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二度目の話
お義兄様の卒業
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お義兄様は、私が殿下の婚約者候補になることを、倒れるほどに嫌がっていたことに対して、とても心配していたようだった。
「アナ、殿下とのお茶会はどうだった?
気分が悪くなったりしていないか?」
お義兄様は今日も優しい…
「はい。大丈夫でした。」
「どうしても婚約者候補が嫌なら、体調が悪いことを理由に辞退させてもらうか?」
それもいいけど、私の体調が悪いことにしちゃうと、私に縁談の申し込みが来なくなってしまって、結婚相手が見つからなくなってしまうかもしれないからね。
私に結婚相手が見つからなかったら、お義兄様に迷惑を掛けてしまうことになるから、それはダメなのよ!
「お義兄様、時期が来るまでは我慢することにしました。
時期が来たら、殿下の婚約者候補を辞退しますので、その後にお義兄様が決めた人とお見合いをしますわ。」
「…アナはそれでいいのか?
私が決めた男なら、本当にいいのか?」
「はい!私は大好きなお義兄様を信頼していますから!」
「アナ……」
真顔のお義兄様が私を抱き寄せてきた。
ブラコンとしては嬉しいけど、お義兄様から見て、私はそこまで哀れな義妹に見えるのかしら?
「お義兄様、いつも心配を掛けてしまってごめんなさい。」
「…アナが可愛いから、どうしても不安になってしまうんだ。
私こそ、こんな義兄で悪いな。
愛してる、アナ…」
「私もお義兄様を愛してますわ。
ふふっ!お義兄様が大好きです。」
ブラコンとシスコンの両想いってやつね。
でも、お義兄様の秘密の恋人がこの現場を見たら、ドン引きされそうだから、いつまでも小さな子供みたいに、お義兄様にベタベタするのは良くないわね。
少しずつ、義兄妹らしい距離感を保てるようにしなくちゃいけないわ。
留学準備とガリ勉、時々お茶会などで忙しい日々を送っていた私は15歳になり、お義兄様の貴族学園の卒業まであと少しになっていた。
ある日の休日、家族みんなでお茶をしている時だった。
「大公殿下と隣国の第一王女殿下が正式に婚約するらしい。来年には我が国に輿入れしてくるようだ。
隣国との同盟を強化する目的らしいな。」
「何年も前からお二人は交流していたようで、相思相愛だとお聞きしましたわよ。」
「アルバーン公爵令嬢はもうすぐマニー国の第二王子に嫁ぐし、おめでたいことばかりだな。」
お父様とお母様は今、何て…?
「お父様。大公殿下と隣国の第一王女殿下が婚約するのですか?」
「ああ。同盟強化が目的らしいぞ。」
一度目の時は、同盟強化が目的で、王太子殿下と隣国の第二王女殿下が結婚することになって、私との婚約は解消になった。
大公殿下の方は、アルバーン公爵令嬢と結婚したのよね。
もしかして…、今世の殿下が何かしたのかしら?
一度目の時、大公殿下とアルバーン公爵令嬢は不仲説があったのよね。
今世で隣国の第一王女殿下が大公殿下と結婚したら、殿下と隣国の第二王女殿下の政略結婚は考えられなくなる。
私は死んでしまったから分からないけど、一度目の時、殿下と第二王女殿下は結婚した後に、上手くいかなかったのかしら?
もしかしたら…、第二王女殿下には祖国に愛する人がいたのかも。
きっとそうだわ!第二王女殿下が祖国で愛する人と結ばれるようにと、今世の殿下が色々と動いたってことなのね。
さすが殿下だわ。本当にいい人!
殿下も結婚生活で苦労したのに、私ったら、自分だけが不幸になったと思い込んで、殿下に失礼な態度を取ってしまって悪かったわね。
それなのに殿下は、私に謝ってくれた。
殿下に話を聞きに行きたいけど、会いに行ったりしたら、周りに何て思われるか分からないから無理ね。
殿下の辛い過去を根掘り葉掘り聞くのも失礼だし…。
今世の殿下の幸せを、陰ながら応援しようと思った私だった。
そしてお義兄様の卒業式の日を迎える。
本当はお義兄様の卒業式を見に行きたかったけど、死神に会いたくないから行かない…
お父様とお母様が卒業式に行ってしまうから、今日は私一人でダラダラ過ごしてよう。
数時間後、卒業式を終えたお父様・お母様、お義兄様が帰ってきた。
お義兄様は、成績優秀者で表彰されたらしい…
見に行きたかったわ!
その後お義兄様は、学園の卒業パーティーに出席するために、正装に着替えてまた出掛けるようだ。
「ルーク、卒業パーティーは18時よね?
まだ早いけど、もう出発するの?」
「ええ。今日は友人を迎えに行かなくてはならないので、少し早めに出発しようと思います。」
「あら、気を付けて行ってくるのよ。」
「はい。義母上、行ってきます。
アナ、今日はあまり一緒に過ごせなくて残念だけど、明日は二人で出掛けよう。
じゃあ、行ってくるよ!」
「お義兄様。私のことは気になさらないで、楽しんで来て下さいね。
行ってらっしゃいませ。」
お義兄様は、友人を迎えに行くって言ってたけど、恐らく秘密の恋人を迎えに行ったのね。
卒業パーティーは、学園内に婚約者や恋人がいればその人をエスコートするし、仲のいい異性がいればその人をエスコートすることもあるけど、パートナーがいなくても別に大丈夫だったと思う。
私は一度目の時は、一年生の時だけ婚約者の殿下にエスコートしてもらい、二年生と三年生の時は、パートナーなしで、女の子の友人達と参加したんだ。
だから、お義兄様がわざわざ馬車で迎えに行くってことは、その方は恋人か仲の良い異性としか考えられない。
恐らく、学園の校舎裏で一緒に過ごしている秘密の恋人だわ…
そんな大切な人がいるのに、お義兄様はもうすぐ私と一緒にマニー国に旅立たないと行けないなんて…
本当に申し訳ないわ。
胸がすごく痛む…
「アナ、殿下とのお茶会はどうだった?
気分が悪くなったりしていないか?」
お義兄様は今日も優しい…
「はい。大丈夫でした。」
「どうしても婚約者候補が嫌なら、体調が悪いことを理由に辞退させてもらうか?」
それもいいけど、私の体調が悪いことにしちゃうと、私に縁談の申し込みが来なくなってしまって、結婚相手が見つからなくなってしまうかもしれないからね。
私に結婚相手が見つからなかったら、お義兄様に迷惑を掛けてしまうことになるから、それはダメなのよ!
「お義兄様、時期が来るまでは我慢することにしました。
時期が来たら、殿下の婚約者候補を辞退しますので、その後にお義兄様が決めた人とお見合いをしますわ。」
「…アナはそれでいいのか?
私が決めた男なら、本当にいいのか?」
「はい!私は大好きなお義兄様を信頼していますから!」
「アナ……」
真顔のお義兄様が私を抱き寄せてきた。
ブラコンとしては嬉しいけど、お義兄様から見て、私はそこまで哀れな義妹に見えるのかしら?
「お義兄様、いつも心配を掛けてしまってごめんなさい。」
「…アナが可愛いから、どうしても不安になってしまうんだ。
私こそ、こんな義兄で悪いな。
愛してる、アナ…」
「私もお義兄様を愛してますわ。
ふふっ!お義兄様が大好きです。」
ブラコンとシスコンの両想いってやつね。
でも、お義兄様の秘密の恋人がこの現場を見たら、ドン引きされそうだから、いつまでも小さな子供みたいに、お義兄様にベタベタするのは良くないわね。
少しずつ、義兄妹らしい距離感を保てるようにしなくちゃいけないわ。
留学準備とガリ勉、時々お茶会などで忙しい日々を送っていた私は15歳になり、お義兄様の貴族学園の卒業まであと少しになっていた。
ある日の休日、家族みんなでお茶をしている時だった。
「大公殿下と隣国の第一王女殿下が正式に婚約するらしい。来年には我が国に輿入れしてくるようだ。
隣国との同盟を強化する目的らしいな。」
「何年も前からお二人は交流していたようで、相思相愛だとお聞きしましたわよ。」
「アルバーン公爵令嬢はもうすぐマニー国の第二王子に嫁ぐし、おめでたいことばかりだな。」
お父様とお母様は今、何て…?
