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断罪2
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「おじいちゃま、お久しぶりですね」
「ん?アリアンナか?」
まだ焦点が合っていないのか、目を擦って再びアリーを見つめる。
「おお、アリアンナ。随分と大きくなったのう。前見た時はこんなだったのに」
そう言って指を5センチくらい広げる。
「もう、そんなわけないでしょ。やっぱり変なおじいちゃまね」
「アリアンナが全然呼んでくれんから、ボケていく一方なんじゃよ」
アリー本人と俺たち三人以外、会場中がポカン状態になっていた。
「神よ。相変わらず軽いですね、ノリが」
俺が声を掛けると、目を細めて俺を見た神様。
「おお、おまえゲイブリエルじゃな。どうだ?アリアンナを娶る気になったか?」
「なりましたよ。国を背負う覚悟が出来ました」
「そうか、そうか。それは僥倖。この国もまだまだ安泰じゃな。ワシもいるし」
「そうは言ってもじいさんが何をしてくれているのか全くわからないんだが?」
「ぬっ。ワシを軽々しくじいさん呼ばわりするのはエルマンノ坊主じゃな」
「正解。まだもうろくはしてなかったか。腐っても神様だな」
「もう、神様になんて事言うの。神様は腐らない。で、具体的には何をしてくれたんですか?」
「その上げて落とす言い方。デュランじゃな」
「正解です。流石神様ですね」
「本当にお前らはまだまだクソ坊主じゃな。ワシに優しいのはアリアンナだけじゃ」
「ふふ、おじいちゃま、頑張って」
「おじいちゃま、まだまだ頑張るぞぃ。アリアンナの子供を見るまでは」
「いやいや、俺たちより長生きするだろ。そもそも寿命ないだろ」
「いいじゃろうが、孫を持った気分を味わっとるんじゃから」
「ははは、やっぱりこの神様おかしいよね。会話が不毛過ぎる」
デュランが笑ったところで、会場の静けさに気付いた。
「あの、デュラン様。この方が神様ですの?」
「そうだよ」
フランカ嬢が恐る恐る、デュランに疑問をぶつける。
「やっぱりアリーは『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主なのですね。でも何故呼んだことがないなんて言ったのでしょう?」
「ああ、それはな。見たらわかるだろうが、全然神様っぽくないだろ。小さい頃呼んだアリーにとっては神というよりおじいちゃまなんだよ。本人もそう言うもんだから、そう覚えてしまったんだ」
「なるほど」
会場が妙に納得した空気を出した。
「で?ワシが呼ばれた理由は?まさかお主ら、揃って結婚するのか?」
「なんでそう思ったんです?」
俺の質問に逆に不思議そうにされてしまった。
「何でっておまえ、クソ坊主たちの運命がそこの娘らと繋がっているじゃないか。運命の相手を見つけたんじゃろうて」
「神よ、俺たちにはそれ見えませんから」
「そうか。ワシ神じゃった」
「おじいちゃまったら」
ふふふと笑うアリーの頭を神が優しく撫でた。
「アリアンナもやっと真っ直ぐに運命がゲイブリエルと繋がったのう。良かったのう。きっとずっと幸せになれるぞい」
「ホントに!?」
「ああ、本当じゃ。あんなにグルグルだったのに、頑張ったのう」
「ありがとう、おじいちゃまが常に傍にいてくれるって思ってたから頑張れたのよ」
「そうか、そうか。ほんにアリアンナは可愛いのう」
まるで本当の孫のように可愛がる神。本当に神っぽくない。
「呼んだ理由は違うのよ。私が『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主か怪しいって言われてしまって。ゲイブリエル殿下がね、おじいちゃまを呼んでって」
「なんじゃと!?誰じゃ?ワシの可愛いアリアンナを貶めるとは、グーパンチしてくれる」
「いやいや、じいさん。じいさんのヨレヨレパンチじゃ当たらないだろう……っていてっ!」
「ふっふっふ、神を舐めるなよ」
「くそう、じじいめ」
ほのぼの過ぎる。これではいけないと顔を引き締める。とりあえず神はエルマンノに任せておこう。
「それで?アリアンナはちゃんと神を呼ぶことが出来たぞ」
ダヴィデに向かって笑顔で言ってやる。
「お、俺の婚約者なんだから、それくらい出来て当然だ」
「あ、言うのを忘れていたが、アリアンナはもうおまえの婚約者ではないぞ」
「は?なんだって?」
「アリアンナはおまえの婚約者ではない。私の婚約者だ」
「う、嘘だ!そうやって俺を騙そうとしているんだろう。兄上だからって絶対に騙されないぞ。『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主なんだから王となる俺と婚約しているに決まってるだろう」
つい先ほどまで、アリーを偽物呼ばわりしていたのによく言うな。呆れてしまう。
「嘘だと思うなら証人を呼ぼうか。デュラン、呼んできてくれ」
「はい、かしこまりました」
デュランは会場を出て、すぐにまた戻ってきた。一緒に来たのは宰相殿だ。
「すまないな、やはり私の言葉だけでは信じられないらしい」
「こうなる事はわかっておりましたとも。ですから待機させて頂いたのですしね」
「はは、そうだな」
宰相殿がダヴィデの前に歩み寄る。そして書類を彼に見せるように広げてみせた。
「ダヴィデ・アッガルディ。『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主であるアリアンナ・ヴォルテーラ嬢に対して、媚薬を含ませた菓子を贈り我が物にせんとした罪。また、来年度もDクラス決定に伴い、王位継承権をはく奪します」
