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二度目の話
お似合いの二人
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マニー国の第三王子殿下とのダンスを終えた後、私とお義兄様はすぐに邸に帰って来た。
ハァー。今日も疲れたわね。
私が王子殿下とダンスをしている間、お義兄様はアンゲラー公爵令嬢とダンスを踊っていたけど、二人はとてもお似合いだったなぁ。
長身で美形のお義兄様と、スタイル抜群で女神様のような美貌のアンゲラー公爵令嬢は、楽しそうに会話をしながら踊っていて、完璧な恋人同士のように見えた。
もしかして、お義兄様の新しい恋人だったりして…。
それとも、お義兄様の片想いだったりする?
アンゲラー公爵令嬢と会話をするお義兄様は、他の令嬢方に対する態度とは違って見えたし、とにかく楽しそうに踊っていたわ。
あんなお義兄様の表情は初めて見たかも知れない。
お義兄様のことが気になり過ぎて、王子殿下とのダンスはあまり覚えていないのよね…。
ハァー。ブラコンを早く卒業したい!
どうしたら、ブラコンを卒業出来るのかしらね。
「アナ、デビュタントを終えてから元気がないな。
第三王子殿下がアナにプレッシャーをかけるから、疲れてしまったか?
王子殿下は、アナが王太子殿下の大勢いる婚約者の中の一人だということを知らないようだから厄介だな。
王子殿下としては、マニー国の貴族達から、私達がぞんざいな扱いを受けないようにと、気を遣ってくれているのだろうが…。」
「お義兄様、私は大丈夫ですわ。
最近忙しかったので、少し疲れが溜まっているだけだと思います。
どちらにしても、この国にいられるのはあと数ヶ月だけですから、今まで通りにしっかりやろうと思っておりますわ。」
「そうだな。あと数ヶ月後には帰国するのだから、今まで通りに頑張れば何の問題もないし、残りの期間も楽しく過ごそうな。」
楽しく…?
「お義兄様、アンゲラー公爵令嬢はとても素敵なお方ですわね。
私、アンゲラー公爵令嬢の凛とした美しいお姿に、とても憧れてしまいましたわ。」
アンゲラー公爵令嬢のことがずっと気になっていた私は、お義兄様に彼女の話題を振っていた。
「彼女はとても優秀な御令嬢だ。
デビュタントの日、私達に絡んできたバルツァー伯爵令嬢のような、男ばかりのアカデミーに結婚相手を探しに来ただけの令嬢とは全然違う。」
お義兄様が御令嬢を褒めている姿を初めて見た…
勉学に対して、非常に厳しいスタンスのお義兄様が認めるくらい、凄い方ってことなのね。
「そこまで優秀で、お美しくて、公爵令嬢という身分のお方ですから、きっとアカデミーでは殿方に人気なのでしょうね。」
「いや…。あれは…、どうだろうな。」
お義兄様が珍しく言葉を詰まらせている!
どういうこと?
「彼女はアカデミーを卒業したら、農業大国のラース国の王子に嫁ぐらしい。
ラース国で役に立ちたいからと、アカデミーでは農業を選択して勉強しているんだ。」
「え!ラース国に嫁がれるのですか?
お義兄様はそれでいいのですか?」
「アナ、彼女は国のための政略結婚で嫁ぐのだ。
マニー国は、経済大国で医療も進んでいるが、野菜や果物・小麦などはラース国からの輸入に頼っている。
だから、彼女がラース国に嫁ぐということは、大きな意味を持つものなんだよ。
私は彼女の友人の一人として、彼女のこれからの幸せを祈りたいと思っている。」
「そうですか…。」
アンゲラー公爵令嬢は、本当にすごい方なのね。
嫁ぎ先で役に立ちたいからと、アカデミーでしっかり勉強して、お義兄様に認められるくらい優秀で。
死神に関わりたくないという理由で、お義兄様や使用人達を道連れにして、留学に来ている私とは大違いだわ。
いつもお義兄様におっちょこちょいだとバカにされている、ちんちくりんの私とは大違い…。
あっ!私…、また卑屈になっている。
これでは一度目の時の私と一緒だわ。
駄目よ。今世はあの時とは別の生き方をすると決めているのだから。
今の私に出来ることは、留学生として学業で結果を出すことよ。
しっかりやらないと!
