16 / 102
二度目の話
両親へお願い 2
しおりを挟む
一つ目の願いを聞き入れてもらえた私は、もう一つのお願いを両親に話すことにした。
「お父様・お母様にもう一つだけお願いがあるのです。」
「何かな?」
「このようなことを話すのは、まだ早いかもしれませんが、私の今後についてなのですが。」
「今後の話?何だか今日のアナは、一気に大人びてしまったように見えて、お父様は驚いているよ。」
「そ、そうね…。まだ10歳なのだから、そんな先の心配なんてしなくてもいいと思うのだけど。」
それではダメなのよ!私の人生が掛かっているのだから!
「私の婚約者のことですわ。」
「え?」
「婚約者ですって?」
両親が絶句している…
「アナは好きな男でもいるのかい?」
「まあ!アナに好きな人ですって?ルークが泣いてしまうわ!」
「好きな人なんていませんが、あと数年もしたら、婚約者だとか、お見合いだとか、夜会や茶会で殿方を紹介されたりだとか色々とあると思います。
その時に、お父様とお母様だけで相手を決めるようなことはしないで欲しいのです。」
「ああ、それは分かっているよ。いくら政略結婚が多いとはいえ、アナが嫌がるような者とは結婚させたくはないからな。」
「そうね。アナの気持ちは大切にしたいと思っているわ。」
お父様とお母様はそうは言ってくれているが…。
この両親は私を大切にしてくれているが故に、生活に困らなそうな、爵位が高い人や王族との結婚がいいって考えの人達だったのよね。
それが一度目の人生での大失敗に繋がったのよ。
「私は貴族令嬢の中では、割と自由に育てられましたので、爵位が高い家門や、王族みたいな人達との結婚は合わないでしょう。それにうちの家門は、わざわざそのような方々と縁を結ばなくてはいけないほど、困ってはいないはずです。
私は、優れた人物で生活に困らないようであれば、爵位が高くなくてもいいと思っています。
ですから、王族や公爵家などからもし縁談の話が来ても、私には高貴な方の妻は務まらないと言ってお断りして頂けますか?」
「え?アナは物語に出てくるような王子様と結婚するんだって言っていたのに、断っていいのかい?
うちは筆頭侯爵家なのだから、王族や公爵家から縁談が来てもおかしくはないんだよ?」
「そうよ!アナは王子様が好きだったでしょ?」
「あんな物語のように、人生は甘くはないのですわ。
王子様みたいな人と婚約したら、他の令嬢方からつまらない嫉妬をされたりするし、王妃教育は大変だと聞きましたわ。しかも場合によっては、側妃や第二夫人を持つ方もいますわね?私はそんなのは嫌です。私だけを愛して欲しいと思っていますから。
そんな大変な思いをしてまで、高貴な人達とは結婚したいとは思っていません。」
「……。」
「………。」
両親は固まってしまった。
しかし、一度目にあんな辛い思いをした私としては、この話だけは絶対に譲れないのよ。
また今回も殿下と婚約なんてしてしまったら、婚約解消された後に、あの公爵に押し付けられて、毒殺されてしまう。
今回は普通に幸せな結婚をしたいし、長生きしたいから、あの男達とは絶対に関わりたくはないの!
今回は、楽しくやり直しをするって決めているんだから!
「お父様・お母様、お願いします!」
「…アナがそこまで言うなら。」
「そうね…。確かに、川で遊んだり、木登りして、鳥の巣を見つけようとするお転婆な娘が、高貴な方の夫人は似合わないかもしれないわね。
王妃教育は本当に大変だと聞いたこともあるし、アナには向かないわね。」
「分かった。もし縁談が来てもアナに必ず相談はするし、王族や公爵家との縁談は断るようにする。」
「ありがとうございます!」
やった!これで前みたいに、気づいたら殿下の婚約者になっていましたってパターンは防げるわ。
時期が来たら、伯爵家か子爵家くらいの家門から、無難な相手を探してもらおうかしら?
あっ!優秀な義兄の友人達の中から、いい人を紹介してもらうのもいいわね。やはり今回の人生では、義兄と仲良しでいることが大切ね。
「お父様・お母様にもう一つだけお願いがあるのです。」
「何かな?」
「このようなことを話すのは、まだ早いかもしれませんが、私の今後についてなのですが。」
「今後の話?何だか今日のアナは、一気に大人びてしまったように見えて、お父様は驚いているよ。」
「そ、そうね…。まだ10歳なのだから、そんな先の心配なんてしなくてもいいと思うのだけど。」
それではダメなのよ!私の人生が掛かっているのだから!
「私の婚約者のことですわ。」
「え?」
「婚約者ですって?」
両親が絶句している…
「アナは好きな男でもいるのかい?」
「まあ!アナに好きな人ですって?ルークが泣いてしまうわ!」
「好きな人なんていませんが、あと数年もしたら、婚約者だとか、お見合いだとか、夜会や茶会で殿方を紹介されたりだとか色々とあると思います。
その時に、お父様とお母様だけで相手を決めるようなことはしないで欲しいのです。」
「ああ、それは分かっているよ。いくら政略結婚が多いとはいえ、アナが嫌がるような者とは結婚させたくはないからな。」
「そうね。アナの気持ちは大切にしたいと思っているわ。」
お父様とお母様はそうは言ってくれているが…。
この両親は私を大切にしてくれているが故に、生活に困らなそうな、爵位が高い人や王族との結婚がいいって考えの人達だったのよね。
それが一度目の人生での大失敗に繋がったのよ。
「私は貴族令嬢の中では、割と自由に育てられましたので、爵位が高い家門や、王族みたいな人達との結婚は合わないでしょう。それにうちの家門は、わざわざそのような方々と縁を結ばなくてはいけないほど、困ってはいないはずです。
私は、優れた人物で生活に困らないようであれば、爵位が高くなくてもいいと思っています。
ですから、王族や公爵家などからもし縁談の話が来ても、私には高貴な方の妻は務まらないと言ってお断りして頂けますか?」
「え?アナは物語に出てくるような王子様と結婚するんだって言っていたのに、断っていいのかい?
うちは筆頭侯爵家なのだから、王族や公爵家から縁談が来てもおかしくはないんだよ?」
「そうよ!アナは王子様が好きだったでしょ?」
「あんな物語のように、人生は甘くはないのですわ。
王子様みたいな人と婚約したら、他の令嬢方からつまらない嫉妬をされたりするし、王妃教育は大変だと聞きましたわ。しかも場合によっては、側妃や第二夫人を持つ方もいますわね?私はそんなのは嫌です。私だけを愛して欲しいと思っていますから。
そんな大変な思いをしてまで、高貴な人達とは結婚したいとは思っていません。」
「……。」
「………。」
両親は固まってしまった。
しかし、一度目にあんな辛い思いをした私としては、この話だけは絶対に譲れないのよ。
また今回も殿下と婚約なんてしてしまったら、婚約解消された後に、あの公爵に押し付けられて、毒殺されてしまう。
今回は普通に幸せな結婚をしたいし、長生きしたいから、あの男達とは絶対に関わりたくはないの!
今回は、楽しくやり直しをするって決めているんだから!
「お父様・お母様、お願いします!」
「…アナがそこまで言うなら。」
「そうね…。確かに、川で遊んだり、木登りして、鳥の巣を見つけようとするお転婆な娘が、高貴な方の夫人は似合わないかもしれないわね。
王妃教育は本当に大変だと聞いたこともあるし、アナには向かないわね。」
「分かった。もし縁談が来てもアナに必ず相談はするし、王族や公爵家との縁談は断るようにする。」
「ありがとうございます!」
やった!これで前みたいに、気づいたら殿下の婚約者になっていましたってパターンは防げるわ。
時期が来たら、伯爵家か子爵家くらいの家門から、無難な相手を探してもらおうかしら?
あっ!優秀な義兄の友人達の中から、いい人を紹介してもらうのもいいわね。やはり今回の人生では、義兄と仲良しでいることが大切ね。
193
お気に入りに追加
8,366
あなたにおすすめの小説

王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中

運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる