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罠、ですが
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「私宛?学園から?」
兄から手紙を受け取る。確かに私宛になっている。不思議に思いながらも封を切った。
「……」
黙って殿下に渡す。
「一体何が書いてあった?」
殿下がざっと目を通した。
「ヴィヴィの進級の事で相談があるそうだ。直接学園に来て欲しいと……一人で」
「……なんですか?その見え見えの手紙は」
ベニート様が殿下から手紙を受け取り読む。続いて兄も。
「……罠だな」
「ええ、そうですね」
「こんな子供騙しでか?」
「何がしたいのでしょう?」
皆、呆れ過ぎて語彙力が低下した。
「差出人は副学園長ですね」
「つまり、副学園長も光魔法にかかっているという事か」
「情けない……それにしても、何故そこまでしてエルダを排除しようとする?」
多分、私が攻略対象の面々と仲が良いからだろう。モブだし、この世界からいなくなっても差し支えないと思っている気がする。
「まあ、とりあえず行ってみます」
溜息と共に私が言えば、兄が困ったように笑う。
「それが一番手っ取り早いか」
「殿下、どこまでの攻撃なら許されますか?」
「そうだな。生徒はなるべく傷つけたくないが、先生は多少ならいいだろう。副学園長は死ななければいい」
「太っ腹ですね」
思わず笑ってしまう。
「王立の学園で、副学園長を務めている人間が、いくら光魔法とはいえ簡単に操られ過ぎだ。少しキツメの灸をすえてやった方がいい」
「ふふ、わかりました。では明日にでも行って参ります」
「ああ」
翌日、早速学園へと赴いた。
「申し訳ありませんねぇ。わざわざ来て頂いて」
私を迎え入れたのは、40代くらいの、細身の神経質そうな男だった。
「副学園長先生、ですよね」
「はい、そうです。昨年度から副学園長としてこちらに参りました」
「そうですか?それで?ヴィヴィアーナ王女殿下の進学について話があるそうですが、どういった事でしょう?」
「いや、なに。そんなに大変な事ではないのです。ま、先にお茶でも、どうぞ」
紅茶を出された。アールグレイの香しい香りが充満する。
「では、失礼して。いただきます」
一口コクンとさせる。
「話を戻しましょうか?何が、問題、なの、で……しょ」
頭が朦朧として言葉が紡げなくなる。そのまま、長ソファに横になってしまった。
「くふふ。薬が効いたようですね……それにしても……いい女ですねぇ。少し味見をしてから殺す事にしましょう」
そう言うと、おもむろに私に覆いかぶさる。脇から胸を通って首元まで、ゆっくりと撫でられた。
プチンと、詰まっている襟元のホックを外される。副学園長はハアハアと息を荒くしながら一つ一つ、丁寧にボタンを外していった。
「中のこの布が邪魔ですね。引き裂いてしまいましょう」
よだれを垂らしているんじゃないかというような荒い息遣いで、私のインナーに手を伸ばした瞬間、私はガッと彼の手首を掴んだ。
驚いた副学園長は、腕をブンブン振りながら手を外そうとするが、私の力にかなう訳がなく。そのまま副学園長の手首を軽く捻ってやった。
「ヒイッ」
そのまま拘束して天井に顔を向ける。
「どうだ?バッチリか?」
声を掛ければ音もなく、影が部屋に降りてきた。
「はい。映写いたしました。音声もバッチリでございます」
小さな魔道具を持ってニコリとした影は、そのまま再び上へと上がる。
「私はこちらを持って城に戻ります」
「ああ、頼む」
「おのれ、一人で来たのではなかったのか!?」
副学園長が私の拘束から逃れようと、暴れながら叫んだ。
「一人で来たが?」
「今、もう一人いたじゃないか!」
「ああ、あれはずっと学園に潜んでいたぞ」
「なに!?」
