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美味しいパン
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子供達(特に女の子)は、マダムキラーのグレイクに興味深々だった。
「お兄ちゃんは、リーゼお姉ちゃんの恋人なの?」
「友達だよ。一緒に仕事をしていたんだ。」
「王子様みたい!カッコいい……」
「ありがとう。君たちも、みんな可愛いね。」
グレイクは、店で接客する時と同じような、イケメンの眩しい笑顔を女の子達に向けている。
レストランから孤児院に場所が変わっても、この男のサービス精神旺盛なところは変わらないようだ。
ちょうどおやつの時間となり、早速、頂いたパンを皆んなで食べようということになる。
グレイクの持って来てくれたパンは、子供達や職員達に大好評だった。
「すげー!こんなふわふわのパンは初めて食べた!」
「柔らかくて美味しいね。」
「パンに何もつけてないのに、すごく美味しい!」
「もっと食べたい!」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「それは良かった。沢山持ってきたから、いっぱい食べるんだよ。」
美味しいパンとイケメンの笑顔は、孤児院のみんなを幸せな気持ちにさせてくれたようだ。
グレイクは、その後も子供達のおしゃべりに沢山付き合ってくれて、暗くなる前に帰ることになる。
「グレイク、今日は本当にありがとう。
みんな喜んでいたわ。オーナーさんやキャサリン達によろしく伝えてね。」
「俺には年の離れた妹と弟がいるから、子供には慣れているんだ。
あんなに喜んでくれるなら、また来るよ。
キャサリン達もリーゼに会いたがっていたから、そのうちここに来るかもしれないぞ。」
「私もキャサリン達に会いたいから、遊びに来てと伝えて。」
「ああ。伝えておくよ。
ところで……」
グレイクの表情が急に険しくなるのが分かった。
「リーゼを気に入っていた、あの聖騎士が少し前に店に来たんだ。
前のように、リーゼを呼んで欲しいと言われたんだけど、リーゼは店を辞めた後だったから、退職したことを伝えたんだが、すごく驚いていたぞ。」
へぇ、私とおじ様の噂話を教えてくれた聖騎士が店に来たんだ……。
「あの騎士様が店に来るのは久しぶりよね?」
「ああ、しばらく来てなかったよな。
それで、リーゼは今はどこにいるのかなど、やたら聞いてきたから、すぐにオーナーに対応してもらったんだ。」
「オーナーさんに?」
「あの聖騎士は高位貴族なんだろ?
対応を間違えると貴族は面倒だと思ったんだが、ちょうどオーナーが店にいたから良かったよ。
俺の立場で変なことは言えないからな。」
「それでオーナーさんは何と答えていたの?」
「高貴な方が後見人になられて、その人に引き取られていかれましたって説明していたぞ。
詳しいことをお話しすることは、口止めされているとか言って、上手く誤魔化していたな。」
さすがオーナーさんだ。
私の個人情報を守ってくれたんだろうな。
「ここは聖騎士団から近いから、そのうち顔を合わせるかもしれないな。
騎士は手が早い奴が多いから気をつけろよ!
