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目を開けるとそこは何度目かの見慣れたスタート地点だった。
クロヴィスはギュッと拳を握り、軽くジャンプすると。
——走った。
途中、アンスリウムを見つけたがそのままスルー。
走って走って、息を弾ませ到着した場所は初めてプラムに会った場所。
「よかった…。やっぱりいた。」
クロヴィスが見つめる先には1人の少女。
ぼーっと空を眺めるプラムがいた。
プラムはその声にビクリとし振り向く。
「あ、あなた!何をしてらっしゃるの?!ここは平民が入って良い場所では、——っ!?」
プラムは叫ぼうとし、だが急展開に思わず言葉を止める。
自分は社交界で噂になっている我が儘で傲慢なまさに貴族らしい宰相の娘だ。
いくら、平民といえど貴族の娘に抱きついたりなどしたらどうなるかわかっているだろう。
「こんなことをすれば、最悪死刑ですわよ!いい加減に…って大丈夫ですの?」
プラムは肩に感じる濡れる感覚で目の前の男が泣いていることに気づき心配そうに尋ねる。
「…ごめん、守れなかった。本当にごめん。」
——あぁ。やっぱりプラムだ。
いくら演じようと人の本質は変わらない。
こんなことを見られればプラムだって咎められるだろうに。
無理やり引きはがそうとはしない。
「あ、あの。何をおっしゃられているのか全くわからないのですが。」
「あぁ、ごめんね。だけど…今は今だけはちょっとこのままでいさせてくれないかな。」
そう言い、クロヴィスはプラム存在を確かめるようにギュッと抱きつくのだった。
「なぁ、プラム。学校やめない?」
現在、クロヴィスとプラムはこのまま人に見られるのはまずいため入学式も自己紹介もサボり。いや、プラムの場合はサボらされ現在貴族だけが使えるお茶会の一室にいた。
「はぁ?!貴方何をおっしゃってますの?!ここは、学ぶためだけでなく人脈を広げるためにも私は来ているのですよ!後、貴方平民なのだから敬語を使いなさいっ。このままでは他の貴族の方に不敬罪に問われますわよ!」
自分はいいが他の貴族に言ったら死ぬぞと暗に告げるプラムにクロヴィスはやっぱりクロヴィスは優しいなぁとポツリと呟く。
「まぁ、そーだよねー。じゃあ、もうどんなことがあってもあの王子サマと関わるのはやめてくれないか?」
私は婚約者ですわよ!と告げようとしたプラムは。だが、クロヴィスの先ほどまでとは異なる真面目な表情に。
「…そういうわけにはいきませんわ。私は貴族。お父様の期待に応えて殿下に振り向いてもらわなければなりませんもの。」
そう言い、ニコリと貴族らしい笑みを浮かべる。
「まぁ、やっぱりそう言うよね。うん、わかった。なら、僕一生懸命邪魔するよ。」
クロヴィスがいい笑顔でそう宣言すると。
「それってつまりどういうことですの?」
「後をつけて王子と話しそうになったら邪魔する。」
「えぇ?!」
プラムは叫んだ。
「わかってますの?!私貴族ですのよ!私の後をずっと付け回るとかいくら学校といえど不敬罪ですわよ!」
「うん、知ってるよ。」
分かってる。だが、それと同時に。
「ーーーーーっ!あぁ、もう。わかりましたわ!貴方今日から私の従者になりなさいっ!精々こき使ってやりますわ!」
君が今日会ったばかりの僕を見捨てられない、度が過ぎたお人好しだってことも僕は知ってるんだ。
「でも、プラム。普通学園では貴族1人につき従者は1人って決まりなかったっけ?元からついてた従者はいいの?」
首を傾げ、尋ねるクロヴィスに。
「いないんですよ…。」
プラムはボソリと呟く。
「え?今なんて?」
「だぁーかぁーら!いないのです!何故か従者候補が私の顔を見るなり逃げるんですわ!」
だから、前のプラムも1人だったのか。
そう、クロヴィスは1人納得する。
「な、なんですのよ!憐れみの目で見ないでいただけます?!」
「いや、うん。僕が従者になってあげるよ。」
クロヴィスはそう言いながらプラムの頭を撫でる。
「その前に!貴方せめて人前では敬語を使っていただきますからね!」
プラムはその手を叩き落としながら叫ぶ。
だが、その顔には笑みが浮かんでいた。
クロヴィスはギュッと拳を握り、軽くジャンプすると。
——走った。
途中、アンスリウムを見つけたがそのままスルー。
走って走って、息を弾ませ到着した場所は初めてプラムに会った場所。
「よかった…。やっぱりいた。」
クロヴィスが見つめる先には1人の少女。
ぼーっと空を眺めるプラムがいた。
プラムはその声にビクリとし振り向く。
「あ、あなた!何をしてらっしゃるの?!ここは平民が入って良い場所では、——っ!?」
プラムは叫ぼうとし、だが急展開に思わず言葉を止める。
自分は社交界で噂になっている我が儘で傲慢なまさに貴族らしい宰相の娘だ。
いくら、平民といえど貴族の娘に抱きついたりなどしたらどうなるかわかっているだろう。
「こんなことをすれば、最悪死刑ですわよ!いい加減に…って大丈夫ですの?」
プラムは肩に感じる濡れる感覚で目の前の男が泣いていることに気づき心配そうに尋ねる。
「…ごめん、守れなかった。本当にごめん。」
——あぁ。やっぱりプラムだ。
いくら演じようと人の本質は変わらない。
こんなことを見られればプラムだって咎められるだろうに。
無理やり引きはがそうとはしない。
「あ、あの。何をおっしゃられているのか全くわからないのですが。」
「あぁ、ごめんね。だけど…今は今だけはちょっとこのままでいさせてくれないかな。」
そう言い、クロヴィスはプラム存在を確かめるようにギュッと抱きつくのだった。
「なぁ、プラム。学校やめない?」
現在、クロヴィスとプラムはこのまま人に見られるのはまずいため入学式も自己紹介もサボり。いや、プラムの場合はサボらされ現在貴族だけが使えるお茶会の一室にいた。
「はぁ?!貴方何をおっしゃってますの?!ここは、学ぶためだけでなく人脈を広げるためにも私は来ているのですよ!後、貴方平民なのだから敬語を使いなさいっ。このままでは他の貴族の方に不敬罪に問われますわよ!」
自分はいいが他の貴族に言ったら死ぬぞと暗に告げるプラムにクロヴィスはやっぱりクロヴィスは優しいなぁとポツリと呟く。
「まぁ、そーだよねー。じゃあ、もうどんなことがあってもあの王子サマと関わるのはやめてくれないか?」
私は婚約者ですわよ!と告げようとしたプラムは。だが、クロヴィスの先ほどまでとは異なる真面目な表情に。
「…そういうわけにはいきませんわ。私は貴族。お父様の期待に応えて殿下に振り向いてもらわなければなりませんもの。」
そう言い、ニコリと貴族らしい笑みを浮かべる。
「まぁ、やっぱりそう言うよね。うん、わかった。なら、僕一生懸命邪魔するよ。」
クロヴィスがいい笑顔でそう宣言すると。
「それってつまりどういうことですの?」
「後をつけて王子と話しそうになったら邪魔する。」
「えぇ?!」
プラムは叫んだ。
「わかってますの?!私貴族ですのよ!私の後をずっと付け回るとかいくら学校といえど不敬罪ですわよ!」
「うん、知ってるよ。」
分かってる。だが、それと同時に。
「ーーーーーっ!あぁ、もう。わかりましたわ!貴方今日から私の従者になりなさいっ!精々こき使ってやりますわ!」
君が今日会ったばかりの僕を見捨てられない、度が過ぎたお人好しだってことも僕は知ってるんだ。
「でも、プラム。普通学園では貴族1人につき従者は1人って決まりなかったっけ?元からついてた従者はいいの?」
首を傾げ、尋ねるクロヴィスに。
「いないんですよ…。」
プラムはボソリと呟く。
「え?今なんて?」
「だぁーかぁーら!いないのです!何故か従者候補が私の顔を見るなり逃げるんですわ!」
だから、前のプラムも1人だったのか。
そう、クロヴィスは1人納得する。
「な、なんですのよ!憐れみの目で見ないでいただけます?!」
「いや、うん。僕が従者になってあげるよ。」
クロヴィスはそう言いながらプラムの頭を撫でる。
「その前に!貴方せめて人前では敬語を使っていただきますからね!」
プラムはその手を叩き落としながら叫ぶ。
だが、その顔には笑みが浮かんでいた。
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