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第三章 奥美濃ダンジョン
おいしい肉料理
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金華山ダンジョンに慣れている茜と朔夜の案内により、すべての空洞を通るようにじっくりと進んだ。
そして、途中セーフエリアで休憩を挟みつつ、だいぶ魔物も回収できたということで、ダンジョンボスに挑むこととなった。
金華山ダンジョンではボスを倒すと、ダンジョン内に戻る道はなくなり、入り口への道が開く。そこを通って、ボスを倒した者がダンジョン外に出ると、再びボスが現れるという仕組みになっているのだ。どうやってその仕組みが動いているのか不明だが、ダンジョンの調査により判明していることで、今のところ変わっていない。
そのため、悠斗たちは3回ボスと戦うことができる。
ただ、トドメを刺したものがダンジョン外に出ないと、再度ボスは現れないので、3回目となると1人で戦うことになる。茜と朔夜はソロでダンジョンボスと戦ったことはない。それは倒しても、2匹分のボスを持って帰れるほどの収納容量がなかった、というのもあるし、安全をとって2人で倒すようにしていたというのもある。
ゆえにソロで倒したことのある悠斗が、3回目まで残ることとなった。
「悠斗さん、お疲れ様です!」
「流石早いですね」
さくっと、ダンジョンボスを1人で倒した悠斗がダンジョン外に出れば、茜と朔夜が出迎えてくれる。
その2人と管理棟へと向かい、買取窓口で今日の成果を差し出した。
ゆっくりとダンジョン探索をしたことから、窓口が混む時間帯に被っている。査定完了まで、待ち時間が結構ありそうだ。
窓口近くの椅子は埋まっていたので、どこか待てるところ、と管理棟内にあるカフェへ移動した。査定完了して呼び出された時に、その場にいなかったら、メールを送ってもらえるのだ。そのため窓口から離れても問題はない。
入ったカフェで案内された席につき、各々注文をする。悠斗はアイスコーヒー、茜はアイスティー、朔夜はホットコーヒーを頼んだ。
それが運ばれてきたところで、悠斗は無限収納から今日の目的を取り出した。
奥美濃ダンジョンで手に入れた肉のおすそわけだ。
「忘れないうちに、マッスルチキンとスイートンを渡しておくね」
「わ!ありがとうございます!」
「こんなにたくさん、いいんですか……」
「結構な数倒したから気にせずもらって」
渡した肉の入った袋はずっしりと重い。おすそわけにしては確かに悠斗も多いとは思いつつも、前に送ってもらったオムライスのサイズを見るに2人は十分食べれる量だと思っている。量が多いからちょっと、という感じでもなさそうなので、悠斗はおすそわけの多さに遠慮しそうな2人が気にしないよう自分の分もたくさんあることを伝えた。
それが伝わったのか、朔夜たちは肉の入った袋を受け取って、収納にしまう。嬉しそうな表情をしていて、悠斗はつられて笑った。
そこから、悠斗はコーヒーを飲みながら、2人が言っていた肉の美味しい食べ方について話す。
「おすすめしてもらったトンカツとかマッスルチキン南蛮をしようと思ったんだけど、家で揚げ物ってなかなか難しいんだよね……」
料理はできないわけではないが、得意でもないレベルの悠斗にとって、揚げ物は難易度が高い。そのため家で揚げ物は滅多にしなかった。食べたい気持ちはあるが、うまくできる気がしない。他に自炊レベルが低い悠斗でもできそうなおいしい料理を知っていたらなと思い、話題に出したのだ。
「それなら山賊焼きとか、スイートンならトンテキとかもおいしいですよ」
「山賊焼……?」
「地域によって違うらしいですけど、僕はこのレシピの山賊焼が好きです」
朔夜がスマホを操作して、レシピを見せてくれる。
どうやら、マッスルチキンをにんにく風味の醤油たれで焼いたものらしい。確かにうまそうで、たれさえ作ればあとは焼くだけだ。自分でもできそうだ、と悠斗は思う。
するとその時、茜が思いついたという顔をした。
「あ、それか私たちの作ったもので抵抗無ければ、唐揚げとか作りましょうか?」
「いや、流石にそれは申し訳ないよ」
「全然!気にしないでください」
「元々もらったお肉は唐揚げとかトンカツとか揚げようと思ってたので、一緒に作っちゃえばいいだけです」
茜が言ってくれたことだが、それに朔夜も賛同して、ぜひ、と悠斗に勧めてくる。
自分が難しくて大変だと思っているのを、2人にやってもらうのは申し訳ないと思う。
しかしながら、2人はすっかりとやる気で、悠斗が遠慮して断っても押し切ってきそうな勢いだ。それを断るのもどうかな、とも思って、悠斗は申し出をありがたく受け取ることにした。
「……お言葉に甘えて、お願いしても良いかな」
「はい!悠斗さん、明日も金華山ダンジョン来れますか?」
「大丈夫だよ」
話がまとまったので、悠斗の分の肉を渡す。家の冷蔵庫にも入れたのだが、入りきらなかった分だ。持っておいて良かったと思う。
「それじゃあ、明日作って持ってきます!」
「楽しみにしてる」
「おいしいの、作りますね!」
そう約束をすると共に、明日も金華山ダンジョンに来るのであれば、と一緒にダンジョンへ入るという話をする。そして、話がまとまったので、別の話題へと移行したのだ。
そして、途中セーフエリアで休憩を挟みつつ、だいぶ魔物も回収できたということで、ダンジョンボスに挑むこととなった。
金華山ダンジョンではボスを倒すと、ダンジョン内に戻る道はなくなり、入り口への道が開く。そこを通って、ボスを倒した者がダンジョン外に出ると、再びボスが現れるという仕組みになっているのだ。どうやってその仕組みが動いているのか不明だが、ダンジョンの調査により判明していることで、今のところ変わっていない。
そのため、悠斗たちは3回ボスと戦うことができる。
ただ、トドメを刺したものがダンジョン外に出ないと、再度ボスは現れないので、3回目となると1人で戦うことになる。茜と朔夜はソロでダンジョンボスと戦ったことはない。それは倒しても、2匹分のボスを持って帰れるほどの収納容量がなかった、というのもあるし、安全をとって2人で倒すようにしていたというのもある。
ゆえにソロで倒したことのある悠斗が、3回目まで残ることとなった。
「悠斗さん、お疲れ様です!」
「流石早いですね」
さくっと、ダンジョンボスを1人で倒した悠斗がダンジョン外に出れば、茜と朔夜が出迎えてくれる。
その2人と管理棟へと向かい、買取窓口で今日の成果を差し出した。
ゆっくりとダンジョン探索をしたことから、窓口が混む時間帯に被っている。査定完了まで、待ち時間が結構ありそうだ。
窓口近くの椅子は埋まっていたので、どこか待てるところ、と管理棟内にあるカフェへ移動した。査定完了して呼び出された時に、その場にいなかったら、メールを送ってもらえるのだ。そのため窓口から離れても問題はない。
入ったカフェで案内された席につき、各々注文をする。悠斗はアイスコーヒー、茜はアイスティー、朔夜はホットコーヒーを頼んだ。
それが運ばれてきたところで、悠斗は無限収納から今日の目的を取り出した。
奥美濃ダンジョンで手に入れた肉のおすそわけだ。
「忘れないうちに、マッスルチキンとスイートンを渡しておくね」
「わ!ありがとうございます!」
「こんなにたくさん、いいんですか……」
「結構な数倒したから気にせずもらって」
渡した肉の入った袋はずっしりと重い。おすそわけにしては確かに悠斗も多いとは思いつつも、前に送ってもらったオムライスのサイズを見るに2人は十分食べれる量だと思っている。量が多いからちょっと、という感じでもなさそうなので、悠斗はおすそわけの多さに遠慮しそうな2人が気にしないよう自分の分もたくさんあることを伝えた。
それが伝わったのか、朔夜たちは肉の入った袋を受け取って、収納にしまう。嬉しそうな表情をしていて、悠斗はつられて笑った。
そこから、悠斗はコーヒーを飲みながら、2人が言っていた肉の美味しい食べ方について話す。
「おすすめしてもらったトンカツとかマッスルチキン南蛮をしようと思ったんだけど、家で揚げ物ってなかなか難しいんだよね……」
料理はできないわけではないが、得意でもないレベルの悠斗にとって、揚げ物は難易度が高い。そのため家で揚げ物は滅多にしなかった。食べたい気持ちはあるが、うまくできる気がしない。他に自炊レベルが低い悠斗でもできそうなおいしい料理を知っていたらなと思い、話題に出したのだ。
「それなら山賊焼きとか、スイートンならトンテキとかもおいしいですよ」
「山賊焼……?」
「地域によって違うらしいですけど、僕はこのレシピの山賊焼が好きです」
朔夜がスマホを操作して、レシピを見せてくれる。
どうやら、マッスルチキンをにんにく風味の醤油たれで焼いたものらしい。確かにうまそうで、たれさえ作ればあとは焼くだけだ。自分でもできそうだ、と悠斗は思う。
するとその時、茜が思いついたという顔をした。
「あ、それか私たちの作ったもので抵抗無ければ、唐揚げとか作りましょうか?」
「いや、流石にそれは申し訳ないよ」
「全然!気にしないでください」
「元々もらったお肉は唐揚げとかトンカツとか揚げようと思ってたので、一緒に作っちゃえばいいだけです」
茜が言ってくれたことだが、それに朔夜も賛同して、ぜひ、と悠斗に勧めてくる。
自分が難しくて大変だと思っているのを、2人にやってもらうのは申し訳ないと思う。
しかしながら、2人はすっかりとやる気で、悠斗が遠慮して断っても押し切ってきそうな勢いだ。それを断るのもどうかな、とも思って、悠斗は申し出をありがたく受け取ることにした。
「……お言葉に甘えて、お願いしても良いかな」
「はい!悠斗さん、明日も金華山ダンジョン来れますか?」
「大丈夫だよ」
話がまとまったので、悠斗の分の肉を渡す。家の冷蔵庫にも入れたのだが、入りきらなかった分だ。持っておいて良かったと思う。
「それじゃあ、明日作って持ってきます!」
「楽しみにしてる」
「おいしいの、作りますね!」
そう約束をすると共に、明日も金華山ダンジョンに来るのであれば、と一緒にダンジョンへ入るという話をする。そして、話がまとまったので、別の話題へと移行したのだ。
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