60 / 126
第2章 魔女たちの暗躍編
第3話ー⑩ 毒リンゴの力
しおりを挟む
翌日、キリヤたちは再びこの街を訪れた。
昨日同様、キリヤたちは分かれてそれぞれの問題の解決にあたった。
午前中のキリヤは、慎太から聞いた手掛かりを頼りに『キキ』と呼ばれる少女を探した。
「確か路地裏で出会ったって慎太は言っていたよね。だったら路地裏を中心に探せば、もしかしたら……」
そんなことを言いながら、キリヤは街中の路地裏を周る。しかし、どこを探しても『キキ』には出会えなかった。
「優香の調査と同じで、同じ地域をターゲットにしているわけじゃないにかもしれない。そう考えると、このあたりを探しても無意味なのかな」
でももし慎太が本当に『ポイズン・アップル』を埋め込まれているのなら、どこかで様子を窺っている可能性もある、か――。
そうだとしたら、闇雲に街中を探し回るより慎太と行動する方が『キキ』と会う確率は高まるんじゃないかとキリヤは思った。
「よし。とりあえず今日も慎太と合流しよう」
きっと何か手掛かりが掴めるはずだ。
そしてキリヤは昨日慎太と別れた場所へ向かった。
「さすがにここでは会えないだろうから、どうにかして探し出すしかないよね」
そんなことを呟きつつ、キリヤは昨日慎太と別れた場所を徘徊していた。
時刻は午後3時。そろそろ慎太も帰宅していてもおかしくはない時間だ。偶然会えればラッキーだけど、僕はそんなに幸運な方ではないからな――。
「はあ。昨日、連絡先を聞いておくべきだったよね……」
昨日の自分に後悔しつつ、キリヤは慎太を探した。
そして昨日立ち寄ったハンバーガーショップでの会話をふと思い出す。
――ここのお店は結構好きなんだ。だからよく来るかも!
「そうだ! あのバーガーショップにいるかもしれない!!」
それからキリヤは昨日訪れたバーガーショップへ向かった。
バーガーショップ前。
「ここにいるといいけど……」
そしてキリヤはガラス張りの自動扉の中へ入っていく。
「いらっしゃいませー♪」
今日も甲高い女性の接客が聞こえた。
そして店内は学生や小さな子供連れの母親たちが楽しそうに食事をしているようだった。
それからキリヤは注文カウンターには向かわず、店内を回る。すると――
「あれ、キリヤ君?」
聞きなれた少年の声が聞こえた。
「慎太!! やっぱりここにいた!!」
キリヤは目当ての慎太を見つけて、ほっとしたのだった。
「奇遇だね! 休憩しに来たの?」
「うーん。まあそんなところかな?」
まさか調査のために慎太を探していたなんて言えないよね――
「そっか! また会えて嬉しいよ! こっちで一緒に食べよ!」
「う、うん!!」
そしてキリヤは慎太の正面に座る。
「まだ、注文していないんだね? 僕はここで待ってるけど、キリヤ君はひとりで注文行ける?」
「うーん。……頑張ってみる」
キリヤはそう言って立ち上がり、注文カウンターへと向かった。
これも仕事だと思えば! きっと、きっと大丈夫のはず。昨日一回見ているんだし、僕ならできるよね――。
そんなことを思いながら、注文の列に並ぶキリヤ。
「これをクリアしないと、慎太と相席ができない。そうなると、せっかく慎太を見つけた僕の苦労が……」
キリヤは決意したようにぐっと拳を握り、頷く。
きっと僕ならできる。だって僕はもう子供じゃないんだから――。
キリヤはそうは思いつつも、緊張で鼓動が早くなっていた。
キリヤがカウンターの前に立つと販売員の女性が満面の笑みを向けて、
「いらっしゃいませぇ! ご注文は何に致しますかぁ?」
甲高い声でキリヤにそう告げる。
「え、っと……」
たくさんあるメニューを見ながら、キリヤは自分が言いやすそうなバーガーを選んだ。
「こ、このダブルチーズバーガーをください」
キリヤが恐る恐る告げると女性は笑顔を崩さず、
「はい。ダブルチーズバーガーですねぇ! 単品ですか? セットにしますか?」
再びキリヤに質問を飛ばす。
「ええっと……じゃあセットで」
「はい。ダブルチーズバーガーセットですね! サイドメニューは何にされますかぁ?」
「サ、サイドメニュー!? えっと……」
キリヤが困っていると、販売員の女性は、
「サイドメニューはこちらですね! ポテトのセットとサラダのセット、チキンナゲットのセットがあります!」
丁寧に笑顔で教えてくれた。
「ありがとうございます。じゃあポテトのセットで……」
「では、今度はドリンクをお選びください! ちなみにドリンクはこちらからお選びいただけます!」
キリヤが初心者であることを察したのか、丁寧にドリンクメニューの説明をする女性。その女性の名札には『斎藤』と書いてあることを確認するキリヤ。
――ありがとう、斎藤さん。
キリヤは心の中でそんなことを思いつつ注文を終え、商品配達用のナンバープレートをもらい慎太の元へと帰っていった。
「お疲れ様! ずっと見ていたけど、頑張ったね!」
そう言って、腹を抱えて笑う慎太。
「それ、褒めてるの? けなしてるの?」
「両方かな? ははは!」
そう言って笑う慎太に、キリヤは少しだけむっとするのだった。
そしてそんなキリヤの顔を見た慎太は、また腹を抱えて笑っていた。
「そんなに笑うなよー!! ははは」
慎太の笑いにつられ、キリヤも自然と笑いがこみ上げていた。
――なんだろう、この感覚。今まで味わったことがないくらい、心地いいな。
キリヤはそんなことを思いながら、慎太と笑いあっていたのだった。
そしてそれからしばらくして、キリヤが初めて1人で注文した『ダブルチーズバーガーセット』が運ばれてきた。
「これが!! 僕の、初めての!!」
キリヤは感動しながら、そのバーガーを噛みしめたのだった。
昨日同様、キリヤたちは分かれてそれぞれの問題の解決にあたった。
午前中のキリヤは、慎太から聞いた手掛かりを頼りに『キキ』と呼ばれる少女を探した。
「確か路地裏で出会ったって慎太は言っていたよね。だったら路地裏を中心に探せば、もしかしたら……」
そんなことを言いながら、キリヤは街中の路地裏を周る。しかし、どこを探しても『キキ』には出会えなかった。
「優香の調査と同じで、同じ地域をターゲットにしているわけじゃないにかもしれない。そう考えると、このあたりを探しても無意味なのかな」
でももし慎太が本当に『ポイズン・アップル』を埋め込まれているのなら、どこかで様子を窺っている可能性もある、か――。
そうだとしたら、闇雲に街中を探し回るより慎太と行動する方が『キキ』と会う確率は高まるんじゃないかとキリヤは思った。
「よし。とりあえず今日も慎太と合流しよう」
きっと何か手掛かりが掴めるはずだ。
そしてキリヤは昨日慎太と別れた場所へ向かった。
「さすがにここでは会えないだろうから、どうにかして探し出すしかないよね」
そんなことを呟きつつ、キリヤは昨日慎太と別れた場所を徘徊していた。
時刻は午後3時。そろそろ慎太も帰宅していてもおかしくはない時間だ。偶然会えればラッキーだけど、僕はそんなに幸運な方ではないからな――。
「はあ。昨日、連絡先を聞いておくべきだったよね……」
昨日の自分に後悔しつつ、キリヤは慎太を探した。
そして昨日立ち寄ったハンバーガーショップでの会話をふと思い出す。
――ここのお店は結構好きなんだ。だからよく来るかも!
「そうだ! あのバーガーショップにいるかもしれない!!」
それからキリヤは昨日訪れたバーガーショップへ向かった。
バーガーショップ前。
「ここにいるといいけど……」
そしてキリヤはガラス張りの自動扉の中へ入っていく。
「いらっしゃいませー♪」
今日も甲高い女性の接客が聞こえた。
そして店内は学生や小さな子供連れの母親たちが楽しそうに食事をしているようだった。
それからキリヤは注文カウンターには向かわず、店内を回る。すると――
「あれ、キリヤ君?」
聞きなれた少年の声が聞こえた。
「慎太!! やっぱりここにいた!!」
キリヤは目当ての慎太を見つけて、ほっとしたのだった。
「奇遇だね! 休憩しに来たの?」
「うーん。まあそんなところかな?」
まさか調査のために慎太を探していたなんて言えないよね――
「そっか! また会えて嬉しいよ! こっちで一緒に食べよ!」
「う、うん!!」
そしてキリヤは慎太の正面に座る。
「まだ、注文していないんだね? 僕はここで待ってるけど、キリヤ君はひとりで注文行ける?」
「うーん。……頑張ってみる」
キリヤはそう言って立ち上がり、注文カウンターへと向かった。
これも仕事だと思えば! きっと、きっと大丈夫のはず。昨日一回見ているんだし、僕ならできるよね――。
そんなことを思いながら、注文の列に並ぶキリヤ。
「これをクリアしないと、慎太と相席ができない。そうなると、せっかく慎太を見つけた僕の苦労が……」
キリヤは決意したようにぐっと拳を握り、頷く。
きっと僕ならできる。だって僕はもう子供じゃないんだから――。
キリヤはそうは思いつつも、緊張で鼓動が早くなっていた。
キリヤがカウンターの前に立つと販売員の女性が満面の笑みを向けて、
「いらっしゃいませぇ! ご注文は何に致しますかぁ?」
甲高い声でキリヤにそう告げる。
「え、っと……」
たくさんあるメニューを見ながら、キリヤは自分が言いやすそうなバーガーを選んだ。
「こ、このダブルチーズバーガーをください」
キリヤが恐る恐る告げると女性は笑顔を崩さず、
「はい。ダブルチーズバーガーですねぇ! 単品ですか? セットにしますか?」
再びキリヤに質問を飛ばす。
「ええっと……じゃあセットで」
「はい。ダブルチーズバーガーセットですね! サイドメニューは何にされますかぁ?」
「サ、サイドメニュー!? えっと……」
キリヤが困っていると、販売員の女性は、
「サイドメニューはこちらですね! ポテトのセットとサラダのセット、チキンナゲットのセットがあります!」
丁寧に笑顔で教えてくれた。
「ありがとうございます。じゃあポテトのセットで……」
「では、今度はドリンクをお選びください! ちなみにドリンクはこちらからお選びいただけます!」
キリヤが初心者であることを察したのか、丁寧にドリンクメニューの説明をする女性。その女性の名札には『斎藤』と書いてあることを確認するキリヤ。
――ありがとう、斎藤さん。
キリヤは心の中でそんなことを思いつつ注文を終え、商品配達用のナンバープレートをもらい慎太の元へと帰っていった。
「お疲れ様! ずっと見ていたけど、頑張ったね!」
そう言って、腹を抱えて笑う慎太。
「それ、褒めてるの? けなしてるの?」
「両方かな? ははは!」
そう言って笑う慎太に、キリヤは少しだけむっとするのだった。
そしてそんなキリヤの顔を見た慎太は、また腹を抱えて笑っていた。
「そんなに笑うなよー!! ははは」
慎太の笑いにつられ、キリヤも自然と笑いがこみ上げていた。
――なんだろう、この感覚。今まで味わったことがないくらい、心地いいな。
キリヤはそんなことを思いながら、慎太と笑いあっていたのだった。
そしてそれからしばらくして、キリヤが初めて1人で注文した『ダブルチーズバーガーセット』が運ばれてきた。
「これが!! 僕の、初めての!!」
キリヤは感動しながら、そのバーガーを噛みしめたのだった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
悪役令嬢の逆襲~バッドエンドからのスタート
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
重要ミッション!悪役令嬢になってバッドエンドを回避せよ!
バッドエンドを迎えれば、ゲームの世界に閉じ込められる?!その上攻略キャラの好感度はマイナス100!バーチャルゲームの悪役令嬢は色々辛いよ
<完結済みです>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる