22 / 106
連載
閑話 王弟アルベルト
しおりを挟む三人の徒競走の結果、学校に間に合った。
龍牙の左目の話の前に、クラスの話はしていた。五クラスある内、龍牙と私がC組で光彦はB組だ。龍牙は残念がっていたけど、正直助かった…と思ってしまった。あの瞳で見られ続けるのは、精神が削られるから。
「…あれ?」
「ん、どうした?」
教室に入った私はその光景に驚いた。
半分以上空いた席、チャイムが鳴ったにも関わらず、席につくことなく何人かで集まって話す生徒。
あ、そうか。ここ、不良校だっけ。
「どーこ座ろっかな。やっぱ窓際埋まってんなあ…、よし、ここにしようぜ。鈴は俺の右な!」
「え、え?」
慣れたように生徒の間をスイスイ通る龍牙。不良さん達の間に置いて行かれたくなくて、龍牙の背中にぴったり着いて行く。龍牙は左の窓際から三番目、一番後ろの席に座って、私に隣に座るように言う。でも私は迷った。
「えっ、先生が席決めたりとか…」
「んなことするわけねーだろ。ここ不良校だぞ。俺ら不良が言うこと聞くか?」
「確かに…」
常識だ、と言わんばかりに馬鹿にしてくる龍牙。ちょっとむかつくけど、事実なのかもしれない。でも初日からこんなに人が居ないなんて、思いもしなかった。ここは不良校なんだなと改めて思う。かく言う私も入学式をすっぽかしたが、まああれは不可抗力だろう。
本鈴が鳴ってから10分くらいして、やっと先生が来た。ちょっと髪がボサボサだけど、優しそうな先生だ。少し猫背で、フレームの無い眼鏡をかけた先生が、ゆっくり教壇に上がる。
「ぇぇ…、おはようございます、皆さん…。私は」
蚊が鳴くような声だ。自己紹介をしたのに、生徒の笑い声でかき消された。聞き取るのもやっとだった声は、生徒の話し声であっという間に聞こえなくなる。
それを聞いて、先生が諦めたように下を向いてしまった。きっと不良さんが怖いんだ。私だってちょっと怖い。
今にも教室を出てしまいそうな先生を見ていられなくて、龍牙に声をかける。龍牙は興味が無さそうに足を組んで頬杖をついている。
「ねえ、龍牙」
「放っとけよ。あ、そうだ。俺トランプ持ってきたんだ」
「……でも、寂しいよ。折角先生、優しそうなのに…」
「しゃあねぇなあ…、ほら、何か言ってみ。守ってやるから」
龍牙がにやっと笑って、私を後押ししてくれる。よし、私は先生と仲良くしたいんだ。
「…先生。よく聞こえなかったので、もう一度お願いしますっ!」
「……あー?」
「うっさ」
「何アイツ」
大きな声を上げれば当然目立つ。窓際を占領していた不良達三人がこちらに振り向く。ぎろりとこちらを睨む視線に体が竦むけど、龍牙が守ってくれるって言ってくれたから、頑張る。
「えっ、も、もう一度、かい?」
「はいっ、私、先生の名前知りたいです!」
先生が驚いて顔を上げる。
「テメェうるせぇ」
「黙った方がいいよー根暗くん」
「わ、私の名前は」
「黙れっつってんだろセンコー!」
「ひぃっ!!!」
黒髪のツーブロックで両耳にピアスを開けた生徒が勢いよく机を蹴り上げる。結構な轟音が鳴って、先生は悲鳴を上げて完全に萎縮してしまった。
先生が教壇の上の荷物を集め始める。
え、帰っちゃうの?でも先生は余程怖かったみたいで、手が震えて物を落としてしまった。落とした冊子をツーブロックの生徒が拾う。
「センコー、帰れ」
手にした冊子を、勢いよく
「…いたっ!…」
先生に投げつけた。
ありえない。
先生は何もしてないのに。苛立ちから勢いよく椅子を立つ。隣から楽しむような笑い声が聞こえた。龍牙、迷惑かけてごめん。
ガタンと大きな音をさせたから、窓際の三人がこちらを向く。少し怖いけどピアスをつけた生徒と先生の間に割って入る。
「…ちょっと、先生に何てことするんですか。先生何もしてないですよね」
「は?何真面目ぶってんだ。調子乗ってんじゃねぇぞ」
「調子に乗ってるのはそっちです。威圧的な態度で相手を怖がらせるなんて、酷いです」
ピアスさんは頭にきたみたいで、私に掴みかかろうとして腕が上がる。でも、大丈夫。
横から素早く手が伸びてきて、ピアスさんの腕を捻りあげる。
「…何、俺のダチに何か用?」
とっても格好良い、私のヒーロー。
昨日と同じあのギラギラした目でピアスさんを睨みつける。でもピアスさんも全く引かない。おお、不良同士の張り合いだ…。
「離せ。この根暗くんぶっ飛ばすんだよ」
「そいつぶっ飛ばすんなら、俺倒してからにしな、キョセイ君」
「なっ…、よーし分かった。お前から可愛がってやるよ」
…もしかして、二人とも虚勢の意味分かってないな?