ハァー。今日も疲れたわね。
私が王子殿下とダンスをしている間、お義兄様はアンゲラー公爵令嬢とダンスを踊っていたけど、二人はとてもお似合いだったなぁ。
長身で美形のお義兄様と、スタイル抜群で女神様のような美貌のアンゲラー公爵令嬢は、楽しそうに会話をしながら踊っていて、完璧な恋人同士のように見えた。
もしかして、お義兄様の新しい恋人だったりして…。
それとも、お義兄様の片想いだったりする?
アンゲラー公爵令嬢と会話をするお義兄様は、他の令嬢方に対する態度とは違って見えたし、とにかく楽しそうに踊っていたわ。
あんなお義兄様の表情は初めて見たかも知れない。
お義兄様のことが気になり過ぎて、王子殿下とのダンスはあまり覚えていないのよね…。
ハァー。ブラコンを早く卒業したい!
どうしたら、ブラコンを卒業出来るのかしらね。
「アナ、デビュタントを終えてから元気がないな。
第三王子殿下がアナにプレッシャーをかけるから、疲れてしまったか?
王子殿下は、アナが王太子殿下の大勢いる婚約者の中の一人だということを知らないようだから厄介だな。
王子殿下としては、マニー国の貴族達から、私達がぞんざいな扱いを受けないようにと、気を遣ってくれているのだろうが…。」
「お義兄様、私は大丈夫ですわ。
最近忙しかったので、少し疲れが溜まっているだけだと思います。
どちらにしても、この国にいられるのはあと数ヶ月だけですから、今まで通りにしっかりやろうと思っておりますわ。」
「そうだな。あと数ヶ月後には帰国するのだから、今まで通りに頑張れば何の問題もないし、残りの期間も楽しく過ごそうな。」
楽しく…?
「お義兄様、アンゲラー公爵令嬢はとても素敵なお方ですわね。
私、アンゲラー公爵令嬢の凛とした美しいお姿に、とても憧れてしまいましたわ。」
アンゲラー公爵令嬢のことがずっと気になっていた私は、お義兄様に彼女の話題を振っていた。
「彼女はとても優秀な御令嬢だ。
デビュタントの日、私達に絡んできたバルツァー伯爵令嬢のような、男ばかりのアカデミーに結婚相手を探しに来ただけの令嬢とは全然違う。」
お義兄様が御令嬢を褒めている姿を初めて見た…
勉学に対して、非常に厳しいスタンスのお義兄様が認めるくらい、凄い方ってことなのね。
「そこまで優秀で、お美しくて、公爵令嬢という身分のお方ですから、きっとアカデミーでは殿方に人気なのでしょうね。」
「いや…。あれは…、どうだろうな。」
お義兄様が珍しく言葉を詰まらせている!
どういうこと?
「彼女はアカデミーを卒業したら、農業大国のラース国の王子に嫁ぐらしい。
ラース国で役に立ちたいからと、アカデミーでは農業を選択して勉強しているんだ。」
「え!ラース国に嫁がれるのですか?
お義兄様はそれでいいのですか?」
「アナ、彼女は国のための政略結婚で嫁ぐのだ。
マニー国は、経済大国で医療も進んでいるが、野菜や果物・小麦などはラース国からの輸入に頼っている。
だから、彼女がラース国に嫁ぐということは、大きな意味を持つものなんだよ。
私は彼女の友人の一人として、彼女のこれからの幸せを祈りたいと思っている。」
「そうですか…。」
アンゲラー公爵令嬢は、本当にすごい方なのね。
嫁ぎ先で役に立ちたいからと、アカデミーでしっかり勉強して、お義兄様に認められるくらい優秀で。
死神に関わりたくないという理由で、お義兄様や使用人達を道連れにして、留学に来ている私とは大違いだわ。
いつもお義兄様におっちょこちょいだとバカにされている、ちんちくりんの私とは大違い…。
あっ!私…、また卑屈になっている。
これでは一度目の時の私と一緒だわ。
駄目よ。今世はあの時とは別の生き方をすると決めているのだから。
今の私に出来ることは、留学生として学業で結果を出すことよ。
しっかりやらないと!
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