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二度目の話
違うことばかり
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あの波乱のお茶会の次の日から、私は珍しく熱を出して寝込んでしまった。
「アナ…、大丈夫か?
あの茶会で私が女狐どもから守れなかったからだな。ごめんな…。
あの女達には必ず私が報復してやるからな。」
「…ハァ、ハァ。
お、お義兄様、そんな怖い顔をしないで下さいませ。
私は優しいお義兄様が好きなんですから…。」
寝込んでいる時に、そんな物騒な話をしないで欲しいわね。
「アナ…、私もアナが好きだ。
しっかりしているが、時々おっちょこちょいで、見張ってないと勉強をサボったり、逃げたりするけど、頑張り屋なアナが可愛くて仕方がないんだ…。」
私、ダメダメじゃないの…。
それって褒めてるの?
でも、お義兄様はこうやって手を握って看病してくれるくらい優しいのよね。
「ハァ…ハァ。お義兄様、そろそろ学園に行く時間では?」
「…そうだな。本当はずっと看病していたいが、すまないな。」
「お義兄様。私は大丈夫ですから…、学業を優先して下さいね。」
「終わったらすぐに帰ってくるから、ちゃんと寝てるんだぞ。」
そう言って、お義兄様は学園に行った。
お義兄様には絶対に言えないけど、これは死神に会ってしまったことによる後遺症ね。
特に、ブレア公爵令息よ!一度目の時は今くらいの年齢の時に、会話をしたことなんてほとんど無かったと思うけど。
あの時に助けてくれたのは有り難かったけど、関わると碌なことはないわね。気を付けないと。
熱は三日後くらいに下がり、その後は普通にガリ勉させられる日々を送る私。
そんな私はある日、お母様と一緒に、お母様の友人のお茶会に来ている。
お茶会には、その友人の方々の子息や令嬢が来ていて、一度目と同様に友達になることが出来た。
しかし、友達になった令嬢の話を聞いて驚くことになる。
「そういえば…。皆さま、お聞きになりまして?
ギロリー侯爵家が没落したようですわよ。」
え…?そんなことは一度目ではなかったはずよね。
一度目の人生では没落なんてしてなかったし、貴族学園では殿下の同級生で在籍していて、殿下の婚約者の私には、いつも嫌味ったらしく絡んできて、すごい迷惑だった思い出しかなかったのよね。
「ギロリー侯爵家は財政難だとは聞いておりましたが。」
「ええ。財政難で立て直し中だと聞いたことがありますわね。」
「お気の毒ですわねー。」
「あっ!王宮勤めの知り合いから聞いた噂話なのですが、ゴメス伯爵令嬢・グラント伯爵令嬢は、今後は王妃殿下のお茶会には招待されないらしいですわよ。」
「まあ!あの二人はいつも赤いドレスを着ているくらい、殿下をお慕いしておりましたのに、お茶会に招待されないだなんて、殿下にお会いする機会がなくなってしまいましたわね。
お気の毒だわー。」
「噂話によると、王妃殿下のお茶会で年下の御令嬢を虐めていたことが、王妃殿下や王太子殿下にバレてしまったとか…。
元々、評判はよろしくなかった方々でしたものね。」
ぎくっ…!うそー、私が原因なの?
「王妃殿下の茶会に招待されないだなんて、伯爵令嬢として終わりだとか、陰口を叩く人もいるみたいですわよ。
本当にお気の毒ですわ。」
何でなの?一度目と違う事ばかり起こっているじゃないのー!
そういえば…、お義兄様は怒りを滲ませて、報復するとか何とか言っていたわ。
もしかして……
気になった私は、お茶会から戻った後、早速、お義兄様に聞いてみることにした。
「お義兄様、今日のお茶会で気になる噂話を聞いたのですが。」
「ああ、もしかしてギロリー侯爵家の没落の話か?」
「はい。没落って何があったのでしょうか?」
お義兄様が話す内容を聞いて、私は驚くことになる。
「アナは私が何かしたのかと疑っているようだが、私がしたのは、あのお茶会でギロリー侯爵令嬢がアナにしたことを両親に報告して、ギロリー侯爵家の我が領地の通行料免除を取り消すことにしたんだ。
ギロリー侯爵家との取引も停止した。うちからしたら大したことではなかったからな。
ギロリー侯爵家としては、まあ…、痛手だったとは思うが、今すぐに没落するほどのことではなかったはずだ。」
「え?でも、没落してしまったのですよね?」
「ああ。気になったから義父上に調べてもらったんだが、どうやらブレア公爵家もギロリー侯爵家との取引をやめたらしい。
ブレア公爵家とコールマン侯爵家が、同時にギロリー侯爵家から手を引いたことを耳にした他の家門まで取引をやめてしまったらしくて、一気に傾き、没落してしまったようだ。」
聞きたくない家門の名前が出てきたわね…
「ブレア公爵家がですか?」
「あの日の茶会であの女狐どもは、ブレア公爵令息を怒らせるような何かをしたのか?」
それは私が知りたいわよー。
「あの日、あの三人に絡まれている所に、偶然居合わせて助けて下さった時が初対面でしたので、私にも分かりませんわ。」
「アナとブレア公爵令息が、あの日が初対面なのは私も疑ってはいないことなのだが、令息のあの目は……。」
「えっ?目ですか?」
殿下もあの男も、感情が読めない目をしているから怖いのよね…。
「いや、なんでもない…。
ただ、ブレア公爵家とギロリー侯爵家が何かで揉めているという話は聞いたことはなかったから、今回、なぜブレア公爵家は取引をやめたのかの理由が分からないんだ。」
こ…、怖いわ!
泣く子も黙る筆頭公爵家…
「筆頭公爵家ですから、怒らせると怖いということでしょうか?不興を買わないように気を付けますわ。
…というか、今回のことで恐ろしい家門であることが分かったので、私みたいなおっちょこちょいは、極力は関わらないようにしますわね。」
「アナは可愛いから、少しくらいおっちょこちょいでも許してもらえるだろうが、無理にビクビクして関わる必要はないだろうな。」
あの日、私があの男にビクビクしていたことを、お義兄様にはバレていたのね。
「はい。気を付けますわ。」
しかし、その会話の数日後、地獄への招待状が届くのであった。
「アナ…、大丈夫か?
あの茶会で私が女狐どもから守れなかったからだな。ごめんな…。
あの女達には必ず私が報復してやるからな。」
「…ハァ、ハァ。
お、お義兄様、そんな怖い顔をしないで下さいませ。
私は優しいお義兄様が好きなんですから…。」
寝込んでいる時に、そんな物騒な話をしないで欲しいわね。
「アナ…、私もアナが好きだ。
しっかりしているが、時々おっちょこちょいで、見張ってないと勉強をサボったり、逃げたりするけど、頑張り屋なアナが可愛くて仕方がないんだ…。」
私、ダメダメじゃないの…。
それって褒めてるの?
でも、お義兄様はこうやって手を握って看病してくれるくらい優しいのよね。
「ハァ…ハァ。お義兄様、そろそろ学園に行く時間では?」
「…そうだな。本当はずっと看病していたいが、すまないな。」
「お義兄様。私は大丈夫ですから…、学業を優先して下さいね。」
「終わったらすぐに帰ってくるから、ちゃんと寝てるんだぞ。」
そう言って、お義兄様は学園に行った。
お義兄様には絶対に言えないけど、これは死神に会ってしまったことによる後遺症ね。
特に、ブレア公爵令息よ!一度目の時は今くらいの年齢の時に、会話をしたことなんてほとんど無かったと思うけど。
あの時に助けてくれたのは有り難かったけど、関わると碌なことはないわね。気を付けないと。
熱は三日後くらいに下がり、その後は普通にガリ勉させられる日々を送る私。
そんな私はある日、お母様と一緒に、お母様の友人のお茶会に来ている。
お茶会には、その友人の方々の子息や令嬢が来ていて、一度目と同様に友達になることが出来た。
しかし、友達になった令嬢の話を聞いて驚くことになる。
「そういえば…。皆さま、お聞きになりまして?
