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51 新しい噂
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ダレルがくれた紙袋には、健康茶と書かれたお茶の缶や疲労回復のサプリ、見るからに高級そうなシャンプーにトリートメント、マッサージクリームなどの化粧品が数種類が入っていた。
アンは、こんな高級品は平民ではなかなか使う機会がないからと、遠慮なく開封してマリアのお手入れに使う。アンの腕がいいのか、ダレルにもらった化粧品が良かったのか、マリアのボロボロのお肌や髪はすぐに輝きを取り戻していた。
「ダレルからもらった健康茶だけど、マリアと一緒に寝る前に飲んでいたら、私まで体の調子が良くなった気がするよ。
朝の目覚めがいいし、お通じが良くなってお肌の調子も良いんだ。さすが王室御用達のルシー商会の品だね」
アンと一緒に健康茶を飲み始めて数日後、体調が少しずつ良くなってきたことを自覚していた。
これは寮の食事が良いのもあるが、ダレルからもらったお茶やサプリの効果を認めるしかない。
「認めるのは悔しいですが、私も体調が良くなってきました。
気まずさはありますが、あの方に会ったらきちんとお礼を伝えようと思います」
「そうだね。仕事で顔を合わせた時にでも言えばいいよ」
◇◇
長い休みを終えて仕事に復帰する日を迎える。
公爵夫人はマリアの休みを沢山くれたので、お嬢様に会うのは三週間ぶりだった。
「マリア、顔色が良くなったわね。元気になって良かったわ。今日からまたよろしくね」
「長いお休みをいただき感謝しております。
今日からよろしくお願いいたします」
あの事件で三ヶ月ほど行方不明になった後、長い休みをもらっていたので久しぶりの出勤になるが、そんなマリアをお嬢様や他のメイド達は温かく迎えてくれた。
そして、あっという間に午前が終わり昼休みになる。
食堂に昼食を食べに行くとダレルの姿が見えた。仲間の騎士と二人で楽しそうに話をしながら食事をしている。
お礼を言わないと……。二人きりだとまたネチネチ言われるかもしれないから、仲間の騎士がいて良かったわ。
マリアは勇気を出してダレルに話しかけることにした。
「お食事中に申し訳ありません。
ダレル様、療養中はお気遣いをいただきありがとうございました。
お陰様で体調が良くなりました。感謝しております」
ダレルは一瞬、驚いたような表情をしていたが、マリアが感謝を伝えるとフッと笑いかける。ダレルから笑いかけられたのは初めてだ。
この人も美形だから笑うと眩しいくらいだわ。そういえば、ダレル様はモテるってアンさんが話していたっけ。
でも、この男の本性は嫌というほど知っている。笑顔を向けられても高級品をもらっても、私は騙されないんだから。
「みんな君の体調を心配していたんだ。元気になって仕事に復帰出来て良かった。
実家の商品が体に合うならまた届けよう」
さすが金持ちだわ。気前がいいのね。
「もう十分にいただきましたので、お気持ちだけ頂戴します。
本当にありがとうございました。これで失礼いたします」
長話をするつもりなどなかったので、マリアは作り笑顔でサッとその場から離れた。
ダレルとは、それ以上の関わりを持つつもりはなかったのに……
「ねぇ、マリアとダレルって付き合っているの?」
「いえ、付き合っていません」
「あのダレルがマリアのお見舞いに行ったと聞いたから、特別な関係なのかと思っていたわ」
「神に誓ってそれはないです」
「もう! ダレルならケイヒル卿と違って身分に問題がなくていいじゃない。
せっかく若くて可愛いんだから、恋をしなさいよ」
先輩メイド達からダレルとの関係を疑われて、マリアはうんざりしていた。みんな他人の恋愛話に興味津々なのだ。
ダレルがマリアにプレゼントをしたとか、寮に差し入れを持ってきたとか、二人が実は仲がいいとか、気がつくとマリアとダレルの噂話が流れていた。
マリアが必死に否定しても、金持ちの美形の騎士なんて平民にはなかなかいないのだから、早く付き合ってしまえと言われる始末。
マリアは、男性の使用人とは距離を置いて関わるようにしようと改めて感じていた。
アンは、こんな高級品は平民ではなかなか使う機会がないからと、遠慮なく開封してマリアのお手入れに使う。アンの腕がいいのか、ダレルにもらった化粧品が良かったのか、マリアのボロボロのお肌や髪はすぐに輝きを取り戻していた。
「ダレルからもらった健康茶だけど、マリアと一緒に寝る前に飲んでいたら、私まで体の調子が良くなった気がするよ。
朝の目覚めがいいし、お通じが良くなってお肌の調子も良いんだ。さすが王室御用達のルシー商会の品だね」
アンと一緒に健康茶を飲み始めて数日後、体調が少しずつ良くなってきたことを自覚していた。
これは寮の食事が良いのもあるが、ダレルからもらったお茶やサプリの効果を認めるしかない。
「認めるのは悔しいですが、私も体調が良くなってきました。
気まずさはありますが、あの方に会ったらきちんとお礼を伝えようと思います」
「そうだね。仕事で顔を合わせた時にでも言えばいいよ」
◇◇
長い休みを終えて仕事に復帰する日を迎える。
公爵夫人はマリアの休みを沢山くれたので、お嬢様に会うのは三週間ぶりだった。
「マリア、顔色が良くなったわね。元気になって良かったわ。今日からまたよろしくね」
「長いお休みをいただき感謝しております。
今日からよろしくお願いいたします」
あの事件で三ヶ月ほど行方不明になった後、長い休みをもらっていたので久しぶりの出勤になるが、そんなマリアをお嬢様や他のメイド達は温かく迎えてくれた。
そして、あっという間に午前が終わり昼休みになる。
食堂に昼食を食べに行くとダレルの姿が見えた。仲間の騎士と二人で楽しそうに話をしながら食事をしている。
お礼を言わないと……。二人きりだとまたネチネチ言われるかもしれないから、仲間の騎士がいて良かったわ。
マリアは勇気を出してダレルに話しかけることにした。
「お食事中に申し訳ありません。
ダレル様、療養中はお気遣いをいただきありがとうございました。
お陰様で体調が良くなりました。感謝しております」
ダレルは一瞬、驚いたような表情をしていたが、マリアが感謝を伝えるとフッと笑いかける。ダレルから笑いかけられたのは初めてだ。
この人も美形だから笑うと眩しいくらいだわ。そういえば、ダレル様はモテるってアンさんが話していたっけ。
でも、この男の本性は嫌というほど知っている。笑顔を向けられても高級品をもらっても、私は騙されないんだから。
「みんな君の体調を心配していたんだ。元気になって仕事に復帰出来て良かった。
実家の商品が体に合うならまた届けよう」
さすが金持ちだわ。気前がいいのね。
「もう十分にいただきましたので、お気持ちだけ頂戴します。
本当にありがとうございました。これで失礼いたします」
長話をするつもりなどなかったので、マリアは作り笑顔でサッとその場から離れた。
ダレルとは、それ以上の関わりを持つつもりはなかったのに……
「ねぇ、マリアとダレルって付き合っているの?」
「いえ、付き合っていません」
「あのダレルがマリアのお見舞いに行ったと聞いたから、特別な関係なのかと思っていたわ」
「神に誓ってそれはないです」
「もう! ダレルならケイヒル卿と違って身分に問題がなくていいじゃない。
せっかく若くて可愛いんだから、恋をしなさいよ」
先輩メイド達からダレルとの関係を疑われて、マリアはうんざりしていた。みんな他人の恋愛話に興味津々なのだ。
ダレルがマリアにプレゼントをしたとか、寮に差し入れを持ってきたとか、二人が実は仲がいいとか、気がつくとマリアとダレルの噂話が流れていた。
マリアが必死に否定しても、金持ちの美形の騎士なんて平民にはなかなかいないのだから、早く付き合ってしまえと言われる始末。
マリアは、男性の使用人とは距離を置いて関わるようにしようと改めて感じていた。
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