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第2章 魔女たちの暗躍編
第2話ー④ 眠り姫との再会
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翌日。キリヤたちは施設の居間で朝食を摂っていた。
焼き魚と3つの小鉢、そして赤味噌のお味噌汁。これぞ、日本の朝食といった感じか――
そんなことを思いつつ、キリヤはその味に浸っていた。
「ねえ、キリヤ君。速水さんにも確認するんだよね」
優香はお茶をすすりながら、キリヤにそう問いかける。
「確認……? あ、ああ、深層心理の世界のことね」
「そう」
「ねえ、優香。それって本当に必要な情報なのかなって最近そう思うんだ。聞かないとダメ?」
「まあキリヤ君が気にしないのならいいんじゃない? 私はどっちでもいいことだから」
そう言って、お茶をゆっくりとすする優香。
「そう、だよね……」
そもそもこのことに疑問を抱いたのは僕自身だった。それなのに、なぜ僕はそんなことを言ったのか――と自分の心の変化に疑問を抱く。
保護施設に行ったとき、優香に言われた言葉を思い出すキリヤ。
『――もしかしたら、キリヤ君が特別なのかもしれませんね』
優香と暁が見られなかった世界を自分だけが見ている。やっぱり自分だけが異色の存在なのか――?
そんなことを思いつつ、少し俯くキリヤ。
そしてキリヤは小さく頷くと、
「やっぱり少し調べてみるよ。これが分かれば、『白雪姫症候群』が何なのかわかるかもしれないから」
そう言って顔を上げた。
「そっか」
優香は、そう言いながら笑っていた。
もしも自分だけが違う存在だったとしても、真実にたどり着けるのなら――そう思いながら、キリヤは朝食を終えたのだった。
そして朝食を終えたキリヤたちは、今日も角田の元でいろはの検査と研究に立ち会っていた。
「数値的にはずっとフラットな状況だね。能力もCクラスのまま」
「つまり事件さえ解決できれば、いつでもいろははここを出られるわけですね」
キリヤはモニターを見ながら、そう呟いた。
「そうだね」
角田はモニターを見ながら、優しい声でそう告げる。
僕たちがこの事件を解決しないと――
そう思いながら、表情が強張るキリヤ。
「キリヤ君、怖い顔してるよ」
優香はキリヤの顔を見ながら、そう言った。
「あ、ごめん」
「もう! 一人で悩まないの。私がいるでしょ? 君は一人じゃないよ」
そう言って微笑む優香。
「うん。ありがとう、優香」
「ははは。君たちはいいコンビみたいだね。櫻井が太鼓判を押すのもわかる気がするよ」
「そうですね。僕も優香と一緒でよかったって思います!」
キリヤが角田にそう伝えると、優香は顔を赤くしながら、
「そんな恥ずかしいこと、言わないでよ!!」
そう言ってぷんすかしていた。
でも、僕は本音を言っただけなんだけどな――
キリヤはそんなことを思いつつ、優香を見て微笑んでいた。
その後、優香は施設にあるデータを読むため、角田と資料室に向かった。
そしてキリヤはいろはと話すために、検査場に向かったのだった。
検査場に着くといろはは着替えを終えて、ちょうど出て行こうとしているところだった。
「お! キリヤ君じゃん! どうしたの?」
キリヤに気が付いたいろはは、いつものように明るい声でそう言った。
「ちょっと話さない? いろはに聞きたいことがあるんだ」
キリヤがそう告げると、いろははニコッと微笑み「OK!」と言ってからキリヤを連れてどこかへ向かう。そしてキリヤたちがついた場所は、天井が吹き抜けになっているカフェスペースだった。
都会に憧れるいろはのためにと、ここの施設の人たちがわざわざ改装してくれたんだそう。
「キリヤ君は何か飲む?」
キリヤがカフェチェアに腰を掛けると、いろはがそう尋ねる。
「あ、じゃあアイスコーヒーを……」
「わかった!」
そう言ってから、いろははちいさなキッチンスペースに消えていった。
それから数分後、いろははお盆にキリヤが頼んだアイスコーヒーといろは自身が飲むカフェオレをもって出てきた。
「どうぞ」
そう言って、いろははキリヤの前にアイスコーヒーを差し出す。もちろんガムシロップとコーヒーフレッシュも添えて。
「あ、ありがとう」
いろはがこんな気遣いのできる子だなんて知らなかった――とキリヤは手際よく飲み物を運んできたいろはを見て驚いていた。
あの礼儀正しいまゆおがいろはを気にいるのも納得かもしれないな――。
そう思いながら、アイスコーヒーにストローを差した。
「それで、アタシに聞きたいことってなあに?」
いろははカフェオレを飲みながら、キリヤに問いかける。
「えっとね。前にいろはが『ポイズン・アップル』のせいで眠っていたでしょ? その時にもう一人の自分と会ったのかなって思って……覚えていたらでいいんだけど!」
「ああ……あの時か。うん。覚えてるよ! なんか、白雪姫の絵本の世界にいて、それでもう一人のアタシがこっちの世界は楽しいよって言ってたかな」
その言葉を聞いて、少しだけほっとするキリヤ。
「じゃあ、いろはも覚えているんだ……」
「え? そういうキリヤ君も?」
「……うん。でも、逆に優香と先生は覚えていないって言うんだよ。どうしてなんだろう……」
疑問に思ったキリヤは、顎に手を当てて考える。
「んー。なんか難しいことはわかんないけど、センセーと優香ちゃんにあって、アタシとキリヤ君にはないものがあるんじゃないの?」
「優香たちにあって、僕らにないもの……」
いろはにそう言われて考えてみたものの、答えはすぐに出てこなかった。
「ま、そんなに思い詰めなくてもいいんじゃない? 気楽にいこうよ!」
そう言ってニコッと笑ういろは。
「そう、だね」
そんないろはにつられて、キリヤは笑顔になった。
答えは出なかったけれど、いろはの証言は得られたわけだし、収穫と言えば収穫だったかな。後は剛か――
「あ、そういえば。言い忘れていたんだけど、剛が目を覚ましたんだ」
キリヤがいろはにそう告げると、
「え!? それを早く言ってよね!! めっちゃうれしいことじゃんか!!」
そう言いながらいろはは驚いた表情をして立ち上がった。
「あはは。ごめん」
「それで、元気なの?」
「ああ、まあ身体に問題はないかな。すぐに元の生活に戻れるって」
「そっか……剛君が……よかったねえ」
ホッとした顔をするいろは。
「ちゃんと僕たちの気持ちが届いたってことだよね」
「そうだね。信じて待っててよかった」
「あの時、まゆおが僕たちに『信じて待とう』って言ってくれなかったら、もしかしたら剛は目を覚まさなかったかもしれないね」
「そう、だね」
キリヤがまゆおの名前を出すと、さみしそうな顔をするいろは。
「あ、ごめん……やっぱりまゆおには会いたいって思うよね」
「会いたい……でも今は我慢だよ! ちゃんと会えるようになったら、会いに行く。そしてもう離れないって約束したから。だからアタシは頑張れるよ」
そう言って微笑むいろは。
「いろは……」
「だから早くアタシを自由にしてよね! キリヤ君たちにかかってんだから!」
「うん……頑張るよ」
「あはは。頼もしいねえ。あ、まゆおと言えば、この間ね――」
それからキリヤたちは他愛のない雑談で盛り上がり、久々に学生時代を思い出したのだった。
焼き魚と3つの小鉢、そして赤味噌のお味噌汁。これぞ、日本の朝食といった感じか――
そんなことを思いつつ、キリヤはその味に浸っていた。
「ねえ、キリヤ君。速水さんにも確認するんだよね」
優香はお茶をすすりながら、キリヤにそう問いかける。
「確認……? あ、ああ、深層心理の世界のことね」
「そう」
「ねえ、優香。それって本当に必要な情報なのかなって最近そう思うんだ。聞かないとダメ?」
「まあキリヤ君が気にしないのならいいんじゃない? 私はどっちでもいいことだから」
そう言って、お茶をゆっくりとすする優香。
「そう、だよね……」
そもそもこのことに疑問を抱いたのは僕自身だった。それなのに、なぜ僕はそんなことを言ったのか――と自分の心の変化に疑問を抱く。
保護施設に行ったとき、優香に言われた言葉を思い出すキリヤ。
『――もしかしたら、キリヤ君が特別なのかもしれませんね』
優香と暁が見られなかった世界を自分だけが見ている。やっぱり自分だけが異色の存在なのか――?
そんなことを思いつつ、少し俯くキリヤ。
そしてキリヤは小さく頷くと、
「やっぱり少し調べてみるよ。これが分かれば、『白雪姫症候群』が何なのかわかるかもしれないから」
そう言って顔を上げた。
「そっか」
優香は、そう言いながら笑っていた。
もしも自分だけが違う存在だったとしても、真実にたどり着けるのなら――そう思いながら、キリヤは朝食を終えたのだった。
そして朝食を終えたキリヤたちは、今日も角田の元でいろはの検査と研究に立ち会っていた。
「数値的にはずっとフラットな状況だね。能力もCクラスのまま」
「つまり事件さえ解決できれば、いつでもいろははここを出られるわけですね」
キリヤはモニターを見ながら、そう呟いた。
「そうだね」
角田はモニターを見ながら、優しい声でそう告げる。
僕たちがこの事件を解決しないと――
そう思いながら、表情が強張るキリヤ。
「キリヤ君、怖い顔してるよ」
優香はキリヤの顔を見ながら、そう言った。
「あ、ごめん」
「もう! 一人で悩まないの。私がいるでしょ? 君は一人じゃないよ」
そう言って微笑む優香。
「うん。ありがとう、優香」
「ははは。君たちはいいコンビみたいだね。櫻井が太鼓判を押すのもわかる気がするよ」
「そうですね。僕も優香と一緒でよかったって思います!」
キリヤが角田にそう伝えると、優香は顔を赤くしながら、
「そんな恥ずかしいこと、言わないでよ!!」
そう言ってぷんすかしていた。
でも、僕は本音を言っただけなんだけどな――
キリヤはそんなことを思いつつ、優香を見て微笑んでいた。
その後、優香は施設にあるデータを読むため、角田と資料室に向かった。
そしてキリヤはいろはと話すために、検査場に向かったのだった。
検査場に着くといろはは着替えを終えて、ちょうど出て行こうとしているところだった。
「お! キリヤ君じゃん! どうしたの?」
キリヤに気が付いたいろはは、いつものように明るい声でそう言った。
「ちょっと話さない? いろはに聞きたいことがあるんだ」
キリヤがそう告げると、いろははニコッと微笑み「OK!」と言ってからキリヤを連れてどこかへ向かう。そしてキリヤたちがついた場所は、天井が吹き抜けになっているカフェスペースだった。
都会に憧れるいろはのためにと、ここの施設の人たちがわざわざ改装してくれたんだそう。
「キリヤ君は何か飲む?」
キリヤがカフェチェアに腰を掛けると、いろはがそう尋ねる。
「あ、じゃあアイスコーヒーを……」
「わかった!」
そう言ってから、いろははちいさなキッチンスペースに消えていった。
それから数分後、いろははお盆にキリヤが頼んだアイスコーヒーといろは自身が飲むカフェオレをもって出てきた。
「どうぞ」
そう言って、いろははキリヤの前にアイスコーヒーを差し出す。もちろんガムシロップとコーヒーフレッシュも添えて。
「あ、ありがとう」
いろはがこんな気遣いのできる子だなんて知らなかった――とキリヤは手際よく飲み物を運んできたいろはを見て驚いていた。
あの礼儀正しいまゆおがいろはを気にいるのも納得かもしれないな――。
そう思いながら、アイスコーヒーにストローを差した。
「それで、アタシに聞きたいことってなあに?」
いろははカフェオレを飲みながら、キリヤに問いかける。
「えっとね。前にいろはが『ポイズン・アップル』のせいで眠っていたでしょ? その時にもう一人の自分と会ったのかなって思って……覚えていたらでいいんだけど!」
「ああ……あの時か。うん。覚えてるよ! なんか、白雪姫の絵本の世界にいて、それでもう一人のアタシがこっちの世界は楽しいよって言ってたかな」
その言葉を聞いて、少しだけほっとするキリヤ。
「じゃあ、いろはも覚えているんだ……」
「え? そういうキリヤ君も?」
「……うん。でも、逆に優香と先生は覚えていないって言うんだよ。どうしてなんだろう……」
疑問に思ったキリヤは、顎に手を当てて考える。
「んー。なんか難しいことはわかんないけど、センセーと優香ちゃんにあって、アタシとキリヤ君にはないものがあるんじゃないの?」
「優香たちにあって、僕らにないもの……」
いろはにそう言われて考えてみたものの、答えはすぐに出てこなかった。
「ま、そんなに思い詰めなくてもいいんじゃない? 気楽にいこうよ!」
そう言ってニコッと笑ういろは。
「そう、だね」
そんないろはにつられて、キリヤは笑顔になった。
答えは出なかったけれど、いろはの証言は得られたわけだし、収穫と言えば収穫だったかな。後は剛か――
「あ、そういえば。言い忘れていたんだけど、剛が目を覚ましたんだ」
キリヤがいろはにそう告げると、
「え!? それを早く言ってよね!! めっちゃうれしいことじゃんか!!」
そう言いながらいろはは驚いた表情をして立ち上がった。
「あはは。ごめん」
「それで、元気なの?」
「ああ、まあ身体に問題はないかな。すぐに元の生活に戻れるって」
「そっか……剛君が……よかったねえ」
ホッとした顔をするいろは。
「ちゃんと僕たちの気持ちが届いたってことだよね」
「そうだね。信じて待っててよかった」
「あの時、まゆおが僕たちに『信じて待とう』って言ってくれなかったら、もしかしたら剛は目を覚まさなかったかもしれないね」
「そう、だね」
キリヤがまゆおの名前を出すと、さみしそうな顔をするいろは。
「あ、ごめん……やっぱりまゆおには会いたいって思うよね」
「会いたい……でも今は我慢だよ! ちゃんと会えるようになったら、会いに行く。そしてもう離れないって約束したから。だからアタシは頑張れるよ」
そう言って微笑むいろは。
「いろは……」
「だから早くアタシを自由にしてよね! キリヤ君たちにかかってんだから!」
「うん……頑張るよ」
「あはは。頼もしいねえ。あ、まゆおと言えば、この間ね――」
それからキリヤたちは他愛のない雑談で盛り上がり、久々に学生時代を思い出したのだった。
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