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ダヴィデ・アッガルディ2
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どの女を抱いてみても満足できない。
Dクラスの女の半分はもう俺に抱かれている。どいつもこいつも喜んで俺に全てを差し出した。そうじゃない女は、俺に近寄る事もしない。まあ、こちらも興味はないから別にいいが。
俺に寄って来る女たちは皆、良くも悪くも野心に溢れている。正妃は無理でも側妃、最悪愛妾でもいいから上にのし上りたいと思っているのが透けて見える。
このクラスにいる者は皆、男爵がほとんどで少し子爵がいるだけだ。
子爵の者達は基本、俺に寄っては来ない。このクラスにいることが不本意であるらしく、真面目に勉強をしている。年に2度ある試験で結果を出せば、次の学年ではクラスが上がるかららしい。
俺のように、黙っていても次の王となるなんていう特典を持っていない奴らは大変そうだ。
片や男爵位の奴らはとにかく俺にすり寄ってくる。俺に気に入られれば城での仕事に就ける、もっと言えば俺の側近にもなれるかもしれないと思っているらしい。
実際、今俺に常について世話を焼くのが二人いるが、一人は男爵位であるにも関わらず、父親が騎士団の副団長の一人であるルッカーニ男爵の息子、ゼラフィーノ・ルッカーニ。
俺の護衛騎士よろしく常に俺の近辺を警護している。だが、残念ながら剣の実力は父親に似なかったらしい。
そしてもう一人はファビオ・ペッキア。父親は……なんだったか忘れた。ファビオはDクラスの中では一番頭がいい。俺が王になった暁には、サポートさせてくれと幾度となく頼んでくる。
二人とも勝手にやっていることなので、俺には関係ないし側近はすでにエルマンノとデュランがいるからいらない。まあ、今は便利だから何も言わないが。
どいつもこいつも、そもそも子爵男爵の爵位で何か要職に就きたいのであれば、相当努力をしなきゃ無理だろう。女たちにしてもそうだ。今は楽しませてもらっているが、側妃どころか愛妾にも考えていない。ただ、一人だけ気に入っている女はいる。
小さくて華奢で、オレンジ色の髪はフワフワしている。ヘーゼルカラーの瞳は常にキラキラしていて、なんというか小動物のようなのだ。ファブリツィア・ペッキア。ファビオ・ペッキアとは双子の兄妹だ。常にニコニコして俺を褒めてくれる彼女と一緒にいると気分がいい。
抱き心地はイマイチだが、愛妾にするくらいはアリかなと思わないでもない。それなのにだ。今はファブリツィアを抱いても満足できない。余計に中途半端な欲求が湧いてイライラする。
それがどうしてなのか、理由は自分でも理解している。
あのダンスの授業で、婚約者であるアリアンナの腰をつかんでからだ。あれからあの女を抱きたいという思いが俺の腹の中で渦巻いているからだ。細い腰もそうだが、弾力のある柔肌も首から肩にかけてのラインも良かった。それに細い腰には不似合いな胸の谷間。
見目が美しかったのは元から知っていた。だが、正直あの色合いが好きではなかった。冷たそうに見えるというか、無機質に見えていたのだ。だが今はそれがまたそそられる。
あの腰を思い切り掴んであの素晴らしい身体を思い通りにしたい。あの色のない身体に色を与えてみたい。そんな欲求ばかりが膨らむ。
婚約者なのだから思うまま自分のものにしてしまえばいいと思ってはいても、クラスが離れているせいで思うように動けない。ファビオを使って呼び出してみたが、拒絶を表すように先生を介して断られる。流石に俺自身が動くというのは納得がいかないので、他の女たちで気を紛らわせているが、どうにか出来ないものだろうか。
そう考え続けていたある日、ファビオが贈り物をするのはどうだろうかと提案してきた。
人を従えさせるには、飴と鞭の使い方が重要らしい。今までは興味がなかったから、ずっと無視していたからこそ、ここで彼女がグッとくるような贈り物をすると効果があるとファビオに言われ、それを実行することにした。
だが、何を贈ればいいのかなんて全くわからない。Dクラスの女たちに贈り物をされて嬉しいものは何かと聞いたら、目をキラキラさせて宝石だのドレスだのと言ってきた。だが、公爵令嬢である彼女にそんなものをやった所で感動なんてするはずがないと思う。
何を贈ればいいのか皆目見当もつかない俺は、兄上に聞いてみる事にした。
兄上は週に一度、父上の仕事の手伝いの為に城に戻る。その時に俺も城に帰るようにした。
「兄上、俺です。少し話をしたいのですがよろしいでしょうか?」
執務室の扉をノックする。するとすぐに返事が返ってきた。
「ダヴィデか?いいぞ、入れ」
同時に中から扉が開く。エルマンノが開けたようだ。兄上の横にはデュランもいた。
「仕事中にすみません、どうしても聞きたいことがあって……」
殊勝な態度で聞けば、兄上が笑顔になった。
「どうした?ここに来るなんて珍しいな」
