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未亡人の私は
恋とは
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「この部屋にいる時は、夫人を名前で呼ぶことをお許し頂きたいのです。」
閨指導に来た私に、王太子殿下はそのようなことを言う。
親しい従者や侍女なんかには、名前で呼び捨てにすることは珍しくないのだし、問題はないだろう。
「はい。アメリアとお呼び下さいませ。」
「いや…、リアと呼んでもいいですか?」
愛称で…?この部屋だけならいいかしら?殿下にダメとは言えないし。
「この部屋にいる時だけですわよね?大丈夫ですわ。」
「ありがとうございます。
…リア、こっちに来て。」
殿下は蕩けるような笑顔で、私の手を引く。
…これは若い令嬢だったら、勘違いしてしまうかもしれない。閨指導の相手にこんな扱いをするなんて。
殿下はとにかく優しい。大切に扱われているのが分かるし、相手が殿下だからこの仕事が出来たのだと思う。
ただ、私を抱き潰すくらい絶倫だけど…。
「リア、会いたかったです…。この前、君が帰ってしまったと聞いて、寂しくて仕方がなかった。
ああ…、リアの温もりに触れられることが、こんなに幸せだなんて…。」
私は殿下の腕に閉じ込められていた。
「………?」
殿下の言葉は、閨指導の私に言うようなことではないと思うのだけど。
「…リア。今日は私を君の恋人だと思って欲しいのです。」
「恋人ですか…?」
「はい。ワガママを言っているのは理解しています。」
「私は恋をしたことがありませんので、恋人がどんなものか分かりませんが、それでもよろしいでしょうか?」
「……恋をしたことがない?」
「恋と自覚できるようなことはなかったと思います。」
「しかし、リアは亡くなられたご主人と仲が良かったのでは?」
「……ただの政略結婚でした。幼かった頃は恋をしていると勘違いしていた時期がありましたが、今考えると恋ではなかったと思います。」
「知りませんでした…。」
「それは良かったですわ。周りにはバレないように努力していましたから。
ふふっ。家族と親友にしか話していませんから、内緒ですわよ。」
「では、今日は私と恋をしてくれませんか?」
恋だなんて…
「殿下が教えて下さるのですか…?」
「……はい。」
殿下はひたすら私を甘やかし、愛を囁く。恋人ってこんな感じなのかしら…。
その日も殿下に抱き潰され、気がつくと朝になっていた。
「リアが可愛すぎて無理をさせてしまいました。体が辛いでしょうから、今日も休んでいて下さい。
急いで執務を終えてきますから、待っていて下さいね。」
殿下は私に沢山キスを落とした後、執務に向かったようだ。
冷静になった私は自己嫌悪に陥っていた。
殿下はもうすぐモンサンミ国の王女殿下と結婚されるのに、私のしていることは何なの?
閨指導と言われて来たけれど、昨夜のあれは、閨指導ではない。あのようなことをしていたと王女殿下が知ったら、不貞をしていると思われるだろうし、傷付くに違いない。
あの時の私のように…。
もう閨指導は終わりにしてもらおう。
私だってあんな風に扱われたら…、優しくて素敵な殿下に本当に恋をしてしまうかもしれない。
もう殿下には会わない方がいいわね。ヘミングウェイ伯爵夫人にも、今日で終わりにしたいと話してみよう。
「今日で終わりにしたい…?
夫人、何か嫌なことでもありましたか?」
「いえ、殿下はとても親切でお優しいお方です。
しかし、気づいてしまいました…。
特定の者に何度も閨指導されていることを、もし殿下の婚約者の方が知ってしまったら、きっと2人の関係は悪くなってしまいます。
王女殿下を傷つけるようなことはしたくありませんし、殿下にはもう閨指導は必要ないと思うのです。」
「…夫人の言っていることは分かりました。
王妃殿下にもそのことは伝えさせて頂きますわ。」
今日もすごい金額が記入された小切手を渡された。
これだけの金額を頂けたのだから、もういいわよね?
