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後見人
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養子の話を断る私と、自分の養子になって欲しいと粘り強く説得してくるイケオジ神官との話し合いは平行線になる。
「別に君を縛り付けようとか、政略結婚させて、自分の便利な駒にしようだとか思っているのではない。
ただ私は、君のために何かしたいと思っているだけだ。」
「でしたら、静かに見守って欲しいと思っております。
今の生活を続けていくことを、私は望んでいるのですから。」
「今の生活を気に入っているようだが、永遠にあの店で働けるわけではないだろう?
今住んでいる寮に、永遠に住み続けられるわけでもないんだ。
女性一人で生きていくのは大変なんだ。分かってくれ。」
「それは……、分かっております。」
その日、話し合いはまとまらず、また後日に話し合おうということになり、私はその後に何度もお呼び出しされることになる。
それで分かったのは、あのイケオジ神官は普通にいい人だということ。
顔を合わせれば、仕事を無理していないかとか、嫌な客はいないか、意地悪をされたりしていないかなど、色々と聞いてくるのだ。
全くの他人である私を、本当に心配してくれているようだ。
毒母も、あんな毒父と結婚するよりは、イケオジ神官と結婚した方が幸せだったんだろうなぁとは思う。
しかし、私がいくら養子になる気はないと言っても、イケオジ神官は諦める様子がなく、定期的に呼び出しては私を説得しようとする。
なかなか諦めの悪い人のようだ。
ある日、イケオジ神官の面会を終え、歩いて帰る途中のことだった。
久しぶりにあの方から呼び止められる。
「リーゼ。久しぶりだな。」
最近、店に来ていなかった聖騎士様と顔を合わせるのは、かなり久しぶりのことだ。
何だろう……?
この聖騎士様が、こんな硬い表情で私に話しかけてきたのは初めてだと思う。
「……騎士様。ご機嫌よう。」
「今日も呼び出されたのか?」
「はい。」
私がイケオジ神官に、何度も呼び出されていることを知っているかのような言い方だった。
「最近……、私達、聖騎士の中である噂話がある。
ベネディクト神官様が若い女性に慕情を抱いているというものだ。」
あ……、私ったらやってしまった。
ベネディクト神官様とは、イケオジ神官のことだ。
親子ほどの年の差があっても、しょっちゅう呼び出されて二人で話をしていたら、周りからはそんな目で見られるに決まっている。
まさか、聖騎士の間でそんな噂になっていたなんて。
毒母の元カレをそんな目で見るわけないのに、何も知らない人達から見ると、年の差カップル誕生みたいに見えていたってことなのかな。
「そんな噂話があったのですね……。
ベネディクト神官様は、私の両親の古い友人なのです。
両親と絶縁状態でいる私を心配して、定期的に呼び出しては、私が元気でいることを確認してくれているようですわ。
お優しいベネディクト神官様は、私の伯父のような存在なのです。」
噂話を払拭したい私は、物悲しげに微笑みながら、真実を話してみた。
「……す、すまない!
下らない噂話を真に受けて、君をそんな風に見てしまっていた。
噂話をしていた聖騎士達には、私から話をしておく。
不快な話をしてしまったな。申し訳なかった。」
毒母譲りのあざとさで、何とか乗り切れたようだ……。
「分かって下さったのなら、嬉しく思いますわ。
それでは、私はこれで失礼致します。」
「……本当に悪かった。
気を付けて帰ってくれ。」
それからしばらくして、またイケオジ神官に呼び出された私は、聖騎士に言われた噂話を話していた。
「その噂話か……。少し前に私も聞いたが、別に私は家庭があるわけではないのだし、神官だって恋愛して結婚する者もいるのだから、何の問題もないと判断して放っておいた。
神官の中には、私に結婚を勧める者もいたから、その噂話を聞いて楽しんでいる者もいたくらいだ。
気にしなくて大丈夫だ。」
噂話なんか気にしないらしい。
この落ち着き……。さすがイケオジだわ。
「しかし……、そのような噂話は神官様にとって迷惑になっているのではと思いまして。」
「そうは思わないが、君は私みたいな男と噂になるのは嫌か?」
「そういうわけでは……。」
「噂を気にするなら、そろそろ私の養子になるべきだ。
私達の年の差で親子になるというなら、自然なことだと思う。」
そこまで親子になりたいものなのかなぁ……。
その後も永遠と説得された私は……、イケオジ神官に後見人になってもらうということに決まった。
この国での後見人とは、ちょっとした親族のような扱いをしてもらえるらしく、何か困った時に堂々と助けてもらえるらしい。
そのかわり、養子縁組と似たような手続きが必要だと聞いた。
イケオジ神官はすぐにその書類を取り寄せ、手続きを済ませてくれたのだった。
「別に君を縛り付けようとか、政略結婚させて、自分の便利な駒にしようだとか思っているのではない。
ただ私は、君のために何かしたいと思っているだけだ。」
「でしたら、静かに見守って欲しいと思っております。
今の生活を続けていくことを、私は望んでいるのですから。」
「今の生活を気に入っているようだが、永遠にあの店で働けるわけではないだろう?
今住んでいる寮に、永遠に住み続けられるわけでもないんだ。
女性一人で生きていくのは大変なんだ。分かってくれ。」
「それは……、分かっております。」
その日、話し合いはまとまらず、また後日に話し合おうということになり、私はその後に何度もお呼び出しされることになる。
それで分かったのは、あのイケオジ神官は普通にいい人だということ。
顔を合わせれば、仕事を無理していないかとか、嫌な客はいないか、意地悪をされたりしていないかなど、色々と聞いてくるのだ。
全くの他人である私を、本当に心配してくれているようだ。
毒母も、あんな毒父と結婚するよりは、イケオジ神官と結婚した方が幸せだったんだろうなぁとは思う。
しかし、私がいくら養子になる気はないと言っても、イケオジ神官は諦める様子がなく、定期的に呼び出しては私を説得しようとする。
なかなか諦めの悪い人のようだ。
ある日、イケオジ神官の面会を終え、歩いて帰る途中のことだった。
久しぶりにあの方から呼び止められる。
「リーゼ。久しぶりだな。」
最近、店に来ていなかった聖騎士様と顔を合わせるのは、かなり久しぶりのことだ。
何だろう……?
この聖騎士様が、こんな硬い表情で私に話しかけてきたのは初めてだと思う。
「……騎士様。ご機嫌よう。」
「今日も呼び出されたのか?」
「はい。」
私がイケオジ神官に、何度も呼び出されていることを知っているかのような言い方だった。
「最近……、私達、聖騎士の中である噂話がある。
ベネディクト神官様が若い女性に慕情を抱いているというものだ。」
あ……、私ったらやってしまった。
ベネディクト神官様とは、イケオジ神官のことだ。
親子ほどの年の差があっても、しょっちゅう呼び出されて二人で話をしていたら、周りからはそんな目で見られるに決まっている。
まさか、聖騎士の間でそんな噂になっていたなんて。
毒母の元カレをそんな目で見るわけないのに、何も知らない人達から見ると、年の差カップル誕生みたいに見えていたってことなのかな。
「そんな噂話があったのですね……。
ベネディクト神官様は、私の両親の古い友人なのです。
両親と絶縁状態でいる私を心配して、定期的に呼び出しては、私が元気でいることを確認してくれているようですわ。
お優しいベネディクト神官様は、私の伯父のような存在なのです。」
噂話を払拭したい私は、物悲しげに微笑みながら、真実を話してみた。
「……す、すまない!
下らない噂話を真に受けて、君をそんな風に見てしまっていた。
噂話をしていた聖騎士達には、私から話をしておく。
不快な話をしてしまったな。申し訳なかった。」
毒母譲りのあざとさで、何とか乗り切れたようだ……。
「分かって下さったのなら、嬉しく思いますわ。
それでは、私はこれで失礼致します。」
「……本当に悪かった。
気を付けて帰ってくれ。」
それからしばらくして、またイケオジ神官に呼び出された私は、聖騎士に言われた噂話を話していた。
「その噂話か……。少し前に私も聞いたが、別に私は家庭があるわけではないのだし、神官だって恋愛して結婚する者もいるのだから、何の問題もないと判断して放っておいた。
神官の中には、私に結婚を勧める者もいたから、その噂話を聞いて楽しんでいる者もいたくらいだ。
気にしなくて大丈夫だ。」
噂話なんか気にしないらしい。
この落ち着き……。さすがイケオジだわ。
「しかし……、そのような噂話は神官様にとって迷惑になっているのではと思いまして。」
「そうは思わないが、君は私みたいな男と噂になるのは嫌か?」
「そういうわけでは……。」
「噂を気にするなら、そろそろ私の養子になるべきだ。
私達の年の差で親子になるというなら、自然なことだと思う。」
そこまで親子になりたいものなのかなぁ……。
その後も永遠と説得された私は……、イケオジ神官に後見人になってもらうということに決まった。
この国での後見人とは、ちょっとした親族のような扱いをしてもらえるらしく、何か困った時に堂々と助けてもらえるらしい。
そのかわり、養子縁組と似たような手続きが必要だと聞いた。
イケオジ神官はすぐにその書類を取り寄せ、手続きを済ませてくれたのだった。
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