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二度目の話

こんなお茶会?

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 お茶会の会場に入ると、すでに御令嬢方が沢山来ていた。

「コールマン様!」

 私を呼ぶのは、お義兄様のクラスメイトの御令嬢方だった。
 前にお義兄様が紹介してくれてから、会えばこうやって話しかけてくれるようになったのだ。
 私と同じ年齢で伯爵家以上の令嬢は少なく、こういう高位貴族ばかりの集まりになると、話せる人が限られてくるため、お義兄様が紹介してくれた御令嬢方が仲良くしてくれるのは、正直有難かった。

「ご機嫌よう。」

「ご機嫌よう。コールマン様、今日のドレスも素敵ですわ。もしかして、そのドレスも…」

「あ、はい。義兄が選んでくれましたの。」

「コールマン様。もし、あなたのお義兄様が暴走しそうな時は私達に話して下さいね。」

「そうよ。義妹にその色のドレスを選ぶなんて。
 素敵ですが、独占欲が恐ろしすぎますわよ。」

 あれっ?シスコンがバレて引かれてるの?

「そういえば…、学園の発表会でコールマン様がブレア公爵令息にエスコートされて教室に来たことを知らされた時、コールマン様のお義兄様が不機嫌になって手がつけられなかったと、クラスの令息達が話しておりましたわよ。
 コールマン様は、あのお義兄様のせいで、恋愛をすることが難しいかもしれないわね。」

「難しいでしょうね。だってコールマン様に好きな殿方が出来たら、迷わずに決闘を申し込むって話していたのを聞いたもの。
 コールマン様、頑張るのよ!」

 お義兄様、クラスメイト達に何を言っているのよ…
 もしかしてお義兄様は、学園では残念なシスコン男って認識されているのかしら?

 こんな感じで、王宮でのお茶会が始まるのかと思いきや、いつものお茶会とは違うことが起きる。

「本日のお茶会は、殿下と別室で一人ひとり面談をして頂きます。
 終わった方から、お帰りになって頂きます。
 順番にお呼びしますので、こちらの部屋でご歓談してお待ち下さい。」

 はい?

 従者らしき人からの説明に会場内が騒然とする。

「…一人ひとり面談ですって?
 ああ、もしかして赤ドレスの方々が殿下を取り囲んでしまって、一人ひとりと話す機会がなかったから、面談になったのかしら?」

「そうなのかもしれないわね。あの方々、毎回すごいですから。」

 殿下をお慕いしている赤ドレス軍団は、主に殿下と同じ学年の令嬢と、殿下の一つ年下の令嬢が中心だったような気がする。
 お義兄様のクラスメイトの令嬢方は、殿下よりも年上だからなのか、そんな赤ドレス軍団を、一歩引いて冷ややかに見ているようだった。というか、お義兄様が私に紹介してくれた令嬢方はみんな落ち着いていて、きちんとした雰囲気の方ばかりで良かった。

 そして何の偶然なのか、その赤ドレス軍団のメンバーばかりが先に面談に呼ばれていなくなる。
 一人何分くらい面談しているのかしら?すごい早いスピードで、令嬢方が呼ばれているわね。

「あの方々は、煩い方ばかりだから、先にお呼びしたのかもしれないわね。」

「そうね。あの方々が退出してから、会場内が静かになって良かったわよ。」

 お義兄様のクラスメイトの令嬢方は、ハッキリしているわね。


 しばらくして…


「コールマン様、お先に失礼致しますわ。」

「本日はありがとうございました。
 またお会い出来る日を楽しみにしておりますわ。」


 シーン…

 
 私が面談の最後になるらしく、部屋に一人残されてれてしまった。
 早く帰りたいわね。


「コールマン侯爵令嬢、お待たせいたしました。
 ご案内させて頂きます。」

「よろしくお願い致します。」

 近衛騎士に案内されて別室に向かう私。

 案内された部屋には、殿下と護衛騎士の二人だけがいた。
 この護衛騎士は、殿下が幼い頃から兄のように慕っていたロイド卿ね。こんな時に側に置くのは、一番信頼しているロイド卿だということは、一度目の時と一緒だわ。

 てっきり王妃殿下もいるのかと思っていたけど…。
 殿下と少し言葉を交わすだけだから、他の令嬢方は早く終わったってことかしらね?それなら、私も早く終わるわ。良かったー!


「コールマン侯爵令嬢、最後まで待たせてしまって悪かった。
 この前は、図書館で話が出来て楽しかったよ。
 コールマン侯爵令息が迎えに来なかったら、もっと沢山話が出来たのに…。残念だった。」

 ……え?
 何を言ってるの?

「王太子殿下。こちらこそ、大変有意義な時間を過ごすことが出来ましたことを、感謝しております。」

「…そんなに警戒しないでくれ。」

 警戒するわよ!

「この前、コールマン侯爵令息が君の淹れたお茶が飲みたいと話していたが、私もぜひ飲んでみたいと思ってね。
 お茶の準備をさせるから、ここで淹れて欲しいのだが、頼めるか?」

 何なの?もしかして、こうやって何かやらせて、能力でもチェックしているの?
 こんなお茶会は初めてよ!

 どちらにしても嫌とは言えないし、ここで失敗して家名に泥を塗って、シスコンを公言しているお義兄様に迷惑をかけることだけは避けないといけない。

「…畏まりました。」

 すぐにお茶の準備がされたものが部屋に運ばれてくる。
 あっ、この紅茶缶、久しぶりに見たわ。殿下が好きだった銘柄よね。

 私はいつものように、紅茶を淹れて殿下にお出しする。

「お待たせ致しました。」

「ありがとう。申し訳ないが、砂糖を入れてもらえるか?」

「畏まりました。」

 スプーンで砂糖を入れる私。
 ハァー。砂糖くらい自分で入れてよ…



「………やはり。」



 えー!何でそんな真顔で見つめるの?
 私、何か粗相した?




「アナ…。やはり君は…、記憶を持っているな。」




 カチャンとスプーンを落とす音が響いた。

 
 
 
 
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