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第1章 新人編
第3話ー⑦ 異変
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優香は廊下を歩きながら、先ほどの自分の態度に後悔していた。
なんであんな言い方をしてしまったんだろう……。そんなつもりなかったのに。今度こそ、本当にキリヤ君には愛想をつかされたかもしれないな――。
「ちゃんと謝らなくちゃね……はあ」
スライム少年の能力を受けてから、自分がおかしくなってしまったことをなんとなく察する優香。
優香は見えているものや聞こえているもの、そのすべてが自分を責めているように感じていた。それは信頼しているはずのキリヤに対しても――。
「本当に私はどうしちゃったんだろう……」
それから優香は部屋に入り、そのままベッドに寝転んだ。そして部屋の天井を見上げながら、どうしたらいいのかわからないこの状況に悶々と悩んだ。
「私、もうここにはいられなくなるのかな。今のままじゃ、きっと役に立てない……」
『ええ。あなたはいらない子よ。ここでもあなたのことなんて、誰も必要としていないわ。あなたなんて生まれてこなければよかったのよ……』
「え……お母さんの声?」
『あなたがいなければ、私は……』『あんたなんて、死ねばよかったのよ!』
優香はどこからか聞こえてくるその声に耳を塞ぐ。
「やめて……。やめてよ」
しばらくすると、その声は止んだ。
「もう嫌だ……」
それから優香は膝を抱えて、俯きながら座る。
すると、扉を叩く音が聞こえた。そして優香はその方をゆっくり見る。
もしかして、キリヤ君かもしれない――。
そんな期待をして返答をしようとすると、
「優香君、いるかい?」
その声から部屋に訪れたのはキリヤではなく、ゆめかだという事を知る。
(そっか、キリヤ君じゃなかったか……)
「白銀さん……。どうかしましたか」
優香は覇気のない声でゆめかに答えた。
「いや、さっき様子が変だったのが気になってね。入ってもいいかい?」
優香は扉の前まで行き、この扉を開けるべきかを悩んだ。
いつもの優香なら、迷うことなく簡単にこの扉を開けていたかもしれない。しかし今の優香はいつもと違い、人と関わることが怖かった。
(白銀さんが悪い人じゃないことはわかっているのに、会えばきっと不安になる。その言葉に悪意を感じてしまう。だから今は――)
「今日はもう休むので……ごめんなさい」
「そうか……」
もしかしたら白銀さんは、とても嫌な気持ちになったかもしれない。せっかくの私の好意をって思うかもしれない――。
そんな思いを抱き、後悔する優香。
(私、最低だ……)
そして再び聞こえる幻聴。
『いつまで引きこもっているのよ! あんたがいつまでもそうしていると、こっちが迷惑なの! なんでわからないかな』
『なんでこんな子を産んじゃったのかしら。あー、やだやだ』
そして優香はまた両耳を塞ぐ。
「……もう嫌。放って置いてよ……。私なんかいなければいいんでしょ!」
「優香君……?」
「もう終わったって思っていたのに、なんで。また……」
「優香君!!」
優香はゆめかの言葉で我に返る。
「あの、私……」
「きっと優香君も疲れたんだね。だから今夜はゆっくり休んでくれ。それでまた明日、必ず会おう。私は君を待っているからね」
ゆめかはそう告げて、歩いて行ってしまった。
そして扉の前から去っていく足音を聞いた優香はその場でしゃがみこむ。
「また私は、ひどいことを……」
やっぱり私はいらない子なんだ。人を裏切り、傷つける。最低な人間――
「こんな自分、嫌だよ……」
優香はその場で両手をつきながら、大粒の涙を流した。
なんであんな言い方をしてしまったんだろう……。そんなつもりなかったのに。今度こそ、本当にキリヤ君には愛想をつかされたかもしれないな――。
「ちゃんと謝らなくちゃね……はあ」
スライム少年の能力を受けてから、自分がおかしくなってしまったことをなんとなく察する優香。
優香は見えているものや聞こえているもの、そのすべてが自分を責めているように感じていた。それは信頼しているはずのキリヤに対しても――。
「本当に私はどうしちゃったんだろう……」
それから優香は部屋に入り、そのままベッドに寝転んだ。そして部屋の天井を見上げながら、どうしたらいいのかわからないこの状況に悶々と悩んだ。
「私、もうここにはいられなくなるのかな。今のままじゃ、きっと役に立てない……」
『ええ。あなたはいらない子よ。ここでもあなたのことなんて、誰も必要としていないわ。あなたなんて生まれてこなければよかったのよ……』
「え……お母さんの声?」
『あなたがいなければ、私は……』『あんたなんて、死ねばよかったのよ!』
優香はどこからか聞こえてくるその声に耳を塞ぐ。
「やめて……。やめてよ」
しばらくすると、その声は止んだ。
「もう嫌だ……」
それから優香は膝を抱えて、俯きながら座る。
すると、扉を叩く音が聞こえた。そして優香はその方をゆっくり見る。
もしかして、キリヤ君かもしれない――。
そんな期待をして返答をしようとすると、
「優香君、いるかい?」
その声から部屋に訪れたのはキリヤではなく、ゆめかだという事を知る。
(そっか、キリヤ君じゃなかったか……)
「白銀さん……。どうかしましたか」
優香は覇気のない声でゆめかに答えた。
「いや、さっき様子が変だったのが気になってね。入ってもいいかい?」
優香は扉の前まで行き、この扉を開けるべきかを悩んだ。
いつもの優香なら、迷うことなく簡単にこの扉を開けていたかもしれない。しかし今の優香はいつもと違い、人と関わることが怖かった。
(白銀さんが悪い人じゃないことはわかっているのに、会えばきっと不安になる。その言葉に悪意を感じてしまう。だから今は――)
「今日はもう休むので……ごめんなさい」
「そうか……」
もしかしたら白銀さんは、とても嫌な気持ちになったかもしれない。せっかくの私の好意をって思うかもしれない――。
そんな思いを抱き、後悔する優香。
(私、最低だ……)
そして再び聞こえる幻聴。
『いつまで引きこもっているのよ! あんたがいつまでもそうしていると、こっちが迷惑なの! なんでわからないかな』
『なんでこんな子を産んじゃったのかしら。あー、やだやだ』
そして優香はまた両耳を塞ぐ。
「……もう嫌。放って置いてよ……。私なんかいなければいいんでしょ!」
「優香君……?」
「もう終わったって思っていたのに、なんで。また……」
「優香君!!」
優香はゆめかの言葉で我に返る。
「あの、私……」
「きっと優香君も疲れたんだね。だから今夜はゆっくり休んでくれ。それでまた明日、必ず会おう。私は君を待っているからね」
ゆめかはそう告げて、歩いて行ってしまった。
そして扉の前から去っていく足音を聞いた優香はその場でしゃがみこむ。
「また私は、ひどいことを……」
やっぱり私はいらない子なんだ。人を裏切り、傷つける。最低な人間――
「こんな自分、嫌だよ……」
優香はその場で両手をつきながら、大粒の涙を流した。
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