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新しい生活
閑話 ブライアン・バーネット
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ある日、身体中の痛みで目が覚めた私は、自分が今どこにいるのか理解出来なかった。
見たことのない質素な部屋で、硬いベッドに私は寝せられている。
体が痛くて怠くて動かせない。
「アンタ…、目覚めたのかい?」
部屋に入って来たのは、平民と思われる50代くらいの夫人だった。
「大怪我をして、川を流されてきたんだ。うちの旦那が偶々、船を漕いでいる時にアンタを見つけたから運が良かった。
熱もあるからまだ寝てな。」
親切な夫婦が私を助けてくれたようだった。
まだ高熱のあった私は、そこからまた数日間、寝込んでしまった。
熱が引き、意識がハッキリしてきた私は、自分が誰なのか、どこから来たのか分からなくなっていた。
そんな私に助けてくれた夫婦は、体が元気になるまではこの家にいていいと言ってくれた。どうしていいのか分からない私は、この家でお世話になることにした。
私が助けられた時に着ていた服はボロボロで、身元がハッキリするものはなかった。
「ボロボロになってしまった服は、騎士服に見えるからアンタは騎士様だったのかもしれないね。体も鍛えたようなしっかりした体だし。これは、騎士団のマークかもしれないけど、私達みたいな平民にはよく分からないねぇ。
後で何かの役に立つかもしれないから、とっておいた方がいいね。」
騎士服についていたピンズと、身につけていた指輪は、大切に持っていた方がいいと言われたので大切にとっておくことにした。
宝石の付いたブローチなどは、お世話になっている夫婦にお金のかわりに渡した。
体が回復してきた私は、夫婦の手伝いをして過ごしていた。
ある日、夫婦に呼ばれて、剣を渡される。
「街で中古の剣が安く売っていたから買って来たんだ。アンタが使いな。
体が元気になってきたから、また鍛えて騎士の仕事でもすればいいよ。」
有り難く受け取ることにした。
剣を握ってみると、手に馴染んでいるような気がする。
やはり私は騎士だったのかもしれない。そして、身につけていた指輪は、結婚している者がつける指輪だろうと教えてもらった。
記憶は無くしているが、私には愛する家族や妻がいたということなのだろう…。
名前も忘れてしまった私は、自分の名前をロイと名乗ることにした。
体が回復し、日常生活が送れるようになった私は、夫人に勧められて、ギルドに職を探しに出かけた。
運良く、商家の護衛騎士として働くことが決まり、住み込みで働けることになった。
それに伴って、お世話になった夫婦の家を出ることになった。
「職が決まって良かったね。元気でやるんだよ。」
「2人には感謝しております。落ち着いたら手紙を出すようにします。ありがとうございました。」
「頑張りなさい。気をつけてな。」
真面目に働き、護衛騎士として能力を認められた私は、商会長の子息の護衛にしてもらえることになった。
「君がロイ?優秀な騎士なんだって?
私のことはスコットと呼んでくれ。これからよろしく頼んだよ!」
「ロイです。どうぞよろしくお願い致します。」
大金持ちの商家の跡取りでありながら、真面目で誠実で仕事熱心な子息だ。
商家の従業員からの信頼も厚く、見目が良いので女性からも人気がある。
商会は他国との取引を拡大していて、他国に支店をオープンさせる計画があり、スコット様と一緒に国外に行くことになる。
他の商会の支店に商談に行くことになったスコット様の護衛として行った先で、私は美しい女性と出会うことになるのであった。
見たことのない質素な部屋で、硬いベッドに私は寝せられている。
体が痛くて怠くて動かせない。
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後で何かの役に立つかもしれないから、とっておいた方がいいね。」
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