君ト僕ト秘密

riyu

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#18

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いつも通りの朝がきた

千春との
あの事が起きてから
1ヶ月が経った

あれから
千春から連絡はない
僕も連絡を取っていない
いや
怖くて取れない
臆病者

最低だ



今日は本業が休みで
夕方からバイトだ

朝から掃除に洗濯
あの時から
自分にイライラしていた

あれこれしているうちに
昼過ぎになり
僕は1人、温泉に行くことにした
この気持ちを少しでも
楽にさせたかった
忘れたかった


荷物をまとめ
バイトの着替え等を
リュックに押し込み

バイト先、近くにある
温泉に向かった

車を一時間ほど走らせ
バイト先を過ぎた
山間に温泉がある

ここも安くて
露天風呂が最高の温泉だ

休日とあって
人が凄く多かった
大浴場も露天風呂もサウナも
人、人、人

休日に来るんじゃなかったと
後悔しながら
僕は一時間ほどで
温泉から上がった

バイト先の駐車場に行き
時間まで車で座席を倒し
スマホを見ながらゆっくり
過ごしていた

すると窓を叩く音がし
僕はビックリし飛び起きた

窓の外を見ると
息を切らしている
現場の社員が居た

「どーしたの?」
僕が問いかけ
呼吸を整えた社員が
「時間外ですみません!至急現場に来て下さい!」

僕は頷き
早足で現場に行く

今日は人員が足りてなく
現場がパンク寸前だった

「なぜ応援を呼ばなかった?」
僕は社員に言う

社員は上司に
報告はしたらしい
だが自分達が手伝うことなく
パソコンの数字だけを見て
「大丈夫」「頑張れ」しか
言われなかったらしい

僕はイライラしてたせいもあり
怒りに体が震えたが我慢した
とにかくこの現場を片付けることを
優先し、作業に取りかかった

このあと
池さんや詫さんも出勤してきたが
いつもより二時間も遅く終わった

みんな疲れきっていて
後片付けをしていた

だが僕は1人
事務所に向かった

事務所に入るなり
上司に怒号を浴びせた

大人の対応じゃないのは
分かっていた

我慢の限界だった

いや・・ただの八つ当たりだ

僕は現場の社員やパートに止められる
上司は僕が激怒してることに
驚きその場で座り込んでいた


心の中で
クビは覚悟していた
だが
クビになる前に
言うことを全部言おうと

僕は今までの鬱憤を晴らすかのように
言い続けた

上司は
「すまない・すまない」しか言わない

現場から
詫さんと池さんも飛んできた

詫さんからは
落ち着けと何度も言われた

池さんは
上司を睨んでいた

騒動を聞いたのか
別部署から色んな人が事務所に集まった

詫さんのおかげで
落ち着いてきた僕
周りの人を見て
怒りも収まり
急に寒気が走った

とっさに僕は
周りに謝った



すみません。すみません。すみません。

僕にはそれしか
言えなかった

詫さんが
「後は俺がしとくけん、今ははよ帰り」

僕は池さんと車のとこへ行き
池さんから
後で連絡するから気を付けと言われ
僕は言われるがまま帰った

頭が真っ白だった

アパートに着き
風呂も入らず
イスに座る
スマホには
まだ連絡はない

詫さん池さん
ごめんなさい

僕は泣いていた
僕はもう子供ではない
あんなに怒り
あんなに怒鳴り

恥ずかしい

悪いのは全部
僕なのに・・

詫さんに電話かける

「先程はすみません、僕のせいで・・」

僕の言葉を無言で聞いてくれる
詫さん

話しの途中で僕はまた
泣いてしまった

すると詫さんから
「今日はもう寝なさい。そして落ち着いてからまた話してね?大丈夫だから!」

おやすみと言われ
電話を切られた

僕は安心して
また泣いてしまった
いい大人がだらしない
恥ずかしい

泣いたのはいつ以来だろう
怒りの涙も
悲しい涙も


僕は疲れたのだろう
気づいた時には
眠っていた

僕はこれから
どうなるんだろうか
バイトは
どうなるんだろうか
みんなとは
どうなるんだろうか



君とは
どうなるんだろうか




僕には秘密がある
君には言えない秘密がある。
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