副学園長の顔が真っ青になった。
「ふふ。さあ、まずは地下牢へと案内してやろう」
兄から手紙を受け取る。確かに私宛になっている。不思議に思いながらも封を切った。
「……」
黙って殿下に渡す。
「一体何が書いてあった?」
殿下がざっと目を通した。
「ヴィヴィの進級の事で相談があるそうだ。直接学園に来て欲しいと……一人で」
「……なんですか?その見え見えの手紙は」
ベニート様が殿下から手紙を受け取り読む。続いて兄も。
「……罠だな」
「ええ、そうですね」
「こんな子供騙しでか?」
「何がしたいのでしょう?」
皆、呆れ過ぎて語彙力が低下した。
「差出人は副学園長ですね」
「つまり、副学園長も光魔法にかかっているという事か」
「情けない……それにしても、何故そこまでしてエルダを排除しようとする?」
多分、私が攻略対象の面々と仲が良いからだろう。モブだし、この世界からいなくなっても差し支えないと思っている気がする。
「まあ、とりあえず行ってみます」
溜息と共に私が言えば、兄が困ったように笑う。
「それが一番手っ取り早いか」
「殿下、どこまでの攻撃なら許されますか?」
「そうだな。生徒はなるべく傷つけたくないが、先生は多少ならいいだろう。副学園長は死ななければいい」
「太っ腹ですね」
思わず笑ってしまう。
「王立の学園で、副学園長を務めている人間が、いくら光魔法とはいえ簡単に操られ過ぎだ。少しキツメの灸をすえてやった方がいい」
「ふふ、わかりました。では明日にでも行って参ります」
「ああ」
翌日、早速学園へと赴いた。
「申し訳ありませんねぇ。わざわざ来て頂いて」
私を迎え入れたのは、40代くらいの、細身の神経質そうな男だった。
「副学園長先生、ですよね」
「はい、そうです。昨年度から副学園長としてこちらに参りました」
「そうですか?それで?ヴィヴィアーナ王女殿下の進学について話があるそうですが、どういった事でしょう?」
「いや、なに。そんなに大変な事ではないのです。ま、先にお茶でも、どうぞ」
紅茶を出された。アールグレイの香しい香りが充満する。
「では、失礼して。いただきます」
一口コクンとさせる。
「話を戻しましょうか?何が、問題、なの、で……しょ」
頭が朦朧として言葉が紡げなくなる。そのまま、長ソファに横になってしまった。
「くふふ。薬が効いたようですね……それにしても……いい女ですねぇ。少し味見をしてから殺す事にしましょう」
そう言うと、おもむろに私に覆いかぶさる。脇から胸を通って首元まで、ゆっくりと撫でられた。
プチンと、詰まっている襟元のホックを外される。副学園長はハアハアと息を荒くしながら一つ一つ、丁寧にボタンを外していった。
「中のこの布が邪魔ですね。引き裂いてしまいましょう」
よだれを垂らしているんじゃないかというような荒い息遣いで、私のインナーに手を伸ばした瞬間、私はガッと彼の手首を掴んだ。
驚いた副学園長は、腕をブンブン振りながら手を外そうとするが、私の力にかなう訳がなく。そのまま副学園長の手首を軽く捻ってやった。
「ヒイッ」
そのまま拘束して天井に顔を向ける。
「どうだ?バッチリか?」
声を掛ければ音もなく、影が部屋に降りてきた。
「はい。映写いたしました。音声もバッチリでございます」
小さな魔道具を持ってニコリとした影は、そのまま再び上へと上がる。
「私はこちらを持って城に戻ります」
「ああ、頼む」
「おのれ、一人で来たのではなかったのか!?」
副学園長が私の拘束から逃れようと、暴れながら叫んだ。
「一人で来たが?」
「今、もう一人いたじゃないか!」
「ああ、あれはずっと学園に潜んでいたぞ」
「なに!?」
副学園長の顔が真っ青になった。
「ふふ。さあ、まずは地下牢へと案内してやろう」
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