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閑話 王弟アルベルト
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〝アルベルトへ
待望の赤ちゃんが産まれました。
アルと同じ色の髪と瞳を持つ女の子で、クリスティーナと名付けたの。
アルの姪になるわね。よく泣く子で毎日大変だけど、とっても可愛いわよ。
いつかこの子を連れて里帰りをする日を楽しみにしているわ。
その時までに、アルも人生の伴侶を見つけておきなさい。〟
海の向こうのラリーア国に嫁いだ姉は、幸せな結婚生活を送っていたようだ。
大好きだった姉の幸せを祈っていた私は、その手紙を読んで、とても安心したことを覚えている。
しかし、それから三ヶ月くらい経ったある日、兄である国王から呼び出され、衝撃的なことを知らされる。
ラリーア国でクーデターが起きて、国王一家が殺されたということだった。
その知らせを聞いた兄は、すぐに暗部の部隊を送り込み、姉の捜索や情報を探らせたものの、生存は絶望的だと判断される。
しかし姉が殺された時に、そこに姉の子供はいなかったらしい。姉が我が国から連れて行ったメイド達も行方不明になっており、姉が子供とメイド達を逃した可能性が出てきたのだった。
そこから、姉の子供を捜す日々が続く。
しかし、ラリーア国中をいくら探しても何の手がかりも掴むことも出来なかった。
もしかしたら、子供を託されたメイドが運良く船に乗れて、我が国に戻ることが出来たのかもしれないと考えた私達は、国内の孤児院を中心に探してみることにした。
だが、なかなか手掛かりは見つからない。
諦めかけたその時、港町の自警団から姉の子供と特徴が一致する女の子がいると連絡がある。
私はすぐにその子供に会いに行くことにした。
自警団から、その女の子が平民の未婚女性と暮らしていると聞き、早速その家に向かうのだが、予想とは違う事ばかりであった。
平民と聞いていたのに、私達を出迎えた女性は平民離れした容姿をしており、言葉遣いや所作は貴族のようだった。
そして姉の子供かもしれない女の子は、とても可愛かった。
確かに私と同じ色を持っている。顔立ちも姉に似ているような気がした。
だが、この女の子の服装は一体…?
貴族の令嬢がお忍びで出掛ける時に着せてもおかしくないような、平民が着るには高そうなワンピースを着て、髪の毛も綺麗に縛って可愛いリボンまで付けている。
本当にただの平民の家なのか?かなり裕福そうにも見える。
そして何となくだが、この女の子がとても大切に育てられていたのが分かった。
女の子に名前を聞くと……
「私の名前はクリスティーナです。」
クリスティーナと言っている。そして同居女性からは、女の子を保護した時に身に付けていた服とおくるみを見せられるのであった。
おくるみには、クリスティーナと名前が刺繍してあった。
そして、ラリーア王家の紋章らしき物も刺繍されていたのだ。
この女の子は姉の子供かもしれない。
これは一度持ち帰って、兄上と義姉上、宰相達に見せよう。
私の報告を聞いた兄達は、その女の子が姉の残したクリスティーナ王女だろうと判断した。
そしてその翌日、私は港町へクリスティーナを迎えに行くことになる。
突然迎えに来た私達を見て、同居女性とクリスティーナは驚いていたようだったが、国王命令だと言えば、あっさりと受け入れてくれた。
「どうかお気をつけて。」
クリスティーナがお姉ちゃんと呼んでいた同居女性は、涙を流して見送っていた……
途中で休憩を取りながら、急いで王都に向かい、午後には王宮に到着することが出来た。
王宮でクリスティーナを待っていた、国王陛下と王妃殿下は、一目見て涙を流す。
「……マーガレットの小さい頃に瓜二つだ。」
「ええ。そっくりですわね。あの頃のマーガレット王女が戻って来たみたいですわ…。」
義理の姉である王妃殿下は、我が国の元公爵令嬢で姉の小さな頃を知っているのだ。
「可愛いワンピースね。アルベルトが買ってあげたのかしら?」
クリスティーナの可愛らしい服装に、王妃殿下がすぐに興味を持つ。
「…いえ。クリスティーナを養育していた平民女性が着せてくれたものです。」
「平民でも、裕福な商家の娘だったのかしら?
こうやって見ると、クリスティーナに合わせて、オーダーで仕立ててくれたみたいによく似合っているわね。布地も良い物を使っているわ。
貧しい生活をしていたのかと心配していたけど、大切にされていたようね。」
「そうですね…。
その女性はクリスティーナを、とても可愛がっていたように見えました。」
「これは、私のお姉様が魔法で作ってくれました!
ティーナはピンクが好きだから、ピンクの服を沢山作ってくれました!」
突然、私達の会話を聞いていた、クリスティーナが口を開く。
魔法で服を作っただって…?
