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数人の男たちに囲まれる。風体からして暗殺を請け負う集団のようだ。こんな昼日中に城の中、しかも騎士団棟のすぐ近くにまで潜入されたという事は、誰か手引きした者がいるとみて間違いはないだろう。
「6人か……」
私は大きく溜息を吐く。一人の男が溜息を吐く私を見て、唯一見えている目を三日月のように細めた。
「どうした?人数が多すぎてビビっているのか?」
他の男たちも、どうやらニヤついているようだ。
「はあぁ、逆だ。見くびられたものだとがっかりしていたんだ」
「なんだと!?」
「当たり前だろ。仮にも王国騎士団の副団長だぞ。こんな少人数にやられるわけがないだろう」
私のセリフに明らかに激高した男たち。
「虚勢を張りやがって……ああ。いい事を思いついた。おまえをこの場で組み敷いて、慰み者にしてやるよ。俺たち全員でな。なんならそこの騎士団の連中も呼んで見てもらうか?」
ぎらついた目で私の全身を見ながらガハハと下品に笑う。気持ち悪いな。
「はっ、なんでもいいから。そうしたいのならとっととかかってこい」
わざと挑発してやれば、すぐにいきり立つ。チョロい。
「このアマ!」
私を慰み者にすると宣言した男が、我先にと向かってきた。
最近、イラつくことが少なくなかった私は、久々の実戦に気持ちが昂る。
刀を逆手で握り少しだけ姿勢を低くする。抜刀と共に、向かって来た男を切る。威力は抑えているし、死んではいないだろう。私に一太刀でやられた仲間を見た他の連中は、流石に私を警戒し出した。男たちが一斉に距離を取る。
瞬間、背後から何かが飛んできた。身を翻して避ける。投げナイフだった。後ろは振り返らずに空間魔法でクナイを取り出し、ナイフが飛んできた方向へ投げた。ずぶりという肉にめり込んだ音と共に、うっという呻き声が聞こえた。殺ってしまったか?
私が口だけではないと理解した残りの男たちは、一斉攻撃を仕掛けてきた。四方からの攻撃にニヤリとしてしまう。刀を抜いてしまった私は、自分でも止められない高揚感を感じてしまっていた。
決着はものの数分でついた。
「だから少なすぎると言っただろう」
一人ごちりながら拘束魔法で簀巻き状態にする。舌を噛んで勝手に死なれては困るので、拘束魔法に少し展開を変えて、口を開けたまま固定させた。これで自殺する術すらないだろう。涎が凄そうだが。
そのまま騎士棟へ行き部下たちにこいつらを任せる。事情を聴くのは少し後だ。
「参ったな……」
久々の実戦だったせいだったのと、呆気なく終わってしまった物足りなさで、高揚感が収まらない。
「父様か兄様を探さないと」
大抵はどちらかに抱きしめてもらうと、鎮まるのだ。クラクラしながらも城へと向かう。
「こういう時に限って……」
思わず舌打ちするが、逃げ場はなかった。向こうも私に気付いたのか歩みを止めた。動揺しているようだ。
「エルダ……」
呟いた声が震えていたのは気のせいだと思おう。
「申し訳ありませんが、兄は何処に?」
ふらつく私を慌てて支えた王太子殿下。
「血の匂いがする。まさか!?誰かにやられたのか?」
途端に顔色が変わった殿下は私の身体をあちこち見て、血の出所を探す。
「違います……敵の血です。早く、兄に、抱きしめて、もらわなければ」
段々、息が荒くなってくる。身体が熱い。
「何故エッツィオに抱きしめてもらう必要がある?エッツィオに抱きしめられるとどうなると言うんだ?」
コイツ、面倒くさい。とっとと兄を呼んでくれればいいのに。
「はあぁ」
熱っぽい溜息が出てしまう。殿下がビクリとしたのがわかった。
「高揚感、止まらない。兄様、抱きしめて」
瞬間、ふわりと身体が浮いた。どうやら抱き上げられたらしい。私を抱いた殿下は凄い速さで移動した。兄の所へ連れて行ってくれるようだ。
バタンと勢いよく扉を蹴って入った部屋は、どう見ても執務室ではなかった。