その時、後ろからガラガラと戸を開ける音がした。不思議に思って振り向くと、空っぽの教壇と、開いた扉。先生は余程の怖がりみたいだ。あれ、出欠とかとらなくていいのかな。
振り向くと、龍牙が窓際の三人と対峙していた。ピアスさんと、ピンクのメッシュを入れた人と、金髪の人。あれ、人数増えてない?
「…おいおい、一対三とか卑怯じゃね~?」
「生意気な奴にはこんなもんで充分だろ」
「分からせてやんないとさ?」
「あ、そこの根暗くん。これ終わったらお金貸~してっ」
彼らが口々に好きなことを言う。ピンクさん、お金は貸しませんよ。
一対三人は少し不安を感じる。しかも私が売った喧嘩のようなものだ。龍牙に迷惑をかけている。でも、龍牙は余裕そうな笑みを浮かべていた。
「龍牙…」
「大丈夫。こんな雑魚余裕だから」
「余所見すんじゃねぇよ!!」
龍牙の言葉に挑発されて、ピアスさんが殴りかかる。
龍牙は分かっていたのか、少しだけ体を右に逸らした。傾いた龍牙を狙って金髪さんから蹴りが飛ぶ。龍牙が右足を素早く上げてそれを防ぐ。素早く踏み込んだ龍牙の拳は、金髪さんの顔を捕えた。金髪さんはそれでも倒れないし、直ぐにピアスさんから拳が飛んでくる。でも、龍牙は、ふわりふわりと髪を靡かせながら、相手の攻撃を風みたいに避けてしまう。
「…かっこいい」
「え!?」
気づいたら口から漏れていた。
龍牙はそれを聞き取ったらしく、完全に喧嘩から意識が逸れ、勢いよくこちらに振り向く。
「龍牙っ!?」
「余所見すんなっつったろ!」
その隙を不良さん達が見逃すはずもなく、ピアスさんの拳が龍牙の顔に入ってしまった。龍牙が少しよろめくけど、上手く受け流したみたいで、直ぐに持ち直す。でも、右の口端から血が少し出ていた。痛そうだ。
どうしてこちらを振り向いたんだろう。今の独り言はそんなに気を引かれるものだっただろうか。
結局、龍牙はまた勝った。龍牙の右頬には痛々しい痣があるけれど、倒れている不良さん達の方が傷は多かった。
龍牙が倒れた三人を見下ろして、不敵な笑みを浮かべる。
「…ふー、余所見してても勝てるな、お前ら」
「くそっ…ふざけんなよ…」
「いったぁ…、顔に傷ついた…最悪」
「……ぅ…痛てぇ…」
龍牙は三人がもう反抗してこないことを確認すると、後ろの席に戻った。
チャイムが鳴る。何のチャイムかなと見上げると、1時間目が終わっていた。
あれ、先生は?
