、調理場と売り場だけで済むので、レストランほどの広いスペースは必要ないので、小さな店舗があれば十分なのですが。」
その瞬間、お義母様の目がキラっと光った気がした。
「リーゼ。これは旦那様とウォーカー商会長に、私から相談してみるわね。」
「……商会長さんにですか?」
「ええ。ウォーカー商会は今ではこの国一番の大商会よ。
店を出すなら、商売のプロである商会長に相談した方がいいわね。
きっと力になってくれるはずよ。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
店の件はお義母様達に頼むことにして、私の方は、サンドイッチのレパートリーを増やさないといけないな。
偏屈義兄のサンドイッチを毎日作るのだから、色々な種類があった方がいいもの。
毎日、揚げ物のサンドイッチは体に良くないし、あんな偏屈でも、この公爵家の大切な跡取りだから、健康に気を遣ってあげないとね。
たとえ性格が偏屈でも、見た感じは育ちの良さそうな美丈夫だからまだいいけど、あれで太ってきて、不摂生な感じになったら、結婚するのが更に難しくなってしまう。たかがお昼のサンドイッチでも、栄養価を考えて作らないといけない。
……と、張り切った私だったが、結局は卵サンド、ハムサンド、BLTサンド、ツナサンド、カツサンド、ハンバーグサンド、エビとアボカドのサンド、コロッケパン、ホットドッグ、ポテトサラダパンという、定番のものばかりを野菜多めで作っていた。アイディアが浮かばなかったのもあるし、定番のものが一番おいしいんだよ。
時々、時間に余裕があるときは、サンドイッチの他に、卵焼きやチキンの香草焼き、ミートボール、キャロットラペなどもサンドイッチと一緒に作ったりもした。
偏屈義兄は、好き嫌いがあるのかよく分からないが、何を作っても黙って全部食べてくれるから良かった。毎日作る側としては、好き嫌いや味に煩い人だと大変だけど、そこだけは本当に助かったと思う。
公爵家の料理人達には、無理なお願いになってしまうが、サンドイッチに合うパンを作って欲しいと頼んでみた。
サンドイッチには、しっとりした生地のパンが美味しいと言ったら、優秀な料理人達は色々と研究をしてくれているようだった。
その頃になると、義兄のいつも食べているお弁当は美味しそうだとか義妹がわざわざ作っているだとか、王宮内で密かな噂話になっていたらしい。
「クセになる味ですよ!」
「マヨネーズとゆで卵を混ぜたものを挟んだサンドイッチも美味しいですね!」
公爵家の料理人達に、マヨネーズは無事に受け入れられたようだ。
「それは良かったわ!
マヨネーズは、色々な食材に合わせやすいのよ。」
マヨネーズを上手く作れるか不安だったけど、材料と調理器具さえあれば、家事魔法だとそれなりに美味しく仕上がるんだった……。
自分の理想とする味や仕上がりをイメージして魔法をかけるから、美味しく出来るのかもしれない。
見た感じはポルターガイストだけど、便利な魔法なのだと改めて思った。
しかし、手作りのマヨネーズは日持ちはしないって聞くよね。
あの偏屈義兄が食中毒になったら、一生恨まれそうだし、恐ろしい反応をされそうだから、たかがサンドイッチとはいえ、気を付けて作らないと。
マヨネーズは作り置きはしないで、サンドイッチを調理する時に一緒に作るしかないか。魔法で作れるから、何とかなるよね。
そのマヨネーズはお義父様やお義母様も気に入ってくれたようだった。
「リーゼの作った卵サンドだけど、とても美味しかったわ。ハムとキュウリのサンドイッチも、辛いマヨネーズを入れるとあんなに美味しいのね。
社交シーズンが始まったら、うちのお茶会でも出そうかしら?
甘いスイーツの口直しにちょうどいいわ。」
今は社交シーズンではないから、殆どの貴族は領地に戻っているらしい。
友人の令嬢達やローランドも領地にいるらしく、手紙でのやり取りをしている状態だ。
だけど、元公爵令嬢で良いものだけを食べて育ってきたお義母様から、料理を認められたことは嬉しかった。
「お義母様から認めてもらえて光栄ですわ。
王宮近くで、テイクアウトのサンドイッチのお店でも始めようかと考えてしまうほど嬉しいです。」
嬉しくなった私は、何気なく口にしただけなのだが……
「リーゼ、それは良い考えかもしれないわ。
王宮の周りは高級ホテルばかりで、ホテルのレストランはあるけど、テイクアウトが出来るような、気楽なお店はないのよ。
オスカーはランチに時間を掛けたくないから、リーゼのサンドイッチを喜んでいたくらいだし、王宮で働いている人は沢山いるから、オスカーみたいな考えの人はいると思うのよ。
テイクアウトのお店を開店させたら、盛況するかもしれないわね……」
「確かに、王宮の周りにホテルは沢山ありましたね。
テイクアウトのお店でしたら、調理場と売り場だけで済むので、レストランほどの広いスペースは必要ないので、小さな店舗があれば十分なのですが。」
その瞬間、お義母様の目がキラっと光った気がした。
「リーゼ。これは旦那様とウォーカー商会長に、私から相談してみるわね。」
「……商会長さんにですか?」
「ええ。ウォーカー商会は今ではこの国一番の大商会よ。
店を出すなら、商売のプロである商会長に相談した方がいいわね。
きっと力になってくれるはずよ。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
店の件はお義母様達に頼むことにして、私の方は、サンドイッチのレパートリーを増やさないといけないな。
偏屈義兄のサンドイッチを毎日作るのだから、色々な種類があった方がいいもの。
毎日、揚げ物のサンドイッチは体に良くないし、あんな偏屈でも、この公爵家の大切な跡取りだから、健康に気を遣ってあげないとね。
たとえ性格が偏屈でも、見た感じは育ちの良さそうな美丈夫だからまだいいけど、あれで太ってきて、不摂生な感じになったら、結婚するのが更に難しくなってしまう。たかがお昼のサンドイッチでも、栄養価を考えて作らないといけない。
……と、張り切った私だったが、結局は卵サンド、ハムサンド、BLTサンド、ツナサンド、カツサンド、ハンバーグサンド、エビとアボカドのサンド、コロッケパン、ホットドッグ、ポテトサラダパンという、定番のものばかりを野菜多めで作っていた。アイディアが浮かばなかったのもあるし、定番のものが一番おいしいんだよ。
時々、時間に余裕があるときは、サンドイッチの他に、卵焼きやチキンの香草焼き、ミートボール、キャロットラペなどもサンドイッチと一緒に作ったりもした。
偏屈義兄は、好き嫌いがあるのかよく分からないが、何を作っても黙って全部食べてくれるから良かった。毎日作る側としては、好き嫌いや味に煩い人だと大変だけど、そこだけは本当に助かったと思う。
公爵家の料理人達には、無理なお願いになってしまうが、サンドイッチに合うパンを作って欲しいと頼んでみた。
サンドイッチには、しっとりした生地のパンが美味しいと言ったら、優秀な料理人達は色々と研究をしてくれているようだった。
その頃になると、義兄のいつも食べているお弁当は美味しそうだとか義妹がわざわざ作っているだとか、王宮内で密かな噂話になっていたらしい。
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