白雪姫症候群-スノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

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第9章 新たな希望と変わる世界

第71話ー⑤ 捕らわれの獣たち 後編

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「――それに、今回の作戦は私もそんなに乗り気じゃないでしすしね」

 そう言ってキキは俯いた。

 乗り気じゃない――?

「それは、どういうことだ?」
「私もあなたたちと同じで隼人はやとの言いなりになるのは、嫌だってことですよ」
「え……?」

 この子は隼人の仲間のはず。でも……もしかして何か、あるのか――?
 
 そんなことを思いながら、キキの顔を見る暁。

「君がどう思おうと、関係ない。僕はドクターの道を邪魔する相手がいるのなら、力ずくで排除――」
「ちょっと待てって!」

 そう言って翔の腕をつかむ暁。

「!? これが、無効化か……でも兄さん! こいつらが何をしたのか、知っているだろう?」
「ああ。俺だって生徒を傷つけられた。だから許したくはない。でもまずは話を聞いてからでもいいだろう?」

 そしてニコっと微笑む暁。

「わかった。兄さんがそう言うなら……それと、腕は放してよ。もう能力を使わないから」
「おう!」

 それから暁は掴んでいた翔の腕を放し、視線をキキに移した。

「それで、お前はこれからどうするつもりだ?」
「私は……ほたるを連れてここから離れます。隼人の目が届かない場所でひっそりと暮らしますことにしますよ」

 キキは何かを吹っ切ったように、スッキリとした表情でそう言った。

 そんなキキを見て、きっとその答えを出すために悩んできたんだろうな――と暁はそう思う。

「それと魔女様にも言われているんですよ。自分が消えれば、隼人が暴走を始める。だからそうなる前にほたるを連れて逃げなさいってね。まあ、少し遅かったかもですが」

 今度は悲し気な顔でそう言うキキ。

 そして暁はキキの言った『魔女』という聞き覚えのない言葉に首をかしげる。

「なあ。その、魔女様って――?」
「彼女がいた組織のおさだよ。今は、ドクターの能力で消滅したけど」

 翔は淡々と暁にそう言った。

「へえ、そうなのか」

 そのドクターも一体何者なんだろうな――と思いながら、暁はキキに視線を戻す。

「魔女様のしたことは許されないことだってことはわかっています。でも私もほたるも魔女様に救われたのは確かで……だから、お願いです。隼人を止めてください。それができるのは先生たちだけなんです」

 そう言って頭を下げるキキ。

 救われた、か……そうだとしたら、その魔女のために悪事を働いてしまうのは仕方のないことだったのかもしれない。俺も出会う人を間違えれば、悪の道に進んでいた可能性だって――

「確かにその魔女がしたことは許されることじゃない。でも……隼人を止めなきゃいけないってのは、俺も同意見だ!」
「先生……」

 そう言いながら、ゆっくりと顔を上げるキキ。

「それにお前もこれ以上戦うつもりはないんだろ? じゃあ俺がどうこうできることでもないしな。俺、そもそも一般市民だし!」

 満面の笑みで暁がそう言うと、

「国家を滅ぼす力を持った一般市民って……」

 翔はため息交じりにそう言った。

「確かに。最強の一般市民だな、それは! ははは!」
「相変わらず兄さんは明るいというか、楽観的というか――」
「相変わらずって……俺の事、そんなに覚えてないだろう?」

 暁が冗談交じりに笑いながらそう言うと、

「まあ、そうだね」

 翔はそう言って「うん、うん」と頷いた。

「――えっと、じゃあとりあえず。俺はお前を捕まえるつもりはないってことだ。だからお前はその……ほたる? のところに早く行ってやれ。きっとお前のことを待っているだろうしさ」

 暁がニコッと笑ってそう言うと、

「ありがとうございます! このご恩はいつか必ず――!」

 キキはそう言ってお辞儀をし、生成した雲に乗ると、そのままどこかへ飛んでいった。

「本当に逃がしてよかったの?」
「ああ、いいんだ」

 暁はそう言いながらキキが飛んでいった空を見上げた。

「――じゃあ、次の用事にいくか!!」
「次の、用事?」

 そう言って首をかしげる翔。

「そうだ! 俺にはまだやらなきゃならないことがあるからな」

 暁はそう言って翔に微笑んでから、正面玄関から建物の中へ入っていった。

「ま、待って! 僕も行くよ!!」

 そして翔も暁の後を追って建物の中へ向かったのだった。
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