悪役令嬢の護衛騎士というモブになったが様子がおかしい

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攻略対象者2

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 学園の馬車乗り場でヴィヴィアーナ殿下を待つ。しばらくすると、向こうからヴィヴィアーナ殿下が走ってきた。
「エルダ!」
「ヴィヴィ様」
迷わず私の懐に飛び込むヴィヴィアーナ殿下。めちゃくちゃ可愛い。

「ねえ、約束は覚えている?」
「はい、勿論です。ほら、あの通り」
背後を指差す。
「本当だわ。嬉しい」

後ろには馬車ではなく、私の愛馬が待っていた。今日は馬車ではなく、私と馬で帰りたいと言われたのだ。本来であれば、防衛上の理由で馬車が必須なのだが、結界を張る事を条件に国王様には許可を頂けた。

「少し回り道をして帰りましょう。どうせなら景色のいい所を通って」
「本当に?嬉しいわ。エルダ、大好き」
学園に通うようになってしばらく経つが、今の所、ヴィヴィアーナ殿下が悪役令嬢になる気配はない。影からの報告で、ヒロインらしき人物はいるのだが、そもそも誰の婚約者でもない殿下には彼女と絡む理由がない。

「そろそろ参りましょうか?」
殿下を馬に乗せようとしたその時、後ろから声がかかった。

「ヴィヴィアーナ殿下」
殿下と共に声の方へ振り返る。年の頃は殿下と同じ位、銀の髪をした綺麗な少年が声を掛けてきた。
「もう帰るのですか?」
サファイアブルーの瞳がじっと殿下を見ていた。

『攻略対象者だ』
彼はミケーレ・ラウレリーニ。ゲームではヴィヴィアーナ殿下の婚約者だった人物だ。

「ええ。今日は彼女の馬に乗せてもらって帰るのよ」
満面の笑みで答える殿下を見て、ミケーレ様がほんのり頬を染めたのを私は見逃さなかった。もしかしたら彼は少なからず、殿下の事を想っているのかもしれない。その考えが確信であるとすぐにわかる。

「その女性騎士と、ですか?」
睨まれてしまった。焼き餅を焼いているようだ。しかし、殿下は全く気付いていない。

「そうよ。エルダは私の護衛騎士なの。とっても強くてカッコイイの」
どんどん表情が険しくなるミケーレ様に微笑ましく思いながら騎士の礼を取る。
「エルダ・ウルヴァリーニと申します。ヴィヴィアーナ殿下の護衛騎士を務めさせていただいております」

「ウルヴァリーニ……もしかして、国王陛下と王太子殿下の側近の?」
ミケーレ様のサファイアブルーの瞳がキラキラし出した。
「父と兄ですね」
「凄い!お二人とも鬼神の如く強い方々ですよね。もしかして貴女も?」

「ええ、そうよ。エルダは刀という皆とは違う剣を使って戦うの。とっても強いのよ。騎士団の副団長の一人になるくらい」
ヴィヴィアーナ殿下が興奮気味で答えた。この答えはミケーレ様には満足のいく答えだったようだ。

「女性で副団長だなんて。凄いですね!僕も強くなりたくて剣の稽古をしているんですが、なかなか思うようにいかなくて……あの、どうしたら強くなれますか?あ、すみません、名乗りもしないで。僕はミケーレ・ラウレリーニと申します」
うっ。ヤバい、可愛いのが増えた。15歳にしては細い中性的な彼は、多分、体力的にまだ拙い部分があるのだろう。

「そうですね。ミケーレ様とお呼びしても?」
コクコクと頷く彼に笑顔を向ける。
「ミケーレ様はきっと今、成長期の最中なのでしょう。無理に筋肉をつけようとするのは身体に負担がかかりますから、まずは体幹を鍛える事をお勧めします。体幹がしっかりしていれば、剣を持ってもブレる事はありません。何においても体幹を鍛えるのが最も大切な事なのです」

「体幹……わかりました。ありがとうございました。参考になりました。あの、また色々聞いてもいいですか?」
「はい、私で分かる事でしたら喜んで」
笑顔で答えれば、とっても嬉しそうな顔をした。これで本当に15歳なのか、そう思ってしまう程可愛かった。

「ふふふ、ミケーレ様、良かったわね」
隣でヴィヴィアーナ殿下も嬉しそうに笑っている。

そんな時だった。
「ミケーレ様、見つけた!」
後ろからまたもや声が聞こえた。
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