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二度目の話
もう過去の人
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殿下と親しくすると、赤ドレス軍団に目をつけられて面倒だし、また暗殺者が来るかもしれない。
婚約者になったら、最終的にまたあの男に押し付けられて不幸な結婚生活になるし、バーカー子爵令嬢がいなくなっても、また別の愛人に命を狙われるかもしれないのよ。あの男の女の趣味は最悪だからね。
それにあのメイド長が愛人と手を組んで、また私に毒を盛ってくるかもしれないわ!
やはり茨の道になる未来しか見えない。
絶対に殿下はダメよ!
毒殺されたくないんだから!
「殿下、私達はあの時に終わったのです。
ですから、このようにされるのはもうやめて下さいませ。
私も、つい殿下の前で粗相をしてしまい申し訳ありませんでした。
これからは過去にこだわらずに、お互い別々の人生を楽しみましょう。
私は今度こそは死なずに、殿下の幸せを見届けられたら嬉しいと思っていますわ。」
そこまで言うと、殿下は私を離してくれたのだが…
「アナは残酷なことを言うな。やっと再会出来たのに…。
今度は絶対に君をあんな風にはさせない!
アナは来年、貴族学園に入学しないで留学するのだよな?私としては残念だが、それはそれで良いのかもしれない。
あのコールマン侯爵令息が一緒なら大丈夫だろう。
今日は遅くなってしまったから、また今度話そう。」
えー!また話すの?
「私は、またお呼び出しされるのですか?」
「アナ。私だって、アナのその表情と言葉は傷つくよ…。」
「あ…、申し訳ありません。
でも、殿下と親しくすると面倒な方々が絡んでくるのがちょっと…。」
「大丈夫だ…と思う。
さっき女狐達には、また茶会に呼ばれたいなら、己の行動に注意しろと念を押したからな。」
なるほど…。一人ひとり面談と言って呼び出して、注意したってことなのね。さすが殿下だわ。
ハァー。今日も疲れたわ…
殿下との面談を終えた私は、馬車に乗ってぐったりしていた。
殿下も一度目の記憶を持っていたなんて、全く分からなかった。
でも今考えると、殿下も記憶があるからこそ、一度目とは違う動きをしていたってことなのね。
〝今度はあんな風にさせない〟って言ってくれたってことは、殿下は私が死なないように助けてくれるってことかしら?
それならラッキーね。殿下の死神認定は取り消してあげよう。
でも、殿下に関わりすぎると碌なことがないから、その辺は気をつけないといけない。
殿下と話をして、つい一度目の辛かったことを思い出して泣いてしまったけど、何だかスッキリしたような気がする。
私にとって、殿下はもう過去の人なのね。お互いを良く知っていて、何でも話せる古い友人のような感じがしたわ。
でも、さっき殿下は怖いことを言っていた。
『ブレア公爵家に気を付けろ。』と。
殿下はブレア公爵家の誰かが、記憶持ちなのではないかと言っていた。令息が一番怪しいが、公爵閣下や夫人の動きも気になるから、まだ誰なのかは断定出来ないと。
ブレア公爵家と殿下は仲が良かったはずなのに、今世では警戒して見ていることに驚いたわ。
もし、ブレア公爵家の誰かがあの時の記憶があるとして、なぜ私に近づいてくる必要があるのか理解出来ないからこそ怖いわ…。
お茶会に誘われても、絶対に一人では行かないようにしよう。
馬車が侯爵家のタウンハウスに到着したようだ。
馬車を降りた先で待っていたのはお義兄様だった。
「アナ、お帰り。
随分と帰りが遅かったから心配していた。もう少し待っていても戻らない時は、王宮に迎えに行こうかと思っていたんだ。」
お義兄様の顔を見てホッとする私。
ああ、安心するー。
「ただいま帰りました。
お義兄様、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。」
「アナ、疲れてないか?
たまには、私がアナにお茶を入れてやろう。」
「えっ!お義兄様がですか?」
「ああ。アナほど上手には出来ないが、アナが疲れた顔をしているからな。」
なんて優しいの。
やっぱり結婚するなら、こんな風に優しい人がいいわ。
あんな風に影でコソコソと隠れて、根性の悪い愛人とよろしくやっているような男とは、二度と結婚しないんだから。
「嬉しいですわ。」
「そうか。じゃあ、お茶の準備をしてもらおう。」
お義兄様の淹れてくれたお茶を美味しく頂いた数日後、私にとっての不幸の手紙が届くのであった。
婚約者になったら、最終的にまたあの男に押し付けられて不幸な結婚生活になるし、バーカー子爵令嬢がいなくなっても、また別の愛人に命を狙われるかもしれないのよ。あの男の女の趣味は最悪だからね。
それにあのメイド長が愛人と手を組んで、また私に毒を盛ってくるかもしれないわ!