「お父様。大公殿下と隣国の第一王女殿下が婚約するのですか?」
「ああ。同盟強化が目的らしいぞ。」
一度目の時は、同盟強化が目的で、王太子殿下と隣国の第二王女殿下が結婚することになって、私との婚約は解消になった。
大公殿下の方は、アルバーン公爵令嬢と結婚したのよね。
もしかして…、今世の殿下が何かしたのかしら?
一度目の時、大公殿下とアルバーン公爵令嬢は不仲説があったのよね。
今世で隣国の第一王女殿下が大公殿下と結婚したら、殿下と隣国の第二王女殿下の政略結婚は考えられなくなる。
私は死んでしまったから分からないけど、一度目の時、殿下と第二王女殿下は結婚した後に、上手くいかなかったのかしら?
もしかしたら…、第二王女殿下には祖国に愛する人がいたのかも。
きっとそうだわ!第二王女殿下が祖国で愛する人と結ばれるようにと、今世の殿下が色々と動いたってことなのね。
さすが殿下だわ。本当にいい人!
殿下も結婚生活で苦労したのに、私ったら、自分だけが不幸になったと思い込んで、殿下に失礼な態度を取ってしまって悪かったわね。
それなのに殿下は、私に謝ってくれた。
殿下に話を聞きに行きたいけど、会いに行ったりしたら、周りに何て思われるか分からないから無理ね。
殿下の辛い過去を根掘り葉掘り聞くのも失礼だし…。
今世の殿下の幸せを、陰ながら応援しようと思った私だった。
そしてお義兄様の卒業式の日を迎える。
本当はお義兄様の卒業式を見に行きたかったけど、死神に会いたくないから行かない…
お父様とお母様が卒業式に行ってしまうから、今日は私一人でダラダラ過ごしてよう。
数時間後、卒業式を終えたお父様・お母様、お義兄様が帰ってきた。
お義兄様は、成績優秀者で表彰されたらしい…
見に行きたかったわ!
その後お義兄様は、学園の卒業パーティーに出席するために、正装に着替えてまた出掛けるようだ。
「ルーク、卒業パーティーは18時よね?
まだ早いけど、もう出発するの?」
「ええ。今日は友人を迎えに行かなくてはならないので、少し早めに出発しようと思います。」
「あら、気を付けて行ってくるのよ。」
「はい。義母上、行ってきます。
アナ、今日はあまり一緒に過ごせなくて残念だけど、明日は二人で出掛けよう。
じゃあ、行ってくるよ!」
「お義兄様。私のことは気になさらないで、楽しんで来て下さいね。
行ってらっしゃいませ。」
お義兄様は、友人を迎えに行くって言ってたけど、恐らく秘密の恋人を迎えに行ったのね。
卒業パーティーは、学園内に婚約者や恋人がいればその人をエスコートするし、仲のいい異性がいればその人をエスコートすることもあるけど、パートナーがいなくても別に大丈夫だったと思う。
私は一度目の時は、一年生の時だけ婚約者の殿下にエスコートしてもらい、二年生と三年生の時は、パートナーなしで、女の子の友人達と参加したんだ。
だから、お義兄様がわざわざ馬車で迎えに行くってことは、その方は恋人か仲の良い異性としか考えられない。
恐らく、学園の校舎裏で一緒に過ごしている秘密の恋人だわ…
そんな大切な人がいるのに、お義兄様はもうすぐ私と一緒にマニー国に旅立たないと行けないなんて…
本当に申し訳ないわ。
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