まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

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新しい生活

回復する心と体

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 王宮で体の毒を体外に排出するという薬を飲み続けていた私は、すぐに効果があったのか、体調が良くなってきたように感じていた。
 食欲も出てきたし、食事が美味しく思えるのだ。
 
 私がいる部屋は、出入り出来る者が厳しく制限されている場所のようで、静かに毎日を過ごせることも嬉しかった。

 そして、最近変わったことと言えば、食事を王太子殿下と一緒に食べる機会が増えたということだ。
 食事の時間になると、殿下が私のいる部屋に来てくれ、食事を一緒にしてもいいですかと声を掛けてくれる。
 初めに食事を一緒に食べたいと言われた時、驚いてしまい、『2人きりで食べるのでしょうか?』と聞いてしまった。
 殿下が少し傷付いたような表情をされ、『エリザベスはライアンと2人きりで食べたいようですし、私は夫人と一緒に食べたいと思ったのです。』と言われてしまったら……、断れなかった。

 殿下と一緒にいる時間は穏やかで、一人で食べる食事よりも格段に美味しく感じる。
 最近は色々あって殿下のことを考えることはなかったけれど、こうやって殿下にお会いしたことで、私は自分の気持ちを再認識する。やはり私は殿下に恋をしているのだと。
 殿下よりも年上で既婚者という立場の私が、抱いてはいけない感情…。
 こんなことを考える暇があるなら、夫であるバーネット様と、今後どうするべきなのかを考えなければならないのに。
 でも、あの人のことを考えることに最近は疲れてしまった。だから今だけは、殿下と過ごす時間を許して欲しいと思ってしまう。


 今日は夕食の時間を殿下と一緒に過ごしている。


「夫人。最近、顔色がよろしくなったように見えますし、少しずつ元気になられてきたようで、嬉しく思います。」

「殿下と妃殿下、アンブリッジ公爵様のおかげですわ。本当にありがとうございました。」

「いえ…。私がはっきりしないせいで、助けることが遅くなってしまいました。
 エリザベスがああ見えて、中々活発な女性なのですよ。今回はエリザベスの行動力に感服しましたね。」

「ふふっ。妃殿下はとても素敵な方だと思います。私はそんな妃殿下から、沢山の元気を頂きましたから。
 殿下も妃殿下を信頼されていらっしゃるのですね。」

「信頼ですか…。お互いはっきりと言い合う、兄妹とか幼馴染とかそんな関係に近い存在ですね。
 エリザベスは、一国の王女という立場であった者としては、少々、元気過ぎるというか、お転婆というか…。そんなところがありますね。」

 私はそんな元気な妃殿下に助けられたし、それが妃殿下の魅力だと思っている。
 殿下と妃殿下は、確かに普通の夫婦とは違って甘い雰囲気は全くないけれど、こんな夫婦だってあってもいいと思えるわ。

「ところで、私の夫のバーネット伯爵様は何か接触はしてきましたか?」


 私が夫のことを口にすると、殿下の穏やかな表情が一変するのが分かった。

 そんな表情を見せるということは、私に知らせていないだけで、バーネット様は何か接触をしてきているのかもしれない。



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