後ろを見れば、扉は閉まっていた。見て見ぬふりですか?ここの学校、もしかして、先生も不良さんなの?それとも不良さんが怖いのだろうか。
時計から目を離すと、私のことをピアスさんが睨みつけているのが見えた。怖かったから、私も急いで後ろの席に戻った。
龍牙の左目の話の前に、クラスの話はしていた。五クラスある内、龍牙と私がC組で光彦はB組だ。龍牙は残念がっていたけど、正直助かった…と思ってしまった。あの瞳で見られ続けるのは、精神が削られるから。
「…あれ?」
「ん、どうした?」
教室に入った私はその光景に驚いた。
半分以上空いた席、チャイムが鳴ったにも関わらず、席につくことなく何人かで集まって話す生徒。
あ、そうか。ここ、不良校だっけ。
「どーこ座ろっかな。やっぱ窓際埋まってんなあ…、よし、ここにしようぜ。鈴は俺の右な!」
「え、え?」
慣れたように生徒の間をスイスイ通る龍牙。不良さん達の間に置いて行かれたくなくて、龍牙の背中にぴったり着いて行く。龍牙は左の窓際から三番目、一番後ろの席に座って、私に隣に座るように言う。でも私は迷った。
「えっ、先生が席決めたりとか…」
「んなことするわけねーだろ。ここ不良校だぞ。俺ら不良が言うこと聞くか?」
「確かに…」
常識だ、と言わんばかりに馬鹿にしてくる龍牙。ちょっとむかつくけど、事実なのかもしれない。でも初日からこんなに人が居ないなんて、思いもしなかった。ここは不良校なんだなと改めて思う。かく言う私も入学式をすっぽかしたが、まああれは不可抗力だろう。
本鈴が鳴ってから10分くらいして、やっと先生が来た。ちょっと髪がボサボサだけど、優しそうな先生だ。少し猫背で、フレームの無い眼鏡をかけた先生が、ゆっくり教壇に上がる。
「ぇぇ…、おはようございます、皆さん…。私は」
蚊が鳴くような声だ。自己紹介をしたのに、生徒の笑い声でかき消された。聞き取るのもやっとだった声は、生徒の話し声であっという間に聞こえなくなる。
それを聞いて、先生が諦めたように下を向いてしまった。きっと不良さんが怖いんだ。私だってちょっと怖い。
今にも教室を出てしまいそうな先生を見ていられなくて、龍牙に声をかける。龍牙は興味が無さそうに足を組んで頬杖をついている。
「ねえ、龍牙」
「放っとけよ。あ、そうだ。俺トランプ持ってきたんだ」
「……でも、寂しいよ。折角先生、優しそうなのに…」
「しゃあねぇなあ…、ほら、何か言ってみ。守ってやるから」
龍牙がにやっと笑って、私を後押ししてくれる。よし、私は先生と仲良くしたいんだ。
「…先生。よく聞こえなかったので、もう一度お願いしますっ!」
「……あー?」
「うっさ」
「何アイツ」
大きな声を上げれば当然目立つ。窓際を占領していた不良達三人がこちらに振り向く。ぎろりとこちらを睨む視線に体が竦むけど、龍牙が守ってくれるって言ってくれたから、頑張る。
「えっ、も、もう一度、かい?」
「はいっ、私、先生の名前知りたいです!」
先生が驚いて顔を上げる。
「テメェうるせぇ」
「黙った方がいいよー根暗くん」
「わ、私の名前は」
「黙れっつってんだろセンコー!」
「ひぃっ!!!」
黒髪のツーブロックで両耳にピアスを開けた生徒が勢いよく机を蹴り上げる。結構な轟音が鳴って、先生は悲鳴を上げて完全に萎縮してしまった。
先生が教壇の上の荷物を集め始める。
え、帰っちゃうの?でも先生は余程怖かったみたいで、手が震えて物を落としてしまった。落とした冊子をツーブロックの生徒が拾う。
「センコー、帰れ」
手にした冊子を、勢いよく
「…いたっ!…」
先生に投げつけた。
ありえない。
先生は何もしてないのに。苛立ちから勢いよく椅子を立つ。隣から楽しむような笑い声が聞こえた。龍牙、迷惑かけてごめん。
ガタンと大きな音をさせたから、窓際の三人がこちらを向く。少し怖いけどピアスをつけた生徒と先生の間に割って入る。
「…ちょっと、先生に何てことするんですか。先生何もしてないですよね」
「は?何真面目ぶってんだ。調子乗ってんじゃねぇぞ」
「調子に乗ってるのはそっちです。威圧的な態度で相手を怖がらせるなんて、酷いです」
ピアスさんは頭にきたみたいで、私に掴みかかろうとして腕が上がる。でも、大丈夫。
横から素早く手が伸びてきて、ピアスさんの腕を捻りあげる。
「…何、俺のダチに何か用?」
とっても格好良い、私のヒーロー。
昨日と同じあのギラギラした目でピアスさんを睨みつける。でもピアスさんも全く引かない。おお、不良同士の張り合いだ…。
「離せ。この根暗くんぶっ飛ばすんだよ」
「そいつぶっ飛ばすんなら、俺倒してからにしな、キョセイ君」
「なっ…、よーし分かった。お前から可愛がってやるよ」
…もしかして、二人とも虚勢の意味分かってないな?
