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第四章 飛騨ダンジョン
虹まだらツノのダンジョンボス
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最下層の草原を一通り見てまわったところ、紫ツノには10体ほど遭遇した。数体は悠斗も倒すことになったのだが、手強かった。
また、赤ツノと普通の特殊個体も今日はじめて戦ったときに思った通り、すこし強くなっている。そのうえ、数が増えていて、まだ昨日の半分の時間も経過していないというのに、回収した魔物の数は昨日を上回っていた。
戦闘に問題は無いが、それだけ倒せば疲労も出てくる。
一通り草原を見てまわって、何が起きているのかもわかったことから、ダンジョンボスを倒して、ダンジョン外に戻ることとなった。
ダンジョンの来た道を引き返す、という案もあったが、ダンジョンボスがいる建物の周辺は、魔力がひときわ濃い。その状況でダンジョンボスがどうなっているかを確認したい、と錬司がいうので、ダンジョンボスに挑むことにしたのだ。もしかしたらダンジョンボスを倒すことで何か変わるかもしれない、とも錬司は話していた。
「よし、行くぞ」
ダンジョンボスのいる建物の扉を開く。
中に入って扉を閉めれば、特殊個体のダンジョンボスであるキングブラックブルが出現する。それは昨日一昨日と見たキングブラックブルと顔の形などは同じだった、が。ツノが赤とも紫とも違う、虹色でまだら模様のツノを有していた。
「コイツは骨が折れそうだ」
「凄い圧ですね」
その虹まだらツノを持つキングブラックブルは紫ツノのブラックブルよりもはるかに、強いと分かるほどの圧を発している。錬司が『骨が折れる』と言うぐらいなので、感じる気迫はその通りなのだろう。
ダンジョンボスは入ってきた悠斗たちに気づく。しかしすぐには突撃をして来なかった。様子見をしているようだが、時間の問題である。
「悠斗たちは周囲の警戒をしつつ援護を頼む。もしかしたらこいつ以外も出てくるかもしれない」
「了解です」
ダンジョンボスのいるこの建物内は、ボス以外が出てくることはなかったのだが、錬司はそう悠斗たちに言い放つ。
後から聞けば、強いダンジョンボスは、配下となる魔物が共に現れることが多いということだったようだ。それぐらいの強さを感じ取っていたため、同じことが起きると考えたらしい。
悠斗をはじめ茜たちも了承したところで、キングブラックブルが動く。それに向かって錬司も攻撃を仕掛けるべく、距離を詰めた。
そして、錬司の刃と、キングブラックブルのツノが激突した瞬間。周囲にブラックブルが現れた。
「!……錬司さんの予想通りだね」
「紫ツノ……」
現れたブラックブルは紫ツノと赤ツノ、普通の特殊個体と三種すべている。それらは、ダンジョンボスと戦っている錬司ではなく、悠斗たちに向かってきた。おそらく錬司たちの戦いに参戦すると、その余波でダメージを受けてしまうと考えたのだろう。戦闘が開始して早々、錬司とキングブラックブルは激しく戦っていた。
「俺が紫ツノをやるから2人はそれ以外をお願い!」
「はい!」
「わかりました!」
錬司の戦いの邪魔をしないように、また、悠斗たちも戦いに巻き込まれないよう注意して悠斗は紫ツノに向かい、攻撃を始める。
「ふっ!」
悠斗は魔剣術を使うため魔力を刀に込めて、切り掛かった。
一体だけなら先ほども戦ったのでいけるが、紫ツノは目の前に2体いる。同時に相手するのははじめてだ。
怒涛の攻撃をいなしながら、攻撃を加えるが、魔力を多く込めてはいるものの致命傷には至らない。防御力が高いのだ。紫ツノからの攻撃に対応はできていて、危うさは感じていないが、それでも気を抜いたら大きな怪我をしそうである。せめて1体でも先に倒せれば、と悠斗は戦いに集中していると、周囲への警戒が疎かになってしまう。
そんな悠斗は赤ツノが1体、背後から近づいていることに気づいていなかった。赤ツノがそのツノで悠斗を攻撃しようとする。そのタイミングで。
「危ないっ……スパークッ!」
朔夜が気づいてくれて、離れたところから魔法で攻撃をしてくれた。そこではじめて、赤ツノが迫っていたことに悠斗は気づく。危なかったと、悠斗は朔夜に向けて声をかけた。
「朔夜くん、ありがとう!助かった!」
電撃により、絶命はしないものの動きを止めた赤ツノを刀でさっくりと切る。赤ツノは紫ツノ程防御力はないので、紫ツノへの攻撃の合間に、一太刀で倒すことができた。
再び、紫ツノへと集中をする。今度は、なるべく周囲から気をそらさないように。難しいが、そうしないと己の身が危うい。
「はぁ!」
悠斗は目一杯踏み込んで、何度か傷つけたところを狙い、攻撃をした。傷により防御力が弱くなっているようで、なんとか1体を倒すことができたのだ。
その後、同じようにもう1体も倒す。
「茜!お願い!」
「……はぁぁ!」
紫ツノを倒したが、まだ赤ツノと普通の特殊個体が近くに迫っていたので悠斗は続けて攻撃をする。しかし、紫ツノよりも余裕があるので、茜と朔夜を見た。二人は問題なく、対応できてそうだ。
錬司の方を見ると、息もつかせぬというぐらいの戦いになっている。あそこに入るのは無理そうだし、下手に手助けしたら邪魔になりそうだった。
そうこうしていると再び紫ツノが迫る。どんどんと増えていっているようだ。
悠斗は自分のできることを、とひたすらダンジョンボス以外の魔物を、場合によっては茜たちと協力しつつ、倒し続けた。
また、赤ツノと普通の特殊個体も今日はじめて戦ったときに思った通り、すこし強くなっている。そのうえ、数が増えていて、まだ昨日の半分の時間も経過していないというのに、回収した魔物の数は昨日を上回っていた。
戦闘に問題は無いが、それだけ倒せば疲労も出てくる。
一通り草原を見てまわって、何が起きているのかもわかったことから、ダンジョンボスを倒して、ダンジョン外に戻ることとなった。
ダンジョンの来た道を引き返す、という案もあったが、ダンジョンボスがいる建物の周辺は、魔力がひときわ濃い。その状況でダンジョンボスがどうなっているかを確認したい、と錬司がいうので、ダンジョンボスに挑むことにしたのだ。もしかしたらダンジョンボスを倒すことで何か変わるかもしれない、とも錬司は話していた。
「よし、行くぞ」
ダンジョンボスのいる建物の扉を開く。
中に入って扉を閉めれば、特殊個体のダンジョンボスであるキングブラックブルが出現する。それは昨日一昨日と見たキングブラックブルと顔の形などは同じだった、が。ツノが赤とも紫とも違う、虹色でまだら模様のツノを有していた。
「コイツは骨が折れそうだ」
「凄い圧ですね」
その虹まだらツノを持つキングブラックブルは紫ツノのブラックブルよりもはるかに、強いと分かるほどの圧を発している。錬司が『骨が折れる』と言うぐらいなので、感じる気迫はその通りなのだろう。
ダンジョンボスは入ってきた悠斗たちに気づく。しかしすぐには突撃をして来なかった。様子見をしているようだが、時間の問題である。
「悠斗たちは周囲の警戒をしつつ援護を頼む。もしかしたらこいつ以外も出てくるかもしれない」
「了解です」
ダンジョンボスのいるこの建物内は、ボス以外が出てくることはなかったのだが、錬司はそう悠斗たちに言い放つ。
後から聞けば、強いダンジョンボスは、配下となる魔物が共に現れることが多いということだったようだ。それぐらいの強さを感じ取っていたため、同じことが起きると考えたらしい。
悠斗をはじめ茜たちも了承したところで、キングブラックブルが動く。それに向かって錬司も攻撃を仕掛けるべく、距離を詰めた。
そして、錬司の刃と、キングブラックブルのツノが激突した瞬間。周囲にブラックブルが現れた。
「!……錬司さんの予想通りだね」
「紫ツノ……」
現れたブラックブルは紫ツノと赤ツノ、普通の特殊個体と三種すべている。それらは、ダンジョンボスと戦っている錬司ではなく、悠斗たちに向かってきた。おそらく錬司たちの戦いに参戦すると、その余波でダメージを受けてしまうと考えたのだろう。戦闘が開始して早々、錬司とキングブラックブルは激しく戦っていた。
「俺が紫ツノをやるから2人はそれ以外をお願い!」
「はい!」
「わかりました!」
錬司の戦いの邪魔をしないように、また、悠斗たちも戦いに巻き込まれないよう注意して悠斗は紫ツノに向かい、攻撃を始める。
「ふっ!」
悠斗は魔剣術を使うため魔力を刀に込めて、切り掛かった。
一体だけなら先ほども戦ったのでいけるが、紫ツノは目の前に2体いる。同時に相手するのははじめてだ。
怒涛の攻撃をいなしながら、攻撃を加えるが、魔力を多く込めてはいるものの致命傷には至らない。防御力が高いのだ。紫ツノからの攻撃に対応はできていて、危うさは感じていないが、それでも気を抜いたら大きな怪我をしそうである。せめて1体でも先に倒せれば、と悠斗は戦いに集中していると、周囲への警戒が疎かになってしまう。
そんな悠斗は赤ツノが1体、背後から近づいていることに気づいていなかった。赤ツノがそのツノで悠斗を攻撃しようとする。そのタイミングで。
「危ないっ……スパークッ!」
朔夜が気づいてくれて、離れたところから魔法で攻撃をしてくれた。そこではじめて、赤ツノが迫っていたことに悠斗は気づく。危なかったと、悠斗は朔夜に向けて声をかけた。
「朔夜くん、ありがとう!助かった!」
電撃により、絶命はしないものの動きを止めた赤ツノを刀でさっくりと切る。赤ツノは紫ツノ程防御力はないので、紫ツノへの攻撃の合間に、一太刀で倒すことができた。
再び、紫ツノへと集中をする。今度は、なるべく周囲から気をそらさないように。難しいが、そうしないと己の身が危うい。
「はぁ!」
悠斗は目一杯踏み込んで、何度か傷つけたところを狙い、攻撃をした。傷により防御力が弱くなっているようで、なんとか1体を倒すことができたのだ。
その後、同じようにもう1体も倒す。
「茜!お願い!」
「……はぁぁ!」
紫ツノを倒したが、まだ赤ツノと普通の特殊個体が近くに迫っていたので悠斗は続けて攻撃をする。しかし、紫ツノよりも余裕があるので、茜と朔夜を見た。二人は問題なく、対応できてそうだ。
錬司の方を見ると、息もつかせぬというぐらいの戦いになっている。あそこに入るのは無理そうだし、下手に手助けしたら邪魔になりそうだった。
そうこうしていると再び紫ツノが迫る。どんどんと増えていっているようだ。
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