「兄様、は?」
降ろされた私は、言葉を紡ぐより早く、殿下に抱きしめられてしまった。
「6人か……」
私は大きく溜息を吐く。一人の男が溜息を吐く私を見て、唯一見えている目を三日月のように細めた。
「どうした?人数が多すぎてビビっているのか?」
他の男たちも、どうやらニヤついているようだ。
「はあぁ、逆だ。見くびられたものだとがっかりしていたんだ」
「なんだと!?」
「当たり前だろ。仮にも王国騎士団の副団長だぞ。こんな少人数にやられるわけがないだろう」
私のセリフに明らかに激高した男たち。
「虚勢を張りやがって……ああ。いい事を思いついた。おまえをこの場で組み敷いて、慰み者にしてやるよ。俺たち全員でな。なんならそこの騎士団の連中も呼んで見てもらうか?」
ぎらついた目で私の全身を見ながらガハハと下品に笑う。気持ち悪いな。
「はっ、なんでもいいから。そうしたいのならとっととかかってこい」
わざと挑発してやれば、すぐにいきり立つ。チョロい。
「このアマ!」
私を慰み者にすると宣言した男が、我先にと向かってきた。
最近、イラつくことが少なくなかった私は、久々の実戦に気持ちが昂る。
刀を逆手で握り少しだけ姿勢を低くする。抜刀と共に、向かって来た男を切る。威力は抑えているし、死んではいないだろう。私に一太刀でやられた仲間を見た他の連中は、流石に私を警戒し出した。男たちが一斉に距離を取る。
瞬間、背後から何かが飛んできた。身を翻して避ける。投げナイフだった。後ろは振り返らずに空間魔法でクナイを取り出し、ナイフが飛んできた方向へ投げた。ずぶりという肉にめり込んだ音と共に、うっという呻き声が聞こえた。殺ってしまったか?
私が口だけではないと理解した残りの男たちは、一斉攻撃を仕掛けてきた。四方からの攻撃にニヤリとしてしまう。刀を抜いてしまった私は、自分でも止められない高揚感を感じてしまっていた。
決着はものの数分でついた。
「だから少なすぎると言っただろう」
一人ごちりながら拘束魔法で簀巻き状態にする。舌を噛んで勝手に死なれては困るので、拘束魔法に少し展開を変えて、口を開けたまま固定させた。これで自殺する術すらないだろう。涎が凄そうだが。
そのまま騎士棟へ行き部下たちにこいつらを任せる。事情を聴くのは少し後だ。
「参ったな……」
久々の実戦だったせいだったのと、呆気なく終わってしまった物足りなさで、高揚感が収まらない。
「父様か兄様を探さないと」
大抵はどちらかに抱きしめてもらうと、鎮まるのだ。クラクラしながらも城へと向かう。
「こういう時に限って……」
思わず舌打ちするが、逃げ場はなかった。向こうも私に気付いたのか歩みを止めた。動揺しているようだ。
「エルダ……」
呟いた声が震えていたのは気のせいだと思おう。
「申し訳ありませんが、兄は何処に?」
ふらつく私を慌てて支えた王太子殿下。
「血の匂いがする。まさか!?誰かにやられたのか?」
途端に顔色が変わった殿下は私の身体をあちこち見て、血の出所を探す。
「違います……敵の血です。早く、兄に、抱きしめて、もらわなければ」
段々、息が荒くなってくる。身体が熱い。
「何故エッツィオに抱きしめてもらう必要がある?エッツィオに抱きしめられるとどうなると言うんだ?」
コイツ、面倒くさい。とっとと兄を呼んでくれればいいのに。
「はあぁ」
熱っぽい溜息が出てしまう。殿下がビクリとしたのがわかった。
「高揚感、止まらない。兄様、抱きしめて」
瞬間、ふわりと身体が浮いた。どうやら抱き上げられたらしい。私を抱いた殿下は凄い速さで移動した。兄の所へ連れて行ってくれるようだ。
バタンと勢いよく扉を蹴って入った部屋は、どう見ても執務室ではなかった。
「兄様、は?」
降ろされた私は、言葉を紡ぐより早く、殿下に抱きしめられてしまった。
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