ギロリー侯爵家が没落したようですわよ。」
え…?そんなことは一度目ではなかったはずよね。
一度目の人生では没落なんてしてなかったし、貴族学園では殿下の同級生で在籍していて、殿下の婚約者の私には、いつも嫌味ったらしく絡んできて、すごい迷惑だった思い出しかなかったのよね。
「ギロリー侯爵家は財政難だとは聞いておりましたが。」
「ええ。財政難で立て直し中だと聞いたことがありますわね。」
「お気の毒ですわねー。」
「あっ!王宮勤めの知り合いから聞いた噂話なのですが、ゴメス伯爵令嬢・グラント伯爵令嬢は、今後は王妃殿下のお茶会には招待されないらしいですわよ。」
「まあ!あの二人はいつも赤いドレスを着ているくらい、殿下をお慕いしておりましたのに、お茶会に招待されないだなんて、殿下にお会いする機会がなくなってしまいましたわね。
お気の毒だわー。」
「噂話によると、王妃殿下のお茶会で年下の御令嬢を虐めていたことが、王妃殿下や王太子殿下にバレてしまったとか…。
元々、評判はよろしくなかった方々でしたものね。」
ぎくっ…!うそー、私が原因なの?
「王妃殿下の茶会に招待されないだなんて、伯爵令嬢として終わりだとか、陰口を叩く人もいるみたいですわよ。
本当にお気の毒ですわ。」
何でなの?一度目と違う事ばかり起こっているじゃないのー!
そういえば…、お義兄様は怒りを滲ませて、報復するとか何とか言っていたわ。
もしかして……
気になった私は、お茶会から戻った後、早速、お義兄様に聞いてみることにした。
「お義兄様、今日のお茶会で気になる噂話を聞いたのですが。」
「ああ、もしかしてギロリー侯爵家の没落の話か?」
「はい。没落って何があったのでしょうか?」
お義兄様が話す内容を聞いて、私は驚くことになる。
「アナは私が何かしたのかと疑っているようだが、私がしたのは、あのお茶会でギロリー侯爵令嬢がアナにしたことを両親に報告して、ギロリー侯爵家の我が領地の通行料免除を取り消すことにしたんだ。
ギロリー侯爵家との取引も停止した。うちからしたら大したことではなかったからな。
ギロリー侯爵家としては、まあ…、痛手だったとは思うが、今すぐに没落するほどのことではなかったはずだ。」
「え?でも、没落してしまったのですよね?」
「ああ。気になったから義父上に調べてもらったんだが、どうやらブレア公爵家もギロリー侯爵家との取引をやめたらしい。
ブレア公爵家とコールマン侯爵家が、同時にギロリー侯爵家から手を引いたことを耳にした他の家門まで取引をやめてしまったらしくて、一気に傾き、没落してしまったようだ。」
聞きたくない家門の名前が出てきたわね…
「ブレア公爵家がですか?」
「あの日の茶会であの女狐どもは、ブレア公爵令息を怒らせるような何かをしたのか?」
それは私が知りたいわよー。
「あの日、あの三人に絡まれている所に、偶然居合わせて助けて下さった時が初対面でしたので、私にも分かりませんわ。」
「アナとブレア公爵令息が、あの日が初対面なのは私も疑ってはいないことなのだが、令息のあの目は……。」
「えっ?目ですか?」
殿下もあの男も、感情が読めない目をしているから怖いのよね…。
「いや、なんでもない…。
ただ、ブレア公爵家とギロリー侯爵家が何かで揉めているという話は聞いたことはなかったから、今回、なぜブレア公爵家は取引をやめたのかの理由が分からないんだ。」
こ…、怖いわ!
泣く子も黙る筆頭公爵家…
「筆頭公爵家ですから、怒らせると怖いということでしょうか?不興を買わないように気を付けますわ。
…というか、今回のことで恐ろしい家門であることが分かったので、私みたいなおっちょこちょいは、極力は関わらないようにしますわね。」
「アナは可愛いから、少しくらいおっちょこちょいでも許してもらえるだろうが、無理にビクビクして関わる必要はないだろうな。」
あの日、私があの男にビクビクしていたことを、お義兄様にはバレていたのね。
「はい。気を付けますわ。」
しかし、その会話の数日後、地獄への招待状が届くのであった。
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