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二度目の話
学園生活
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「アナ、明後日の放課後って暇かしら?
新しいカフェのパンケーキが美味しいって聞いたから行ってみたいんだけど、一緒に食べに行かない?」
「明後日なら、大丈夫だと思うわ。
お義兄様に聞いてみるわね。」
チェルシー・クラーク伯爵令嬢とは、一度目の人生の時よりもかなり親しくなり、お互いを呼び捨てで呼び合うくらいに仲良くなっていた。
実は私…、学園生活を非常に楽しんでいる。
こんなに毎日が楽しいなんて、初めてのことだと思う。
一度目の時は、王妃教育が大変過ぎて、純粋に学園生活を楽しむ暇がなかった。
放課後はいつも王宮に行っていたので、こんな風に友人と出かける機会なんて全くなかったのだ。
しかも、王太子殿下の婚約者の私を引きずり下ろそうと、悪意を持って絡んでくる令嬢が沢山いて、嫌な思いを沢山したし、心が休まる暇はほとんど無かったように思う。
今は外国からの留学生という立場である為、この国の女の戦いには無関係な人物として認識されているようで、面倒な令嬢は滅多に絡んでこない。
更に、留学初日にこの国の王子殿下がみんなに話をしてくれたことが効いているのか、厄介そうな令息にすら絡まれないのだ。
あの王子殿下、怒ったら怖そうだし、話をしてくれた時もすごく迫力があったから、貴族達はみんないうことを聞くのね…
留学を終えて国に帰ったら、王太子殿下には素直にお礼を伝えよう。
殿下のお陰で留学生活は最高でしたと。
一度目の人生での学園生活は、私にとって試練でしかなかったけど、マニー国での学園生活は最高に楽しかったと報告しよう!
お義兄様には、その日の夜、チェルシーと放課後にカフェに行って来て良いか、聞いてみることにした。
「お義兄様。明後日の放課後ですが、クラーク伯爵令嬢とカフェに行って来てもよろしいでしょうか?」
「明後日か…。必ず護衛騎士も連れて行くように。
暗くなる前には帰って来るんだ。分かったね?」
「はい。分かりました。」
「それともうすぐテストだから、きちんと勉強するように!」
「うっ…。分かっておりますわ。」
お義兄様は、基本は優しい人なのだけど、勉強のことには厳しい人なのよ。
でも、お金を掛けてこうやって留学させてもらっているのだから、頑張らないといけないのよね。
チェルシーと一緒に食べたパンケーキはとても美味しかった。
「チェルシー。このパンケーキ、美味しいわ!
こんなステキなお店を教えてくれてありがとう。」
「ふふっ!それは良かったわ。
今度は大好きなお義兄様と一緒に、デートで来なさいね!」
「そうね。お義兄様を誘ってみようかしら。」
「ねぇ、アナはお義兄様とは血は繋がってないのよね?
もう恋人になっちゃえ!」
胸がズキンと痛んだような気がした…
「私達にはそんな感情はないわ。大好きだけど、それは家族としてよ。
それにお義兄様には、私達家族に内緒で秘密の恋人がいるの。
今は遠距離恋愛をしているみたい。私はお義兄様の恋を応援するって決めているのよ。」
「えっ?それは本当なの?
アナのお義兄様とアナが二人でいるところを見た人達は、二人が恋人同士のようだったと言っていたわよ。それくらい仲が良さそうなのに、恋愛感情がないなんて信じられないわ。
王太子殿下の婚約者候補と言っても、他にも沢山婚約者候補はいるから、アナが婚約者になるとは決まってないんでしょ?」
「殿下の婚約者候補は沢山いるから、私は人数合わせに近いような感じね。
お義兄様には恋人がいるみたいなのだけど、まだ家族には隠しているのよね。
学園の学生だった時に、恋人と一緒に過ごしていたようだし、少し前には宝石店で恋人へのプレゼントを真剣に選んでいたのよ。
早く私に正直に打ち明けてくれればいいなって思っているわ。」
「それでアナはいいの?
アナのお義兄様に恋人がいたとして、本当に心から祝福出来る?」
「勿論よ。お義兄様の幸せは私の幸せでもあるの。
ブラコンの私としては少しは寂しく感じるかもしれないけど、ただそれだけよ。」
「それならいいけど、その恋人って本当にいるのよね?