抱き潰されてぐったりしているから、伯爵家に早く帰って休ませてもらおう。
バーネット伯爵家に戻ると、疲れている私を見たアドルフ様にまた心配されてしまったので、今回で最後ですと伝えておいた。
閨指導に来た私に、王太子殿下はそのようなことを言う。
親しい従者や侍女なんかには、名前で呼び捨てにすることは珍しくないのだし、問題はないだろう。
「はい。アメリアとお呼び下さいませ。」
「いや…、リアと呼んでもいいですか?」
愛称で…?この部屋だけならいいかしら?殿下にダメとは言えないし。
「この部屋にいる時だけですわよね?大丈夫ですわ。」
「ありがとうございます。
…リア、こっちに来て。」
殿下は蕩けるような笑顔で、私の手を引く。
…これは若い令嬢だったら、勘違いしてしまうかもしれない。閨指導の相手にこんな扱いをするなんて。
殿下はとにかく優しい。大切に扱われているのが分かるし、相手が殿下だからこの仕事が出来たのだと思う。
ただ、私を抱き潰すくらい絶倫だけど…。
「リア、会いたかったです…。この前、君が帰ってしまったと聞いて、寂しくて仕方がなかった。
ああ…、リアの温もりに触れられることが、こんなに幸せだなんて…。」
私は殿下の腕に閉じ込められていた。
「………?」
殿下の言葉は、閨指導の私に言うようなことではないと思うのだけど。
「…リア。今日は私を君の恋人だと思って欲しいのです。」
「恋人ですか…?」
「はい。ワガママを言っているのは理解しています。」
「私は恋をしたことがありませんので、恋人がどんなものか分かりませんが、それでもよろしいでしょうか?」
「……恋をしたことがない?」
「恋と自覚できるようなことはなかったと思います。」
「しかし、リアは亡くなられたご主人と仲が良かったのでは?」
「……ただの政略結婚でした。幼かった頃は恋をしていると勘違いしていた時期がありましたが、今考えると恋ではなかったと思います。」
「知りませんでした…。」
「それは良かったですわ。周りにはバレないように努力していましたから。
ふふっ。家族と親友にしか話していませんから、内緒ですわよ。」
「では、今日は私と恋をしてくれませんか?」
恋だなんて…
「殿下が教えて下さるのですか…?」
「……はい。」
殿下はひたすら私を甘やかし、愛を囁く。恋人ってこんな感じなのかしら…。
その日も殿下に抱き潰され、気がつくと朝になっていた。
「リアが可愛すぎて無理をさせてしまいました。体が辛いでしょうから、今日も休んでいて下さい。
急いで執務を終えてきますから、待っていて下さいね。」
殿下は私に沢山キスを落とした後、執務に向かったようだ。
冷静になった私は自己嫌悪に陥っていた。
殿下はもうすぐモンサンミ国の王女殿下と結婚されるのに、私のしていることは何なの?
閨指導と言われて来たけれど、昨夜のあれは、閨指導ではない。あのようなことをしていたと王女殿下が知ったら、不貞をしていると思われるだろうし、傷付くに違いない。
あの時の私のように…。
もう閨指導は終わりにしてもらおう。
私だってあんな風に扱われたら…、優しくて素敵な殿下に本当に恋をしてしまうかもしれない。
もう殿下には会わない方がいいわね。ヘミングウェイ伯爵夫人にも、今日で終わりにしたいと話してみよう。
「今日で終わりにしたい…?
夫人、何か嫌なことでもありましたか?」
「いえ、殿下はとても親切でお優しいお方です。
しかし、気づいてしまいました…。
特定の者に何度も閨指導されていることを、もし殿下の婚約者の方が知ってしまったら、きっと2人の関係は悪くなってしまいます。
王女殿下を傷つけるようなことはしたくありませんし、殿下にはもう閨指導は必要ないと思うのです。」
「…夫人の言っていることは分かりました。
王妃殿下にもそのことは伝えさせて頂きますわ。」
今日もすごい金額が記入された小切手を渡された。
これだけの金額を頂けたのだから、もういいわよね?
抱き潰されてぐったりしているから、伯爵家に早く帰って休ませてもらおう。
バーネット伯爵家に戻ると、疲れている私を見たアドルフ様にまた心配されてしまったので、今回で最後ですと伝えておいた。
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