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新しい生活
紅茶
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「シャノン嬢…?座らないのですか?」
殿下と同じテーブルの椅子に座るのに、躊躇していると、笑顔の殿下から声を掛けられる。
「シャノン嬢が座ってくれないと、私はいつまでもこの美味しい紅茶を飲むことが出来ませんね…。」
「…失礼致します。」
殿下の笑顔に負けたわ…
「……とっても美味しいです。
あの頃、生徒会の仕事はあまり好きではありませんでしたが、シャノン嬢の美味しい紅茶が頂けるので、それだけを支えに頑張ることが出来ました。
また貴女の淹れた紅茶を飲むことが出来て、私はとても嬉しく思います。」
殿下にそんな風に言って頂けるなんて…。
「ありがとうございます。勿体ないお言葉でございますわ。」
「ところで…、シャノン嬢。
あの日のことをずっと謝りたいと思っていました。
あの日、貴女に無理をさせて私は貴女を傷付けてしまった…。申し訳なかった。」
急に悲痛な表情で謝罪をする殿下。
「おやめください!謝罪は必要ありませんわ。
傷付いておりませんし、何があったのかもよく覚えていませんわ。
ですから、お顔を上げて下さいませ。」
殿下も気にしていてくれたのね。気不味いからと、気を遣って謝罪までしてくれたのかしら?
王族なのだから謝罪なんて必要ないのに…。
この方は本当に謙虚な方だわ。
「シャノン嬢が怒って帰ってしまったのかと、ずっと心配していました。
嫌われてしまったかと…。」
「怒っておりませんし、嫌ってもいませんわ。ただ、殿下の婚約者の方を思い出して、申し訳ない気持ちにはなりましたが…。
もう忘れましょう。」
「…忘れる?」
殿下が真顔でボソッと言った言葉は私は聞き取れなかった。
「え…?」
「いや…、許して頂けるなら嬉しいです。
これからも学生時代のように、気さくに接してくれたら嬉しいです。
母もあんな感じですが、どうぞよろしくお願いします。」
「王妃殿下には大変感謝しておりますし、とても尊敬しておりますの。ここで仕事をさせて頂けて、私はとても幸せなのです。
こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。」
王太子殿下はおかわりの紅茶を飲んだ後に、殿下の執務室に戻っていった。
気不味いかと思っていたけど、ああやって気を遣ってくれたから良かったわ。
本当にお優しい方だと思う…。
今日だって、自分の妻である妃殿下の為に、誕生日の希望を言いに来ていたようだし、自分の母親と妻の間に入って、上手く取り持とうとしていたように見えた。
妃殿下に情夫がいるのは驚いたけど、それを受け入れている王太子殿下は心の広いお方なのね。
私なら絶対に無理ね…。何年も前の不貞行為ですら許せない心の狭い妻だったもの。
私はもう結婚はしたくない。たった一度の裏切りで、あんな風に傷つくなら、結婚も恋も無理にはしようとは思わない。
こうやって仕事をして、自分の力で生きていきたいわ。
王太子殿下は、時折、王妃殿下の執務室に来ては、私の淹れた紅茶を飲んでいく。
私の淹れた紅茶が1番美味しいとか、疲れが取れるとか、嬉しい言葉を掛けてくれる。
そんな優しい殿下に、私は胸がドキドキしているような気がした。
勘違いしてはいけない。
私はただ嬉しい言葉を掛けられて、舞い上がっているだけ。
気を付けないと……
殿下と同じテーブルの椅子に座るのに、躊躇していると、笑顔の殿下から声を掛けられる。
「シャノン嬢が座ってくれないと、私はいつまでもこの美味しい紅茶を飲むことが出来ませんね…。」
「…失礼致します。」
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「……とっても美味しいです。
あの頃、生徒会の仕事はあまり好きではありませんでしたが、シャノン嬢の美味しい紅茶が頂けるので、それだけを支えに頑張ることが出来ました。
また貴女の淹れた紅茶を飲むことが出来て、私はとても嬉しく思います。」
殿下にそんな風に言って頂けるなんて…。
「ありがとうございます。勿体ないお言葉でございますわ。」
「ところで…、シャノン嬢。
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傷付いておりませんし、何があったのかもよく覚えていませんわ。
ですから、お顔を上げて下さいませ。」
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この方は本当に謙虚な方だわ。
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「怒っておりませんし、嫌ってもいませんわ。ただ、殿下の婚約者の方を思い出して、申し訳ない気持ちにはなりましたが…。
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「え…?」
「いや…、許して頂けるなら嬉しいです。
これからも学生時代のように、気さくに接してくれたら嬉しいです。
母もあんな感じですが、どうぞよろしくお願いします。」
「王妃殿下には大変感謝しておりますし、とても尊敬しておりますの。ここで仕事をさせて頂けて、私はとても幸せなのです。
こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。」
王太子殿下はおかわりの紅茶を飲んだ後に、殿下の執務室に戻っていった。
気不味いかと思っていたけど、ああやって気を遣ってくれたから良かったわ。
本当にお優しい方だと思う…。
今日だって、自分の妻である妃殿下の為に、誕生日の希望を言いに来ていたようだし、自分の母親と妻の間に入って、上手く取り持とうとしていたように見えた。
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私なら絶対に無理ね…。何年も前の不貞行為ですら許せない心の狭い妻だったもの。
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私の淹れた紅茶が1番美味しいとか、疲れが取れるとか、嬉しい言葉を掛けてくれる。
そんな優しい殿下に、私は胸がドキドキしているような気がした。
勘違いしてはいけない。
私はただ嬉しい言葉を掛けられて、舞い上がっているだけ。
気を付けないと……
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