まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

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新しい生活

助けてくれたのは

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 ソファーに押し倒されてしまった私は、必死に抵抗するが、騎士であるバーネット様はびくともしない。


「バーネット様、何をするのです?離して下さい!」

「リア…、ずっとこうしたかった。
 このままリアを攫って行けたらいいのに。」

 バーネット様は、涙を流した目や頬に沢山キスを落とした後に、深く口づけてくる。

「…んんっ、…っ!…やめて!離して!」

「リア…。まさか私がこんな場所で、君にこんなことをするとは思っていなかったようだね。
 でも、君が私と離縁したいなんて言うから、私は急いでリアを孕ませなければならなくなったよ。
 この奥まった場所にある応接室は、誰も来ないだろうからちょうど良かった。」

「お願いです!やめて下さい。……っ!」


 首筋に唇が…!


「こんな風に揉める日が来るのが分かっていたなら、避妊薬なんて飲まなかったのに。」

「え?避妊薬?」

「結婚した後、しばらくはリアを独占したいと思っていたから、私は内緒で避妊薬を飲んでいたんだよ。
 子供ができたら、リアを子供に取られてしまうだろう?
 そしたらあんな事故に巻き込まれて、記憶を失くして、やっと帰って来れたと思ったら、私との子供がいなかったリアは、実家に戻ってしまっていて、もう妻ではなくなったとか言われるし。
 あの時に子供を作らなかったことを、今更後悔しているよ。」
 
「………なんてこと。」

「リア。愛してる…。君が私を嫌いでも構わない。これからもずっと一緒にいよう。
 君からの愛を求めるのは我慢する。でも、離縁は絶対にしない。」


 バーネット様の光のない目が怖い。

 抵抗するのが体力的に辛くなってきた。
 どうする…?


 その時。

 
 コンコン…


 え?この音は…!

 ドアをノックする音がした。


「……誰か来たか。」


 た、助かった…


 バーネット卿はさっと私から退き、私は慌てて服装を整える。

 そのタイミングで入って来たのは、護衛騎士を連れた王太子殿下だった。
 サッと立ち上がりカーテシーをする。


「突然申し訳ない。楽にしてください。
 バーネット卿が来ていると聞き、夜会ではゆっくり話すことが出来なかったので、ぜひ顔を見たいと思って来てしまいました。
 卿が無事に戻って来て、元気そうにしているので安心しましたよ。」

「王太子殿下。ご心配お掛けいたしまして、大変申し訳ございませんでした。」

「シャノン嬢も、元夫のバーネット卿が無事に戻って来られたことで、安心されたでしょう。」

 いつものように優しく微笑んでくれる殿下。

「はい…。」

 ついさっきまで涙を流していた私は、恐らく酷い顔をしているだろう。
 殿下が来てくれたから助かったけど、こんな顔は誰にも見せたくなかった。


「王太子殿下。教会の方で私達の死後離婚は取り消してくれるそうなので、私達は今も夫婦と変わりません。
 近々、彼女には仕事を辞めてもらい、私の妻としての仕事に専念してもらおうと思っております。」


 この男は、また勝手なことを言っているわ!


「王妃殿下はシャノン嬢を特に気に入っているので、それは難しいかもしれないですね…。
 しかし、バーネット卿がそこまでシャノン嬢を離したがらないのは意外でした。」


 王太子殿下は私を援護してくれているのかしら?


「王太子殿下。私は妻を愛していますから、常に側にいて欲しいと思っているだけです。」

「王都騎士団は自由に恋愛を楽しむ者が多いと聞いていましたし、バーネット卿の上官だったハメット卿なんかは、その噂の中でも特に有名な人物でしたよね?部下を引き連れて行くほどにお盛んだったと…。
 ですから彼の部下であったバーネット卿もそうなのかと思っていましたが、私は勘違いしていたようですね…。」


 この話は…!
 やはり私が予想していた通りだったのね。


「ただの噂話でしょう。騎士にも色々な人物がいますので。」


 この男、なんて白々しいのかしら。


「そうだ、シャノン嬢!
 王妃殿下が忙しいから早く戻って来て欲しいと言っていたんだ。そろそろ戻った方がいい。
 バーネット卿。たとえ元妻であっても、今は彼女は王妃殿下の側近だ。その辺は考えて行動すべきだと思うよ。」

「はい…。承知しました。」





 王太子殿下のお陰で、私は何とかあの場から離れられた。
 

 あの男、絶対に許さないわ…
 



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