102 / 102
二度目の話
エピローグ
しおりを挟む
お義兄様からの突然の告白やキスは、私にとって嬉しいことではあったものの、あまりにも衝撃的過ぎて、今の自分の置かれた状況をきちんと理解するまで、少し固まってしまっていた。
お義兄様は私を愛していると言って…、何度もキスをしてきた…
時間差で、例えようもない程の恥ずかしさが私を襲ってくる。
顔が熱いわ……。
恥ずかし過ぎて、お義兄様が見れない…
「アナ…、黙ってしまっているが、そんなに私からキスをされたのは嫌だったか?
ここまでしないと、アナは私の気持ちを信じてくれないだろうし、私を異性として意識してくれないだろう?」
「…お義兄様は、学生時代に秘密の恋人がいましたよね?
学園の校舎裏で一緒に過ごすくらい仲の良い方が。」
私は思い切って、ずっと気になっていたお義兄様の秘密の恋人のことを聞いてみることにした。
「学園の校舎裏…?顔も名前も知らない令嬢に呼び出されて、ストレスを感じたという記憶しかない場所だが。」
え…?恋人と過ごす為に校舎裏に行っていたのではなくて、告白で呼び出されて行っていただけ?
「何で学園の令嬢達は、何かにつけて校舎裏に呼び出すのだろうな?苦痛でしかなかった。
アナが私のバイオリンを聴きに学園の発表会に来てくれた時にも、私の友人を使って呼び出されたな。
迷惑だった記憶しか残っていない。」
お義兄様が心底嫌そうに話している…
私の勘違いだったの?
「でもお義兄様は、マニー国で真剣にアクセサリーを選んでいましたわよね?
あれは、恋人に贈り物を選んでいたのでは?」
「ハァー…。
あの時はアナのデビュタント前だったのだから、宝石店に行けば、真剣になるだろう?
マニー国はブルーダイヤの産出国だから、質のいいブルーダイヤでアナのデビュタントに着けるネックレスを作りたかったんだ。」
そういえば、デビュタントのネックレスは、ブルーダイヤだった…
「マニー国では、美しすぎるアンゲラー公爵令嬢とお義兄様は仲良さそうにしていましたし、お義兄様はあんなタイプの方がお好きなのかと思っていました。」
「アンゲラー公爵令嬢は、今だから言えるが、令嬢と言うよりは令息みたいな人だぞ。
友人としては付き合いやすい人だと思う。ただの学友でしかない。」
え……、あんなに悩んでいたのに、全て私の思い込みだったの…
「ハァー…。
アナは前からよく私の恋を応援しているとか言っていて、私はその度に傷付いていたのだが、そういうことだったのか。
何度も言うが、私はずっとアナだけが好きだった。
今すぐには無理でも、私を一人の男として見てくれないか?
愛しているんだ。」
気づくとお義兄様は、私の手を両手で握っていた。
何をやるにしても余裕だったお義兄様が、必死な顔をしている。
「お義兄様を信じてもいいのでしょうか?」
「信じて欲しいと思っている。
アナ…、頼む!愛しているんだ。」
素直に嬉しかった…。
「ふふっ…。
鋭いはずのお義兄様が気付いていなかったようですが…、私もお義兄様が好きです。
一人の男性として愛していますわ。」
「アナ…!それは本当か?
その言葉は、もう取り消せないぞ。」
「はい。お義兄様こそ、私を愛していると言ったことを取り消さないで下さい。」
「嬉しい…。
私はアナを幸せにすると約束する。」
私の気持ちを伝えた後のお義兄様は、行動が早かった。
すぐに両親に私と婚約したいことを頼んでくれたのだ。
ブレア公爵令息のことで、気持ちが沈んでいた両親は、お義兄様がやはり一番だと言い出して、すんなりと婚約を認めてくれたのだ。
気づくとお義兄様と私は正式な婚約者になっていた。
有能なお義兄様は、こんな時の仕事も早いようだ。
そして今、お義兄様は婚約式で着る私のドレスやアクセサリー選びに夢中な様子。
そんなお義兄様に両親が若干引いていた…。
お義兄様は、私が卒業したらすぐにでも結婚したいと考えているようで、婚約式を終えたら、すぐに結婚式の計画を立てるつもりでいるらしい。
お義兄様がこんなに強引だとは思わなかった。
お義兄様との婚約は友人達も祝福してくれる。
「やはりアナは、お義兄様とそうなるだろうって思っていたわよ。」
「私もよ。だってアナは、お義兄様の話ばかりで他の令息のことなんて見向きもしないんだもの。
あのミルズ先生の誘惑にも負けないくらい、一途だったわよね!」
友人達は全てお見通しだったようだ。
「アナ、良かったわね。
親友のアナを取られたような気持ちになって寂しい気がするけど、私はアナの幸せを祈っているわ。」
「チェルシー、ありがとう。
チェルシーも王太子殿下の婚約者候補として、お茶会をしているのでしょ?
私はチェルシーなら王太子殿下に相応しいと思っているの。
殿下と仲良くね!」
「アナったら、まだ決まってないのに、プレッシャーをかけるのはやめてちょうだい。」
少し前に、王太子殿下にチェルシーを勧めたら、チェルシーは新たな婚約者候補に選ばれてしまったらしい。
本人は初めは嫌がっていたが、殿下のお人柄に惹かれつつあるようで、最近ではお茶会で王太子殿下にお会いすることを楽しみにしているようだ。
優秀なチェルシーならきっと、王太子殿下を支えることが出来ると思っている。
そしてブレア様だが、あの方は今、マニー国で学んでいると聞いた。
お茶会でブレア様のお母様である公爵夫人にお会いする機会があり教えてもらえたことだが、夢中になって研究しているから、しばらくは帰国しないだろうとのことだ。
公爵夫人からは、ブレア様のことはいいから、幸せになりなさいと言われてしまった。息子も貴女の幸せを望んでいるからと…。
ブレア公爵夫人の目を見てふと思ったことがある。
もしかしたら、公爵夫人も記憶があるのかもしれない。
私を見る目が優しいし、社交の場で会った時の私への態度が親しみを感じずにはいられないのだ。
いつかブレア様が帰国した時に、貴方のお陰で私は幸せになれたということをお伝えしたいと思っている。
私がかつて愛した人達が幸せになれますように…
「アナ。明日は婚約式を迎えるが、やっぱり嫌だなんて言わないよな?」
「お義兄様、私はそんなこと言いませんわ。」
「アナ、悪いな…。もしそんなことを言っても、もう離してやれないんだ。」
「分かっていますわ。
お義兄様から逃げようとしても、すぐに捕まってお説教されそうなので、私は無理に逃げるようなことはしません。」
「ふっ…。アナは私をよく分かっているようだ。」
「お義兄様をずっと見てきましたからね。
一度目の時からずっと…。」
「アナ…、私は君と婚約出来ると思っていなかったから、本当に嬉しいんだ。
ずっと一緒にいような。」
「はい。」
私も、あのお義兄様とこんな関係になるだなんて思っていなかった。
一度目の時のお義兄様と私は仲良くはなかったから、こんな風に微笑み合うことはなかったし、お義兄様は常に無表情で近寄り難い人だった。
あの時の私が、お義兄様の本当の優しさに気付いたのは、自分の死の直前だった…。
今世ではお義兄様と一緒に絶対に幸せになるの!
最強のお義兄様が私の婚約者になってくれたのだから、絶対に長生きしてやるんだから!
明日の婚約式を前に、一人で気合を入れる私だった。
終わり
これで完結になります。
最後まで読んで下さった方に感謝いたします。
ありがとうございました。
お義兄様は私を愛していると言って…、何度もキスをしてきた…
時間差で、例えようもない程の恥ずかしさが私を襲ってくる。
顔が熱いわ……。
恥ずかし過ぎて、お義兄様が見れない…
「アナ…、黙ってしまっているが、そんなに私からキスをされたのは嫌だったか?
ここまでしないと、アナは私の気持ちを信じてくれないだろうし、私を異性として意識してくれないだろう?」
「…お義兄様は、学生時代に秘密の恋人がいましたよね?
学園の校舎裏で一緒に過ごすくらい仲の良い方が。」
私は思い切って、ずっと気になっていたお義兄様の秘密の恋人のことを聞いてみることにした。
「学園の校舎裏…?顔も名前も知らない令嬢に呼び出されて、ストレスを感じたという記憶しかない場所だが。」
え…?恋人と過ごす為に校舎裏に行っていたのではなくて、告白で呼び出されて行っていただけ?
「何で学園の令嬢達は、何かにつけて校舎裏に呼び出すのだろうな?苦痛でしかなかった。
アナが私のバイオリンを聴きに学園の発表会に来てくれた時にも、私の友人を使って呼び出されたな。
迷惑だった記憶しか残っていない。」
お義兄様が心底嫌そうに話している…
私の勘違いだったの?
「でもお義兄様は、マニー国で真剣にアクセサリーを選んでいましたわよね?
あれは、恋人に贈り物を選んでいたのでは?」
「ハァー…。
あの時はアナのデビュタント前だったのだから、宝石店に行けば、真剣になるだろう?
マニー国はブルーダイヤの産出国だから、質のいいブルーダイヤでアナのデビュタントに着けるネックレスを作りたかったんだ。」
そういえば、デビュタントのネックレスは、ブルーダイヤだった…
「マニー国では、美しすぎるアンゲラー公爵令嬢とお義兄様は仲良さそうにしていましたし、お義兄様はあんなタイプの方がお好きなのかと思っていました。」
「アンゲラー公爵令嬢は、今だから言えるが、令嬢と言うよりは令息みたいな人だぞ。
友人としては付き合いやすい人だと思う。ただの学友でしかない。」
え……、あんなに悩んでいたのに、全て私の思い込みだったの…
「ハァー…。
アナは前からよく私の恋を応援しているとか言っていて、私はその度に傷付いていたのだが、そういうことだったのか。
何度も言うが、私はずっとアナだけが好きだった。
今すぐには無理でも、私を一人の男として見てくれないか?
愛しているんだ。」
気づくとお義兄様は、私の手を両手で握っていた。
何をやるにしても余裕だったお義兄様が、必死な顔をしている。
「お義兄様を信じてもいいのでしょうか?」
「信じて欲しいと思っている。
アナ…、頼む!愛しているんだ。」
素直に嬉しかった…。
「ふふっ…。
鋭いはずのお義兄様が気付いていなかったようですが…、私もお義兄様が好きです。
一人の男性として愛していますわ。」
「アナ…!それは本当か?
その言葉は、もう取り消せないぞ。」
「はい。お義兄様こそ、私を愛していると言ったことを取り消さないで下さい。」
「嬉しい…。
私はアナを幸せにすると約束する。」
私の気持ちを伝えた後のお義兄様は、行動が早かった。
すぐに両親に私と婚約したいことを頼んでくれたのだ。
ブレア公爵令息のことで、気持ちが沈んでいた両親は、お義兄様がやはり一番だと言い出して、すんなりと婚約を認めてくれたのだ。
気づくとお義兄様と私は正式な婚約者になっていた。
有能なお義兄様は、こんな時の仕事も早いようだ。
そして今、お義兄様は婚約式で着る私のドレスやアクセサリー選びに夢中な様子。
そんなお義兄様に両親が若干引いていた…。
お義兄様は、私が卒業したらすぐにでも結婚したいと考えているようで、婚約式を終えたら、すぐに結婚式の計画を立てるつもりでいるらしい。
お義兄様がこんなに強引だとは思わなかった。
お義兄様との婚約は友人達も祝福してくれる。
「やはりアナは、お義兄様とそうなるだろうって思っていたわよ。」
「私もよ。だってアナは、お義兄様の話ばかりで他の令息のことなんて見向きもしないんだもの。
あのミルズ先生の誘惑にも負けないくらい、一途だったわよね!」
友人達は全てお見通しだったようだ。
「アナ、良かったわね。
親友のアナを取られたような気持ちになって寂しい気がするけど、私はアナの幸せを祈っているわ。」
「チェルシー、ありがとう。
チェルシーも王太子殿下の婚約者候補として、お茶会をしているのでしょ?
私はチェルシーなら王太子殿下に相応しいと思っているの。
殿下と仲良くね!」
「アナったら、まだ決まってないのに、プレッシャーをかけるのはやめてちょうだい。」
少し前に、王太子殿下にチェルシーを勧めたら、チェルシーは新たな婚約者候補に選ばれてしまったらしい。
本人は初めは嫌がっていたが、殿下のお人柄に惹かれつつあるようで、最近ではお茶会で王太子殿下にお会いすることを楽しみにしているようだ。
優秀なチェルシーならきっと、王太子殿下を支えることが出来ると思っている。
そしてブレア様だが、あの方は今、マニー国で学んでいると聞いた。
お茶会でブレア様のお母様である公爵夫人にお会いする機会があり教えてもらえたことだが、夢中になって研究しているから、しばらくは帰国しないだろうとのことだ。
公爵夫人からは、ブレア様のことはいいから、幸せになりなさいと言われてしまった。息子も貴女の幸せを望んでいるからと…。
ブレア公爵夫人の目を見てふと思ったことがある。
もしかしたら、公爵夫人も記憶があるのかもしれない。
私を見る目が優しいし、社交の場で会った時の私への態度が親しみを感じずにはいられないのだ。
いつかブレア様が帰国した時に、貴方のお陰で私は幸せになれたということをお伝えしたいと思っている。
私がかつて愛した人達が幸せになれますように…
「アナ。明日は婚約式を迎えるが、やっぱり嫌だなんて言わないよな?」
「お義兄様、私はそんなこと言いませんわ。」
「アナ、悪いな…。もしそんなことを言っても、もう離してやれないんだ。」
「分かっていますわ。
お義兄様から逃げようとしても、すぐに捕まってお説教されそうなので、私は無理に逃げるようなことはしません。」
「ふっ…。アナは私をよく分かっているようだ。」
「お義兄様をずっと見てきましたからね。
一度目の時からずっと…。」
「アナ…、私は君と婚約出来ると思っていなかったから、本当に嬉しいんだ。
ずっと一緒にいような。」
「はい。」
私も、あのお義兄様とこんな関係になるだなんて思っていなかった。
一度目の時のお義兄様と私は仲良くはなかったから、こんな風に微笑み合うことはなかったし、お義兄様は常に無表情で近寄り難い人だった。
あの時の私が、お義兄様の本当の優しさに気付いたのは、自分の死の直前だった…。
今世ではお義兄様と一緒に絶対に幸せになるの!
最強のお義兄様が私の婚約者になってくれたのだから、絶対に長生きしてやるんだから!
明日の婚約式を前に、一人で気合を入れる私だった。
終わり
これで完結になります。
最後まで読んで下さった方に感謝いたします。
ありがとうございました。
337
お気に入りに追加
8,335
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
古代魔法を専門とする魔法研究者のアンヌッカは、家族と研究所を守るために軍人のライオネルと結婚をする。
ライオネルもまた昇進のために結婚をしなければならず、国王からの命令ということもあり結婚を渋々と引き受ける。
しかし、愛のない結婚をした二人は結婚式当日すら顔を合わせることなく、そのまま離れて暮らすこととなった。
ある日、アンヌッカの父が所長を務める魔法研究所に軍から古代文字で書かれた魔導書の解読依頼が届く。
それは禁帯本で持ち出し不可のため、軍施設に研究者を派遣してほしいという依頼だ。
この依頼に対応できるのは研究所のなかでもアンヌッカしかいない。
しかし軍人の妻が軍に派遣されて働くというのは体裁が悪いし何よりも会ったことのない夫が反対するかもしれない。
そう思ったアンヌッカたちは、アンヌッカを親戚の娘のカタリーナとして軍に送り込んだ――。
素性を隠したまま働く妻に、知らぬ間に惹かれていく(恋愛にはぽんこつ)夫とのラブコメディ。
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……
矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。
『もう君はいりません、アリスミ・カロック』
恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。
恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。
『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』
『えっ……』
任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。
私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。
それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。
――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。
※このお話の設定は架空のものです。
※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる