異世界で捨て子を育てたら王女だった話

せいめ

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積極的な人

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 ある日の夕食時、おじ様の様子がいつもと違うような気がする。
 なんだかソワソワしているような、私に何かを言いたそうな……。


「リーゼ……。夕食後、少し話がしたいのだが、時間は大丈夫か?
 もし疲れているなら、明日でもいい。どうだろうか?」


 やっぱり、何か大切な話があったようだ。
 こんな時でも私が疲れていないかと、さり気なく心配してくれているんだよね。
 本当に優しいイケオジだわ。


「お話しですか?大丈夫ですわ。」

「悪いな……。」


 この反応、何なんだろう?

 おじ様のいつもとは違った態度が気になりつつも、夕食は残さずに綺麗に食べた私。


 そして夕食後。


「リーゼ。君はストークス卿と仲良くしているのか?」


 なぜ、あの聖騎士の名前が……?


「……仲が良いと言うほどの関係ではありませんが、友人の一人だと思っております。」

「そうか……。」


 えー、どうして黙るの?


「あの…、あの方と友人なのは何か問題がありましたか?
 例えば派閥の問題があるとか、おじ様が距離を置いている家門の方だとか……?
 何かよろしくない事情があるのであれば、極力、関わらないように注意しますが。」

「ち、違う!
 ストークス侯爵家は、神殿とは良好な関係だし、ストークス卿本人も騎士として優秀で、真面目で誠実な男だと思っている。
 何の問題もないんだ。」

「そうでしたか……。分かりました。
 もし今後、おじ様から見て、あまり関わらない方がいいという人物がいたら教えて下さい。
 おじ様の立場上、色々と事情があるかと思いますので。」

「ああ。気を付けないといけない家門や、付き合わない方がいい人物は一定数いるから、リーゼが本格的に社交を始める時までには教えるようにする。」

「はい。よろしくお願いします。」

「……ああ。」


 うーん……?何かいつもと違うんだよねぇ。
 おじ様の表情が冴えないというか。


「おじ様、他に何かありましたか?」

「……実はな、……挨拶されたんだ。」


 言いにくそうに、弱々しく答えるおじ様。


「……挨拶?何の挨拶でしょうか?」

「今日、ストークス卿と偶然顔を合わせた時に言われた。
 リーゼと仲良くさせて頂いていると……。」


 はあ?ただの友人なのに、わざわざおじ様に、そのことを挨拶したの?
 あの聖騎士様はどんだけ真面目なのよ?
 いい人だとは思うけど、まだそこまで仲良くないし!


「ふ、ふふっ……。ストークス様は、真面目な方ですのね。」

「友人から始めたいので、リーゼと仲良くすることを認めて欲しいとまで言われてしまった……。」

「えっ?」

「私は未婚で子供がいないから、何も知らなかったのだが……、娘を持つ父親達は、こんな気持ちになるのか?」

「はい?」

「リーゼは、私の娘ではないかもしれないが、私の家族だと思っているし、私の中で娘のような存在になっている。
 ストークス卿は素晴らしい騎士だから、リーゼの相手として私は反対しない。
 だが……、胸の中が複雑な気持ちになっているんだ。
 他所の男に、可愛い娘を取られそうになるのは、こんなにも辛い気持ちになるのだな。」


 やだー!嬉しすぎるんですけど。


「おじ様が私をそんな風に思って下さるなんて、とても嬉しいです……。
 私もおじ様を、理想の父親のように見ていました。」

「リーゼ、それは本当か?」

「はい!」


 何の迷いもなく、即答する私だった。


「私のような男を……、そんな風に見てくれるのか……。」


 おじ様の目が潤んでいるように見える。涙脆い方なのかもしれない。
 かわいいイケオジだわ。


「私は、リーゼが望む相手と幸せになって欲しいと思っている。
 だから……もし気になる男がいたら、私に相談してくれたら嬉しい。」

「分かりました。
 でも今は、結婚したいと思えないのです。
 いつまでも独身でいたら、おじ様に迷惑をかけてしまうので、時期が来たら何とかしたいとは思っています。」

「リーゼは不仲な両親を見て育ったのだから、そう考えてしまうのは仕方がないことだと思っている。
 今は無理に結婚など考えなくていい。
 ずっとここにいてもいいし、私の財産をリーゼに相続させれば、余程の散財をしない限りは、一生生活に困ることはないと思っている。」


 そ、そこまで私のことを考えてくれているんて……。
 あの毒親達に、このおじ様の爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだわ。


「おじ様。私のことよりも、おじ様の幸せを優先して下さい。
 私は自分で頑張って生きていきますから。」

「そんなことを言わずに、私に頼って欲しい。
 リーゼは今まで一人で頑張ってきたんだ。今後は私がリーゼの親代わりとして、幸せにしてやりたいと思っている。」

「おじ様……」


 ジーン……


 ストークス様が、おじ様に余計な挨拶をしたことがきっかけで、おじ様の胸の内を分かることが出来たと思う。

 理想の父親のようなおじ様との生活は、思った以上に快適で、ずっとこのままの生活でもいいのかもしれないと思えてきた私だった。


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