「まあ!ピンクが好きなのね。とっても可愛いわ。
クリスティーナによく似合っているわよ。
クリスティーナを育ててくれたお姉様のお話を沢山聞かせてね。」
「はい!お姉様は、何でも魔法で作ってくれてすごいの。
ティーナの服は全部お姉様が作ってくれたのです!」
王妃殿下もその話にすぐに食い付いていた。
魔法で服を作った話なんて聞いたことがないから、誰だって興味を持つだろう。
馬車でずっと眠っていたクリスティーナは、疲れた様子もなく、元気におしゃべりを始める。
私達は、おしゃべりが大好きな可愛いクリスティーナの話を聞くことから始まった。
待望の赤ちゃんが産まれました。
アルと同じ色の髪と瞳を持つ女の子で、クリスティーナと名付けたの。
アルの姪になるわね。よく泣く子で毎日大変だけど、とっても可愛いわよ。
いつかこの子を連れて里帰りをする日を楽しみにしているわ。
その時までに、アルも人生の伴侶を見つけておきなさい。〟
海の向こうのラリーア国に嫁いだ姉は、幸せな結婚生活を送っていたようだ。
大好きだった姉の幸せを祈っていた私は、その手紙を読んで、とても安心したことを覚えている。
しかし、それから三ヶ月くらい経ったある日、兄である国王から呼び出され、衝撃的なことを知らされる。
ラリーア国でクーデターが起きて、国王一家が殺されたということだった。
その知らせを聞いた兄は、すぐに暗部の部隊を送り込み、姉の捜索や情報を探らせたものの、生存は絶望的だと判断される。
しかし姉が殺された時に、そこに姉の子供はいなかったらしい。姉が我が国から連れて行ったメイド達も行方不明になっており、姉が子供とメイド達を逃した可能性が出てきたのだった。
そこから、姉の子供を捜す日々が続く。
しかし、ラリーア国中をいくら探しても何の手がかりも掴むことも出来なかった。
もしかしたら、子供を託されたメイドが運良く船に乗れて、我が国に戻ることが出来たのかもしれないと考えた私達は、国内の孤児院を中心に探してみることにした。
だが、なかなか手掛かりは見つからない。
諦めかけたその時、港町の自警団から姉の子供と特徴が一致する女の子がいると連絡がある。
私はすぐにその子供に会いに行くことにした。
自警団から、その女の子が平民の未婚女性と暮らしていると聞き、早速その家に向かうのだが、予想とは違う事ばかりであった。
平民と聞いていたのに、私達を出迎えた女性は平民離れした容姿をしており、言葉遣いや所作は貴族のようだった。
そして姉の子供かもしれない女の子は、とても可愛かった。
確かに私と同じ色を持っている。顔立ちも姉に似ているような気がした。
だが、この女の子の服装は一体…?
貴族の令嬢がお忍びで出掛ける時に着せてもおかしくないような、平民が着るには高そうなワンピースを着て、髪の毛も綺麗に縛って可愛いリボンまで付けている。
本当にただの平民の家なのか?かなり裕福そうにも見える。
そして何となくだが、この女の子がとても大切に育てられていたのが分かった。
女の子に名前を聞くと……
「私の名前はクリスティーナです。」
クリスティーナと言っている。そして同居女性からは、女の子を保護した時に身に付けていた服とおくるみを見せられるのであった。
おくるみには、クリスティーナと名前が刺繍してあった。
そして、ラリーア王家の紋章らしき物も刺繍されていたのだ。
この女の子は姉の子供かもしれない。
これは一度持ち帰って、兄上と義姉上、宰相達に見せよう。
私の報告を聞いた兄達は、その女の子が姉の残したクリスティーナ王女だろうと判断した。
そしてその翌日、私は港町へクリスティーナを迎えに行くことになる。
突然迎えに来た私達を見て、同居女性とクリスティーナは驚いていたようだったが、国王命令だと言えば、あっさりと受け入れてくれた。
「どうかお気をつけて。」
クリスティーナがお姉ちゃんと呼んでいた同居女性は、涙を流して見送っていた……
途中で休憩を取りながら、急いで王都に向かい、午後には王宮に到着することが出来た。
王宮でクリスティーナを待っていた、国王陛下と王妃殿下は、一目見て涙を流す。
「……マーガレットの小さい頃に瓜二つだ。」
「ええ。そっくりですわね。あの頃のマーガレット王女が戻って来たみたいですわ…。」
義理の姉である王妃殿下は、我が国の元公爵令嬢で姉の小さな頃を知っているのだ。
「可愛いワンピースね。アルベルトが買ってあげたのかしら?」
クリスティーナの可愛らしい服装に、王妃殿下がすぐに興味を持つ。
「…いえ。クリスティーナを養育していた平民女性が着せてくれたものです。」
「平民でも、裕福な商家の娘だったのかしら?
こうやって見ると、クリスティーナに合わせて、オーダーで仕立ててくれたみたいによく似合っているわね。布地も良い物を使っているわ。
貧しい生活をしていたのかと心配していたけど、大切にされていたようね。」
「そうですね…。
その女性はクリスティーナを、とても可愛がっていたように見えました。」
「これは、私のお姉様が魔法で作ってくれました!
ティーナはピンクが好きだから、ピンクの服を沢山作ってくれました!」
突然、私達の会話を聞いていた、クリスティーナが口を開く。
魔法で服を作っただって…?
「まあ!ピンクが好きなのね。とっても可愛いわ。
クリスティーナによく似合っているわよ。
クリスティーナを育ててくれたお姉様のお話を沢山聞かせてね。」
「はい!お姉様は、何でも魔法で作ってくれてすごいの。
ティーナの服は全部お姉様が作ってくれたのです!」
王妃殿下もその話にすぐに食い付いていた。
魔法で服を作った話なんて聞いたことがないから、誰だって興味を持つだろう。
馬車でずっと眠っていたクリスティーナは、疲れた様子もなく、元気におしゃべりを始める。
私達は、おしゃべりが大好きな可愛いクリスティーナの話を聞くことから始まった。
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