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二度目の話
バレてしまった
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殿下は今、私をアナと呼んで、記憶を持っているなと言ったの…?
「…も、申し訳ありません。スプーンを落としてしまいました。」
「アナ、驚かせてしまったな。
そんなに動揺しないでくれ。」
「…殿下が何を話されているのか、私には理解できませんわ。申し訳ありません。」
手が震えてしまう。
殿下も巻き戻る前の記憶持ちなの?
「アナ…、君は記憶を持っているな。
その紅茶は、イード国が王家に献上してくれたもので、まだ我が国では流通してないものだ。
来年には貴族向けに売り出す予定だとイード国の大使は話していた。」
うっ…!だから今日ここに来て、一度目の人生ぶりにこの紅茶缶を見たのね。
そんなの知らなかったわよー!
「この紅茶は今までの紅茶とは違って、他の紅茶より短時間で風味が出るように作ってあるらしい。
アナは、まるでそのことを知っていたかのように、紅茶の蒸らし時間を短めにしていたな。」
殿下、相変わらずよく見てるわー!
「…偶然ですわ。緊張して、蒸らし時間をうっかり短くしてしまっただけです。」
「へぇ…。相変わらず、バレバレの嘘をつくな。」
あ…、殿下が怖い。
「アナは私に嘘をつく時、瞬きの回数が増えるから、とても分かりやすいんだよ。」
「……。」
そこまで言う?
殿下はそこまで覚えているの?
「さっきは紅茶に砂糖を入れてもらったが、普通、砂糖を入れて欲しいと言われたら、どれくらいの量を入れるのか聞くと思うのに、アナは迷わずにスプーンの半分くらいの砂糖を入れていた。
何でアナは、私の砂糖の好みの量を知っているのかな?」
ああ、またしくじったわ!
私のこんなところをお義兄様は、おっちょこちょいと言っているのね…。今なら痛いほど分かる。
「そ、それは…、甘さ控えめの方が美味しいかと思いまして…。」
「ぶっ…。くっ、くっ…。」
殿下の背後に立っていたロイド卿が吹き出していた…
この護衛騎士様は、一度目の時からこうやって私と殿下のやり取りを見て、笑う人だったわね。
笑い事じゃないのよ!
「ロイド卿、笑い過ぎだ!外で待て。」
「扉の所に控えておりますので、何かあればお呼び下さい。」
えっ?護衛騎士なら、主人の側を簡単に離れないでよ!
私がおっちょこちょいだから、殿下には何も出来ないだろうって思っているのね。
二人きりにしないでー!
「アナ…。君のことだから、もう辛い王妃教育なんかやりたくないとか思っていて、私とは関わりたくないからと、記憶があることも隠そうとしているのだろう?」
「……うっ。」
殿下もお義兄様と一緒で、私をよく知っているし、鋭い人だ。
ここまでバレてしまったら、もう隠し通せないわね。
本当に、おっちょこちょいな自分が嫌になる…
「私のせいで、君を不幸にしたことは分かっているつもりだし、私はあの時の辛い記憶を忘れたことはない。
初めは、君の義兄のコールマン侯爵令息が記憶持ちなのかと疑ったんだ。
余りにも一度目の時とは、違った動きをしていたし、君への溺愛っぷりを周りに堂々と見せつけるから、コールマン侯爵令息はわざとそんな風に行動することで、誰も君に近付けないようにして、守っているのかと思ったりもした。」
殿下は、お義兄様のシスコンっぷりをそのように見ていたのね。
「でもアナが学園に来た時、ブレア公爵令息と一緒にいる時の様子を見て、何かが引っかかって、ずっと気になっていた。
図書館で君と話してみて、やはりアナは記憶を持っているのではないかと感じて、紅茶を淹れる様子を見て確信した。
私は……、また君に逢えたことを嬉しく思っている。」
私は放っておいて欲しかった…
「私がどれだけ惨めな気持ちで死んでいったのか…、殿下には分からないでしょうね。」
「アナ…、ごめん。ずっと君を守れなかったことを後悔していた。
君に謝りたかった。」
殿下がすがるような目で見つめてくる。
そんな目で見ないで欲しい。
「……っ!」
「アナ…、ごめん。泣かないでくれ。」
殿下は泣く私の側に来ると、無言で私を抱き寄せる。
あの頃、王妃教育が辛くて泣いている私を、殿下がこうやって優しく抱きしめてくれたことを思い出した。
でも今はあの頃とは立場が違うのだから、こんなことは良くない。
あの時に殿下との関係は終わったのだから。
もうこの方の前で涙は見せない。
「殿下、もう大丈夫です。
失礼しました。」
私を抱きしめる殿下をさり気なく押し返すが、全く離してくれる様子がないことに気付く。
「殿下…、そろそろ離して頂いても?」
「悪い。もう少しだけ…、このままでいさせてくれ。」
「……。」
え…?