やはり茨の道になる未来しか見えない。
絶対に殿下はダメよ!
毒殺されたくないんだから!
「殿下、私達はあの時に終わったのです。
ですから、このようにされるのはもうやめて下さいませ。
私も、つい殿下の前で粗相をしてしまい申し訳ありませんでした。
これからは過去にこだわらずに、お互い別々の人生を楽しみましょう。
私は今度こそは死なずに、殿下の幸せを見届けられたら嬉しいと思っていますわ。」
そこまで言うと、殿下は私を離してくれたのだが…
「アナは残酷なことを言うな。やっと再会出来たのに…。
今度は絶対に君をあんな風にはさせない!
アナは来年、貴族学園に入学しないで留学するのだよな?私としては残念だが、それはそれで良いのかもしれない。
あのコールマン侯爵令息が一緒なら大丈夫だろう。
今日は遅くなってしまったから、また今度話そう。」
えー!また話すの?
「私は、またお呼び出しされるのですか?」
「アナ。私だって、アナのその表情と言葉は傷つくよ…。」
「あ…、申し訳ありません。
でも、殿下と親しくすると面倒な方々が絡んでくるのがちょっと…。」
「大丈夫だ…と思う。
さっき女狐達には、また茶会に呼ばれたいなら、己の行動に注意しろと念を押したからな。」
なるほど…。一人ひとり面談と言って呼び出して、注意したってことなのね。さすが殿下だわ。
ハァー。今日も疲れたわ…
殿下との面談を終えた私は、馬車に乗ってぐったりしていた。
殿下も一度目の記憶を持っていたなんて、全く分からなかった。
でも今考えると、殿下も記憶があるからこそ、一度目とは違う動きをしていたってことなのね。
〝今度はあんな風にさせない〟って言ってくれたってことは、殿下は私が死なないように助けてくれるってことかしら?
それならラッキーね。殿下の死神認定は取り消してあげよう。
でも、殿下に関わりすぎると碌なことがないから、その辺は気をつけないといけない。
殿下と話をして、つい一度目の辛かったことを思い出して泣いてしまったけど、何だかスッキリしたような気がする。
私にとって、殿下はもう過去の人なのね。お互いを良く知っていて、何でも話せる古い友人のような感じがしたわ。
でも、さっき殿下は怖いことを言っていた。
『ブレア公爵家に気を付けろ。』と。
殿下はブレア公爵家の誰かが、記憶持ちなのではないかと言っていた。令息が一番怪しいが、公爵閣下や夫人の動きも気になるから、まだ誰なのかは断定出来ないと。
ブレア公爵家と殿下は仲が良かったはずなのに、今世では警戒して見ていることに驚いたわ。
もし、ブレア公爵家の誰かがあの時の記憶があるとして、なぜ私に近づいてくる必要があるのか理解出来ないからこそ怖いわ…。
お茶会に誘われても、絶対に一人では行かないようにしよう。
馬車が侯爵家のタウンハウスに到着したようだ。
馬車を降りた先で待っていたのはお義兄様だった。
「アナ、お帰り。
随分と帰りが遅かったから心配していた。もう少し待っていても戻らない時は、王宮に迎えに行こうかと思っていたんだ。」
お義兄様の顔を見てホッとする私。
ああ、安心するー。
「ただいま帰りました。
お義兄様、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。」
「アナ、疲れてないか?
たまには、私がアナにお茶を入れてやろう。」
「えっ!お義兄様がですか?」
「ああ。アナほど上手には出来ないが、アナが疲れた顔をしているからな。」
なんて優しいの。
やっぱり結婚するなら、こんな風に優しい人がいいわ。
あんな風に影でコソコソと隠れて、根性の悪い愛人とよろしくやっているような男とは、二度と結婚しないんだから。
「嬉しいですわ。」
「そうか。じゃあ、お茶の準備をしてもらおう。」
お義兄様の淹れてくれたお茶を美味しく頂いた数日後、私にとっての不幸の手紙が届くのであった。
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