じゃあ、またな。」
「色々教えてくれてありがとう。
気を付けて帰ってね。」
久しぶりに元同僚と会えたのは嬉しかったし、いい気分転換になったと思う。
あの聖騎士が店に来て、私のことを聞いていたことは驚いたけど、聖騎士団はこの孤児院と同様に、神殿の敷地内にあるから、そのうちあの聖騎士と、顔を合わせる機会があるかもしれない。
でも、神殿の敷地内はすごく広くて、孤児院とは反対側の方向に聖騎士団があるから、このまま会わないかもしれないし……。
もし偶然会ったとしても、あの上位の神官であるおじ様が、私の後見人になったことを知ったら、あまりしつこくはしてこないよね?あの聖騎士は、悪い人ではなさそうだし。
そう思った私は、今まで通りに、特に気にしないで生活することにした。
しかし意外にも、すぐにその聖騎士に再会する日がやってくるのである。
「お兄ちゃんは、リーゼお姉ちゃんの恋人なの?」
「友達だよ。一緒に仕事をしていたんだ。」
「王子様みたい!カッコいい……」
「ありがとう。君たちも、みんな可愛いね。」
グレイクは、店で接客する時と同じような、イケメンの眩しい笑顔を女の子達に向けている。
レストランから孤児院に場所が変わっても、この男のサービス精神旺盛なところは変わらないようだ。
ちょうどおやつの時間となり、早速、頂いたパンを皆んなで食べようということになる。
グレイクの持って来てくれたパンは、子供達や職員達に大好評だった。
「すげー!こんなふわふわのパンは初めて食べた!」
「柔らかくて美味しいね。」
「パンに何もつけてないのに、すごく美味しい!」
「もっと食べたい!」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「それは良かった。沢山持ってきたから、いっぱい食べるんだよ。」
美味しいパンとイケメンの笑顔は、孤児院のみんなを幸せな気持ちにさせてくれたようだ。
グレイクは、その後も子供達のおしゃべりに沢山付き合ってくれて、暗くなる前に帰ることになる。
「グレイク、今日は本当にありがとう。
みんな喜んでいたわ。オーナーさんやキャサリン達によろしく伝えてね。」
「俺には年の離れた妹と弟がいるから、子供には慣れているんだ。
あんなに喜んでくれるなら、また来るよ。
キャサリン達もリーゼに会いたがっていたから、そのうちここに来るかもしれないぞ。」
「私もキャサリン達に会いたいから、遊びに来てと伝えて。」
「ああ。伝えておくよ。
ところで……」
グレイクの表情が急に険しくなるのが分かった。
「リーゼを気に入っていた、あの聖騎士が少し前に店に来たんだ。
前のように、リーゼを呼んで欲しいと言われたんだけど、リーゼは店を辞めた後だったから、退職したことを伝えたんだが、すごく驚いていたぞ。」
へぇ、私とおじ様の噂話を教えてくれた聖騎士が店に来たんだ……。
「あの騎士様が店に来るのは久しぶりよね?」
「ああ、しばらく来てなかったよな。
それで、リーゼは今はどこにいるのかなど、やたら聞いてきたから、すぐにオーナーに対応してもらったんだ。」
「オーナーさんに?」
「あの聖騎士は高位貴族なんだろ?
対応を間違えると貴族は面倒だと思ったんだが、ちょうどオーナーが店にいたから良かったよ。
俺の立場で変なことは言えないからな。」
「それでオーナーさんは何と答えていたの?」
「高貴な方が後見人になられて、その人に引き取られていかれましたって説明していたぞ。
詳しいことをお話しすることは、口止めされているとか言って、上手く誤魔化していたな。」
さすがオーナーさんだ。
私の個人情報を守ってくれたんだろうな。
「ここは聖騎士団から近いから、そのうち顔を合わせるかもしれないな。
騎士は手が早い奴が多いから気をつけろよ!
じゃあ、またな。」
「色々教えてくれてありがとう。
気を付けて帰ってね。」
久しぶりに元同僚と会えたのは嬉しかったし、いい気分転換になったと思う。
あの聖騎士が店に来て、私のことを聞いていたことは驚いたけど、聖騎士団はこの孤児院と同様に、神殿の敷地内にあるから、そのうちあの聖騎士と、顔を合わせる機会があるかもしれない。
でも、神殿の敷地内はすごく広くて、孤児院とは反対側の方向に聖騎士団があるから、このまま会わないかもしれないし……。
もし偶然会ったとしても、あの上位の神官であるおじ様が、私の後見人になったことを知ったら、あまりしつこくはしてこないよね?あの聖騎士は、悪い人ではなさそうだし。
そう思った私は、今まで通りに、特に気にしないで生活することにした。
しかし意外にも、すぐにその聖騎士に再会する日がやってくるのである。
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