「あの、女性に贈り物をしたいのですが、何を贈れば喜ばれますか?」
Dクラスの女の半分はもう俺に抱かれている。どいつもこいつも喜んで俺に全てを差し出した。そうじゃない女は、俺に近寄る事もしない。まあ、こちらも興味はないから別にいいが。
俺に寄って来る女たちは皆、良くも悪くも野心に溢れている。正妃は無理でも側妃、最悪愛妾でもいいから上にのし上りたいと思っているのが透けて見える。
このクラスにいる者は皆、男爵がほとんどで少し子爵がいるだけだ。
子爵の者達は基本、俺に寄っては来ない。このクラスにいることが不本意であるらしく、真面目に勉強をしている。年に2度ある試験で結果を出せば、次の学年ではクラスが上がるかららしい。
俺のように、黙っていても次の王となるなんていう特典を持っていない奴らは大変そうだ。
片や男爵位の奴らはとにかく俺にすり寄ってくる。俺に気に入られれば城での仕事に就ける、もっと言えば俺の側近にもなれるかもしれないと思っているらしい。
実際、今俺に常について世話を焼くのが二人いるが、一人は男爵位であるにも関わらず、父親が騎士団の副団長の一人であるルッカーニ男爵の息子、ゼラフィーノ・ルッカーニ。
俺の護衛騎士よろしく常に俺の近辺を警護している。だが、残念ながら剣の実力は父親に似なかったらしい。
そしてもう一人はファビオ・ペッキア。父親は……なんだったか忘れた。ファビオはDクラスの中では一番頭がいい。俺が王になった暁には、サポートさせてくれと幾度となく頼んでくる。
二人とも勝手にやっていることなので、俺には関係ないし側近はすでにエルマンノとデュランがいるからいらない。まあ、今は便利だから何も言わないが。
どいつもこいつも、そもそも子爵男爵の爵位で何か要職に就きたいのであれば、相当努力をしなきゃ無理だろう。女たちにしてもそうだ。今は楽しませてもらっているが、側妃どころか愛妾にも考えていない。ただ、一人だけ気に入っている女はいる。
小さくて華奢で、オレンジ色の髪はフワフワしている。ヘーゼルカラーの瞳は常にキラキラしていて、なんというか小動物のようなのだ。ファブリツィア・ペッキア。ファビオ・ペッキアとは双子の兄妹だ。常にニコニコして俺を褒めてくれる彼女と一緒にいると気分がいい。
抱き心地はイマイチだが、愛妾にするくらいはアリかなと思わないでもない。それなのにだ。今はファブリツィアを抱いても満足できない。余計に中途半端な欲求が湧いてイライラする。
それがどうしてなのか、理由は自分でも理解している。
あのダンスの授業で、婚約者であるアリアンナの腰をつかんでからだ。あれからあの女を抱きたいという思いが俺の腹の中で渦巻いているからだ。細い腰もそうだが、弾力のある柔肌も首から肩にかけてのラインも良かった。それに細い腰には不似合いな胸の谷間。
見目が美しかったのは元から知っていた。だが、正直あの色合いが好きではなかった。冷たそうに見えるというか、無機質に見えていたのだ。だが今はそれがまたそそられる。
あの腰を思い切り掴んであの素晴らしい身体を思い通りにしたい。あの色のない身体に色を与えてみたい。そんな欲求ばかりが膨らむ。
婚約者なのだから思うまま自分のものにしてしまえばいいと思ってはいても、クラスが離れているせいで思うように動けない。ファビオを使って呼び出してみたが、拒絶を表すように先生を介して断られる。流石に俺自身が動くというのは納得がいかないので、他の女たちで気を紛らわせているが、どうにか出来ないものだろうか。
そう考え続けていたある日、ファビオが贈り物をするのはどうだろうかと提案してきた。
人を従えさせるには、飴と鞭の使い方が重要らしい。今までは興味がなかったから、ずっと無視していたからこそ、ここで彼女がグッとくるような贈り物をすると効果があるとファビオに言われ、それを実行することにした。
だが、何を贈ればいいのかなんて全くわからない。Dクラスの女たちに贈り物をされて嬉しいものは何かと聞いたら、目をキラキラさせて宝石だのドレスだのと言ってきた。だが、公爵令嬢である彼女にそんなものをやった所で感動なんてするはずがないと思う。
何を贈ればいいのか皆目見当もつかない俺は、兄上に聞いてみる事にした。
兄上は週に一度、父上の仕事の手伝いの為に城に戻る。その時に俺も城に帰るようにした。
「兄上、俺です。少し話をしたいのですがよろしいでしょうか?」
執務室の扉をノックする。するとすぐに返事が返ってきた。
「ダヴィデか?いいぞ、入れ」
同時に中から扉が開く。エルマンノが開けたようだ。兄上の横にはデュランもいた。
「仕事中にすみません、どうしても聞きたいことがあって……」
殊勝な態度で聞けば、兄上が笑顔になった。
「どうした?ここに来るなんて珍しいな」
「あの、女性に贈り物をしたいのですが、何を贈れば喜ばれますか?」
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