まだ２０歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか？

未亡人の私は

葬儀が終わった後

　教会での葬儀が終わった。

　私達の親族の他に、親友達や学園でお世話になった先輩方、そして亡くなった旦那様の友人や騎士団関係者など、沢山の方が旦那様のお別れに来てくれた。

　私は義両親、義弟と、参列者の見送りをしている。


「リア、何であなたばかりこんな思いを…。
　何かあれば、すぐに連絡してね。」

「私達は貴女の親友なのだから、何でも頼って。」

「来てくれてありがとう。落ち着いたら連絡するわね。」

　事情を知る友人達は、泣きながら私を抱きしめて帰っていった。


「バーネット夫人。君の悲しみが癒えることを祈っている。
　何かあれば、私を頼ってくれ。」

「アンブリッジ公爵様、今日はありがとうございました。」

　生徒会長は爵位を引き継ぎ、公爵様になったのよね。今日は忙しい中、わざわざ参列してくれたようだ。

「私達は生徒会の仲間だろう？卒業しても、大切な仲間が困っているときは、私は迷わずに手を差し伸べたいと思う。」

「はい…。頼りにしておりますわ。」



　見送りを終えて、邸に帰ってくる。
　しばらくは、別に住んでいた義両親と義弟もこの邸に滞在するらしい。

「アメリア、今日はバーネット家の女主人として、葬儀を取り仕切ってくれてありがとう。とても立派だった。イアンもそんな君を誇りに思うだろう。
　1番辛いのはアメリアなのだから、しばらくは何もせずに、のんびり過ごすといい。
　君は私達の大切な娘なのだから。」

「本当にアメリアは自慢の娘よ。私の友人達はみんな貴女を褒めていたわ。
　イアンのことは辛いけど、私達家族みんなで乗り越えていきましょうね。
　疲れているでしょう？しばらくはゆっくり過ごしなさいね。」

　こんな時まで私を気遣ってくれる義両親。
　しばらくは静かにしていよう。落ち着いたら、この家を出て行く話もしよう。爵位は義弟が引き継いでくれるよね？その話もしないと。

　義両親も憔悴し、疲れた顔をしている。大切な息子を亡くしたのだから当然だ。

「お義父様・お義母様も、今日はありがとうございました。
　お疲れでしょうから、早くお休みになって下さいませ。お二人に何かあったら旦那様が悲しみますわ。」

「アメリア、ありがとう。私達は休ませてもらうよ。」

　義両親は部屋を出て行った。


　今ここにいるのは、私と義弟のアドルフ様だけ…。まだ自室に戻らずにここに残っているのは、今後の話でもするつもりかしら？なかなかこの方と2人で話す機会はないから、今話してみるのもいいかもしれない。

「あの…、アドルフ様にお話があるのですが、今よろしいでしょうか？お疲れでしたら、後日でも平気です。」

「……私も貴女に話がありましたので、ちょうど良かったです。」

　やはり爵位の話かしら？このお方は、顔立ちは旦那様に似ているのだけれど、とにかく無表情で何を考えているのかが分からないのよね。

「…私に話ですか？ではアドルフ様からどうぞ。」

「いえ、先に義姉上から話して下さい。」

「…ありがとうございます。
　私は喪が明けましたら、この邸を出るつもりです。今は、旦那様の妻である私が領主代行を務めておりますが、喪が明ける前には、アドルフ様に爵位を継承する手続きをとって頂きたいと思っております。
　…お許し頂けませんか？
　まだ悲しみの中にいる義両親には話せておりませんが、落ち着いたら2人にも話をしたいと考えております。」

「………！」

　無表情なはずのアドルフ様が、険しい表情になっていた。