ちょっと…、これは…
絶対に良くないわ!!
「…も、申し訳ありません。スプーンを落としてしまいました。」
「アナ、驚かせてしまったな。
そんなに動揺しないでくれ。」
「…殿下が何を話されているのか、私には理解できませんわ。申し訳ありません。」
手が震えてしまう。
殿下も巻き戻る前の記憶持ちなの?
「アナ…、君は記憶を持っているな。
その紅茶は、イード国が王家に献上してくれたもので、まだ我が国では流通してないものだ。
来年には貴族向けに売り出す予定だとイード国の大使は話していた。」
うっ…!だから今日ここに来て、一度目の人生ぶりにこの紅茶缶を見たのね。
そんなの知らなかったわよー!
「この紅茶は今までの紅茶とは違って、他の紅茶より短時間で風味が出るように作ってあるらしい。
アナは、まるでそのことを知っていたかのように、紅茶の蒸らし時間を短めにしていたな。」
殿下、相変わらずよく見てるわー!
「…偶然ですわ。緊張して、蒸らし時間をうっかり短くしてしまっただけです。」
「へぇ…。相変わらず、バレバレの嘘をつくな。」
あ…、殿下が怖い。
「アナは私に嘘をつく時、瞬きの回数が増えるから、とても分かりやすいんだよ。」
「……。」
そこまで言う?
殿下はそこまで覚えているの?
「さっきは紅茶に砂糖を入れてもらったが、普通、砂糖を入れて欲しいと言われたら、どれくらいの量を入れるのか聞くと思うのに、アナは迷わずにスプーンの半分くらいの砂糖を入れていた。
何でアナは、私の砂糖の好みの量を知っているのかな?」
ああ、またしくじったわ!
私のこんなところをお義兄様は、おっちょこちょいと言っているのね…。今なら痛いほど分かる。
「そ、それは…、甘さ控えめの方が美味しいかと思いまして…。」
「ぶっ…。くっ、くっ…。」
殿下の背後に立っていたロイド卿が吹き出していた…
この護衛騎士様は、一度目の時からこうやって私と殿下のやり取りを見て、笑う人だったわね。
笑い事じゃないのよ!
「ロイド卿、笑い過ぎだ!外で待て。」
「扉の所に控えておりますので、何かあればお呼び下さい。」
えっ?護衛騎士なら、主人の側を簡単に離れないでよ!
私がおっちょこちょいだから、殿下には何も出来ないだろうって思っているのね。
二人きりにしないでー!
「アナ…。君のことだから、もう辛い王妃教育なんかやりたくないとか思っていて、私とは関わりたくないからと、記憶があることも隠そうとしているのだろう?」
「……うっ。」
殿下もお義兄様と一緒で、私をよく知っているし、鋭い人だ。
ここまでバレてしまったら、もう隠し通せないわね。
本当に、おっちょこちょいな自分が嫌になる…
「私のせいで、君を不幸にしたことは分かっているつもりだし、私はあの時の辛い記憶を忘れたことはない。
初めは、君の義兄のコールマン侯爵令息が記憶持ちなのかと疑ったんだ。
余りにも一度目の時とは、違った動きをしていたし、君への溺愛っぷりを周りに堂々と見せつけるから、コールマン侯爵令息はわざとそんな風に行動することで、誰も君に近付けないようにして、守っているのかと思ったりもした。」
殿下は、お義兄様のシスコンっぷりをそのように見ていたのね。
「でもアナが学園に来た時、ブレア公爵令息と一緒にいる時の様子を見て、何かが引っかかって、ずっと気になっていた。
図書館で君と話してみて、やはりアナは記憶を持っているのではないかと感じて、紅茶を淹れる様子を見て確信した。
私は……、また君に逢えたことを嬉しく思っている。」
私は放っておいて欲しかった…
「私がどれだけ惨めな気持ちで死んでいったのか…、殿下には分からないでしょうね。」
「アナ…、ごめん。ずっと君を守れなかったことを後悔していた。
君に謝りたかった。」
殿下がすがるような目で見つめてくる。
そんな目で見ないで欲しい。
「……っ!」
「アナ…、ごめん。泣かないでくれ。」
殿下は泣く私の側に来ると、無言で私を抱き寄せる。
あの頃、王妃教育が辛くて泣いている私を、殿下がこうやって優しく抱きしめてくれたことを思い出した。
でも今はあの頃とは立場が違うのだから、こんなことは良くない。
あの時に殿下との関係は終わったのだから。
もうこの方の前で涙は見せない。
「殿下、もう大丈夫です。
失礼しました。」
私を抱きしめる殿下をさり気なく押し返すが、全く離してくれる様子がないことに気付く。
「殿下…、そろそろ離して頂いても?」
「悪い。もう少しだけ…、このままでいさせてくれ。」
「……。」
え…?
ちょっと…、これは…
絶対に良くないわ!!
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