「ん?アリアンナか?」
まだ焦点が合っていないのか、目を擦って再びアリーを見つめる。
「おお、アリアンナ。随分と大きくなったのう。前見た時はこんなだったのに」
そう言って指を5センチくらい広げる。
「もう、そんなわけないでしょ。やっぱり変なおじいちゃまね」
「アリアンナが全然呼んでくれんから、ボケていく一方なんじゃよ」
アリー本人と俺たち三人以外、会場中がポカン状態になっていた。
「神よ。相変わらず軽いですね、ノリが」
俺が声を掛けると、目を細めて俺を見た神様。
「おお、おまえゲイブリエルじゃな。どうだ?アリアンナを娶る気になったか?」
「なりましたよ。国を背負う覚悟が出来ました」
「そうか、そうか。それは僥倖。この国もまだまだ安泰じゃな。ワシもいるし」
「そうは言ってもじいさんが何をしてくれているのか全くわからないんだが?」
「ぬっ。ワシを軽々しくじいさん呼ばわりするのはエルマンノ坊主じゃな」
「正解。まだもうろくはしてなかったか。腐っても神様だな」
「もう、神様になんて事言うの。神様は腐らない。で、具体的には何をしてくれたんですか?」
「その上げて落とす言い方。デュランじゃな」
「正解です。流石神様ですね」
「本当にお前らはまだまだクソ坊主じゃな。ワシに優しいのはアリアンナだけじゃ」
「ふふ、おじいちゃま、頑張って」
「おじいちゃま、まだまだ頑張るぞぃ。アリアンナの子供を見るまでは」
「いやいや、俺たちより長生きするだろ。そもそも寿命ないだろ」
「いいじゃろうが、孫を持った気分を味わっとるんじゃから」
「ははは、やっぱりこの神様おかしいよね。会話が不毛過ぎる」
デュランが笑ったところで、会場の静けさに気付いた。
「あの、デュラン様。この方が神様ですの?」
「そうだよ」
フランカ嬢が恐る恐る、デュランに疑問をぶつける。
「やっぱりアリーは『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主なのですね。でも何故呼んだことがないなんて言ったのでしょう?」
「ああ、それはな。見たらわかるだろうが、全然神様っぽくないだろ。小さい頃呼んだアリーにとっては神というよりおじいちゃまなんだよ。本人もそう言うもんだから、そう覚えてしまったんだ」
「なるほど」
会場が妙に納得した空気を出した。
「で?ワシが呼ばれた理由は?まさかお主ら、揃って結婚するのか?」
「なんでそう思ったんです?」
俺の質問に逆に不思議そうにされてしまった。
「何でっておまえ、クソ坊主たちの運命がそこの娘らと繋がっているじゃないか。運命の相手を見つけたんじゃろうて」
「神よ、俺たちにはそれ見えませんから」
「そうか。ワシ神じゃった」
「おじいちゃまったら」
ふふふと笑うアリーの頭を神が優しく撫でた。
「アリアンナもやっと真っ直ぐに運命がゲイブリエルと繋がったのう。良かったのう。きっとずっと幸せになれるぞい」
「ホントに!?」
「ああ、本当じゃ。あんなにグルグルだったのに、頑張ったのう」
「ありがとう、おじいちゃまが常に傍にいてくれるって思ってたから頑張れたのよ」
「そうか、そうか。ほんにアリアンナは可愛いのう」
まるで本当の孫のように可愛がる神。本当に神っぽくない。
「呼んだ理由は違うのよ。私が『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主か怪しいって言われてしまって。ゲイブリエル殿下がね、おじいちゃまを呼んでって」
「なんじゃと!?誰じゃ?ワシの可愛いアリアンナを貶めるとは、グーパンチしてくれる」
「いやいや、じいさん。じいさんのヨレヨレパンチじゃ当たらないだろう……っていてっ!」
「ふっふっふ、神を舐めるなよ」
「くそう、じじいめ」
ほのぼの過ぎる。これではいけないと顔を引き締める。とりあえず神はエルマンノに任せておこう。
「それで?アリアンナはちゃんと神を呼ぶことが出来たぞ」
ダヴィデに向かって笑顔で言ってやる。
「お、俺の婚約者なんだから、それくらい出来て当然だ」
「あ、言うのを忘れていたが、アリアンナはもうおまえの婚約者ではないぞ」
「は?なんだって?」
「アリアンナはおまえの婚約者ではない。私の婚約者だ」
「う、嘘だ!そうやって俺を騙そうとしているんだろう。兄上だからって絶対に騙されないぞ。『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主なんだから王となる俺と婚約しているに決まってるだろう」
つい先ほどまで、アリーを偽物呼ばわりしていたのによく言うな。呆れてしまう。
「嘘だと思うなら証人を呼ぼうか。デュラン、呼んできてくれ」
「はい、かしこまりました」
デュランは会場を出て、すぐにまた戻ってきた。一緒に来たのは宰相殿だ。
「すまないな、やはり私の言葉だけでは信じられないらしい」
「こうなる事はわかっておりましたとも。ですから待機させて頂いたのですしね」
「はは、そうだな」
宰相殿がダヴィデの前に歩み寄る。そして書類を彼に見せるように広げてみせた。
「ダヴィデ・アッガルディ。『神を呼ぶ聖なる声』の持ち主であるアリアンナ・ヴォルテーラ嬢に対して、媚薬を含ませた菓子を贈り我が物にせんとした罪。また、来年度もDクラス決定に伴い、王位継承権をはく奪します」
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