その時、後ろからガラガラと戸を開ける音がした。不思議に思って振り向くと、空っぽの教壇と、開いた扉。先生は余程の怖がりみたいだ。あれ、出欠とかとらなくていいのかな。
振り向くと、龍牙が窓際の三人と対峙していた。ピアスさんと、ピンクのメッシュを入れた人と、金髪の人。あれ、人数増えてない?
「…おいおい、一対三とか卑怯じゃね~?」
「生意気な奴にはこんなもんで充分だろ」
「分からせてやんないとさ?」
「あ、そこの根暗くん。これ終わったらお金貸~してっ」
彼らが口々に好きなことを言う。ピンクさん、お金は貸しませんよ。
一対三人は少し不安を感じる。しかも私が売った喧嘩のようなものだ。龍牙に迷惑をかけている。でも、龍牙は余裕そうな笑みを浮かべていた。
「龍牙…」
「大丈夫。こんな雑魚余裕だから」
「余所見すんじゃねぇよ!!」
龍牙の言葉に挑発されて、ピアスさんが殴りかかる。
龍牙は分かっていたのか、少しだけ体を右に逸らした。傾いた龍牙を狙って金髪さんから蹴りが飛ぶ。龍牙が右足を素早く上げてそれを防ぐ。素早く踏み込んだ龍牙の拳は、金髪さんの顔を捕えた。金髪さんはそれでも倒れないし、直ぐにピアスさんから拳が飛んでくる。でも、龍牙は、ふわりふわりと髪を靡かせながら、相手の攻撃を風みたいに避けてしまう。
「…かっこいい」
「え!?」
気づいたら口から漏れていた。
龍牙はそれを聞き取ったらしく、完全に喧嘩から意識が逸れ、勢いよくこちらに振り向く。
「龍牙っ!?」
「余所見すんなっつったろ!」
その隙を不良さん達が見逃すはずもなく、ピアスさんの拳が龍牙の顔に入ってしまった。龍牙が少しよろめくけど、上手く受け流したみたいで、直ぐに持ち直す。でも、右の口端から血が少し出ていた。痛そうだ。
どうしてこちらを振り向いたんだろう。今の独り言はそんなに気を引かれるものだっただろうか。
結局、龍牙はまた勝った。龍牙の右頬には痛々しい痣があるけれど、倒れている不良さん達の方が傷は多かった。
龍牙が倒れた三人を見下ろして、不敵な笑みを浮かべる。
「…ふー、余所見してても勝てるな、お前ら」
「くそっ…ふざけんなよ…」
「いったぁ…、顔に傷ついた…最悪」
「……ぅ…痛てぇ…」
龍牙は三人がもう反抗してこないことを確認すると、後ろの席に戻った。
チャイムが鳴る。何のチャイムかなと見上げると、1時間目が終わっていた。
あれ、先生は?
後ろを見れば、扉は閉まっていた。見て見ぬふりですか?ここの学校、もしかして、先生も不良さんなの?それとも不良さんが怖いのだろうか。
時計から目を離すと、私のことをピアスさんが睨みつけているのが見えた。怖かったから、私も急いで後ろの席に戻った。
69
お気に入りに追加
9,744
あなたにおすすめの小説
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。