アナの勘違いだったりして…。
ほら、アナって優秀なようで少し抜けているところがあるから。」
「私がおっちょこちょいなのは認めるけど、この話は本当よ。」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、邸に帰った私は、テストに向けてガリ勉を再開することにした。
新しいカフェのパンケーキが美味しいって聞いたから行ってみたいんだけど、一緒に食べに行かない?」
「明後日なら、大丈夫だと思うわ。
お義兄様に聞いてみるわね。」
チェルシー・クラーク伯爵令嬢とは、一度目の人生の時よりもかなり親しくなり、お互いを呼び捨てで呼び合うくらいに仲良くなっていた。
実は私…、学園生活を非常に楽しんでいる。
こんなに毎日が楽しいなんて、初めてのことだと思う。
一度目の時は、王妃教育が大変過ぎて、純粋に学園生活を楽しむ暇がなかった。
放課後はいつも王宮に行っていたので、こんな風に友人と出かける機会なんて全くなかったのだ。
しかも、王太子殿下の婚約者の私を引きずり下ろそうと、悪意を持って絡んでくる令嬢が沢山いて、嫌な思いを沢山したし、心が休まる暇はほとんど無かったように思う。
今は外国からの留学生という立場である為、この国の女の戦いには無関係な人物として認識されているようで、面倒な令嬢は滅多に絡んでこない。
更に、留学初日にこの国の王子殿下がみんなに話をしてくれたことが効いているのか、厄介そうな令息にすら絡まれないのだ。
あの王子殿下、怒ったら怖そうだし、話をしてくれた時もすごく迫力があったから、貴族達はみんないうことを聞くのね…
留学を終えて国に帰ったら、王太子殿下には素直にお礼を伝えよう。
殿下のお陰で留学生活は最高でしたと。
一度目の人生での学園生活は、私にとって試練でしかなかったけど、マニー国での学園生活は最高に楽しかったと報告しよう!
お義兄様には、その日の夜、チェルシーと放課後にカフェに行って来て良いか、聞いてみることにした。
「お義兄様。明後日の放課後ですが、クラーク伯爵令嬢とカフェに行って来てもよろしいでしょうか?」
「明後日か…。必ず護衛騎士も連れて行くように。
暗くなる前には帰って来るんだ。分かったね?」
「はい。分かりました。」
「それともうすぐテストだから、きちんと勉強するように!」
「うっ…。分かっておりますわ。」
お義兄様は、基本は優しい人なのだけど、勉強のことには厳しい人なのよ。
でも、お金を掛けてこうやって留学させてもらっているのだから、頑張らないといけないのよね。
チェルシーと一緒に食べたパンケーキはとても美味しかった。
「チェルシー。このパンケーキ、美味しいわ!
こんなステキなお店を教えてくれてありがとう。」
「ふふっ!それは良かったわ。
今度は大好きなお義兄様と一緒に、デートで来なさいね!」
「そうね。お義兄様を誘ってみようかしら。」
「ねぇ、アナはお義兄様とは血は繋がってないのよね?
もう恋人になっちゃえ!」
胸がズキンと痛んだような気がした…
「私達にはそんな感情はないわ。大好きだけど、それは家族としてよ。
それにお義兄様には、私達家族に内緒で秘密の恋人がいるの。
今は遠距離恋愛をしているみたい。私はお義兄様の恋を応援するって決めているのよ。」
「えっ?それは本当なの?
アナのお義兄様とアナが二人でいるところを見た人達は、二人が恋人同士のようだったと言っていたわよ。それくらい仲が良さそうなのに、恋愛感情がないなんて信じられないわ。
王太子殿下の婚約者候補と言っても、他にも沢山婚約者候補はいるから、アナが婚約者になるとは決まってないんでしょ?」
「殿下の婚約者候補は沢山いるから、私は人数合わせに近いような感じね。
お義兄様には恋人がいるみたいなのだけど、まだ家族には隠しているのよね。
学園の学生だった時に、恋人と一緒に過ごしていたようだし、少し前には宝石店で恋人へのプレゼントを真剣に選んでいたのよ。
早く私に正直に打ち明けてくれればいいなって思っているわ。」
「それでアナはいいの?
アナのお義兄様に恋人がいたとして、本当に心から祝福出来る?」
「勿論よ。お義兄様の幸せは私の幸せでもあるの。
ブラコンの私としては少しは寂しく感じるかもしれないけど、ただそれだけよ。」
「それならいいけど、その恋人って本当にいるのよね?
アナの勘違いだったりして…。
ほら、アナって優秀なようで少し抜けているところがあるから。」
「私がおっちょこちょいなのは認めるけど、この話は本当よ。」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、邸に帰った私は、テストに向けてガリ勉を再開することにした。
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