3 / 4
奇妙で安全な空間
しおりを挟む
ここは・・・どこだ・・・?
色々な音が聞こえる。ただそれは体内に響いてくるような、聴覚で聴いている感覚とはまた違う何かだ。話し声のように聞こえる瞬間もあれば、ただの環境音のような瞬間もあり、それが何なのか、よくわからない。特に不快な訳ではないが、何かわからないものが自分の周りを取り囲むのはあまりいい気分ではない。例えそれが自分の命を脅かすものであったとしても、その正体を知っているかそうでないかは精神的な差が大きい。
俺は今二メートル四方程度の空間の中にいる。中を歩く事はできて、その面に触れる事も寝転がる事もできる。それは透過しているから中は明るいが、外が全て見えるほどの透明度はない。だが遠くに赤や青や白の何かが見えるような気がする。その壁はぷよぷよしていて指で突くと一瞬へこんですぐに戻る。この空間は暑くも冷たくもなく、適度な温度湿度が保たれていて、過ごしやすい。ただ、閉所だ。しかも周りの状況が何もわからない。ただ、ひと所にいるのではなく、この部屋と言うか空間と言うか、それごと移動しているようにも感じる。明るくなったり、暗くなったり、バウンスしたり、大きな音、小さな音、色々な音が響いたり、遠かったりするのは移動しているから、そう言われれば何となく腹落ちはする。変幻自在のこの空間は所により、へこんだり、伸びたり、縮んだりしているようだ。その度に俺の体も同じように変化し、程なくして何事もなかったかのように元に戻る。ぷよぷよとしていて、透明感がある。まるでクラゲのようだ。毒があるから本来はこんなに触る事は叶わないが、触れないそれはこんな感じだろうと思っていた。見ている分にも彼らが泳いでいる姿は伸びたり縮んだりしていた気がする。
命の危機を感じる訳ではないが、何とも奇妙だ。ただ、自分で脱出するにも何が何だかわからないのではどうにもならない。もう暫く、この方舟に乗って状況を確かめるしかないだろう。時折、楽しげな音楽のような、話し声のような、そんな何かが聞こえる。それは呼びかけられているような、そうでないような、不思議な感覚だ。
俺を包んでいるこの壁はすぐに再生するし、自分が出る程の穴を作る前に再生に巻き込まれて壁の一部になってしまいそうだ。一度指で穴を開けて拳を入れてみるも、二、三秒で再生した。穴を開けるのは予想通り無理そうだ。
とりあえず一度立ち上がってその場でぴょんと跳んでみた。もしかすると着地した瞬間に空間が切り替わるとか、底が抜けるとか、何かのスイッチが入るとかがあるかもしれないと思ったが、思った通りに思い違いだった。何も起こらない。これはここから出てどうこう、と言う線は無理そうだ。それからしばらくの間、ふと思いつくような方法を手当たり次第に色々と試してみたものの、その空間が姿を変える事も、何かヒントをくれたりする事もなかった。何もできずにもはやゴロゴロしていると、もういいかと言う気分にもなってきて、いつの間にか眠ってしまっていた。
「ぅうわぁ!」
恐ろしい夢を見た気がして、声を上げて飛び起きる。ただそこはうとうとと寝落ちする瞬間まで過ごしていた心地よい何かで出来ている空間の中だ。この中にいる限りは特に身の危険はない。よっぽど夢の方が攻撃的だった。とは言え、起きて仕舞えばそれが何だったか覚えていやしないが、飛び起きる程の衝撃だった事は確かだ。
改めてキョロキョロとしてみると、この中はシーンとしている。自分の声がこだまする事さえない。この空間の壁となっているぷよぷよしたものに吸音作用があるのかもしれない。叫んだって全然音が広がらない。それでも外からの音は時折聞こえてくる。微かにではあるものの、水が流れるような音や同じリズムで鳴る低い音。まるで心臓音のような、そんな音が遠くで鳴っている。それに耳をすませば心地よく落ち着く。ともすると、何かに食べられでもしてしまったのだろうか。かつて読んだ童話に鯨の腹の中で暮らすような話があったような気がする。いる訳もないのに、もしかしたらその童話のように先住民がいるかもしれない。そんなイタズラな考えが脳裏をよぎる。
「おーい。誰かいますか・・・?」
宛がある訳でもないが、とりあえず呼びかけてみる。何せ暇なのだ。それでも何の返事もないし、空間に変化が起きた様子もない。やはり先住民はいなさそうだった。とりあえず俺はここから出られないから、もしいたとしても交流は難しいが、それでも脱出方法は一緒に考える事ができたかもしれない。確かあの時は潮吹きの潮に乗って外に吹き出されたんだっけ・・・、そんな事を考えるとこんな場所にひとりでも少し楽しかった。
気を取り直して、改めて手の届く範囲を触ったり押したりしてみるものの、特に感触に変化が出たようにも思えない。ただ、気のせいだろうか。ほんの少しだけ空間が小さくなったような気がする。そもそも空間の伸縮でさえ主観によるものだから思い違いなのかもしれない。
何が何だかよくわからないままに周りを見渡すとやはり空間がまた少し小さくなっている。今度ばかりは間違いない。立ち上がって頭が天井につく事はなかったのに、今は真っ直ぐ立つと頭がぷにぷにに食い込んでしまう。両手も広げられたはずなのに今やそれも無理そうだ。どうやらこの箱は時間をきっかけに少しずつ縮んでいる。
「おおおおおおおおい。誰か聞こえますか・・・?」
改めているかわからない誰かに呼びかけてみる。まあわかってはいたが、何の反応もない。暇でしょうがない俺は壁を構成している何かにいっそ頭を突っ込んで呼びかけてみたのだが、特に取り立てて何か起こったりはしなさそうだ。それは口に入るでも、肌にべっとり張り付くでもなく、形をその時々で自在に変えているようだった。真綿でくるむように包まれる事はあっても、それに取り込まれて分解されるような事もなさそうだ。
そして気づけばまた空間は小さくなっている。中腰で手を曲げた状態で壁を触れる位だろうか。座ってしまえば特に気にならないが、もう立って何かをするのは無理そうだ。これは最後に俺を包み込んで爆発でもするのだろうか。それとも箱のように上がパーンと開くとか。
わからない。
何よりも不思議なのが、空間が狭まっているにも関わらず、何の不都合もないのだ。あらゆる欲求のその一つも必要でない。眠くも食べたくもない。なのに心は落ち着いて晴れやかだ。閉所が落ち着くと言うのはなくもないかもしれない。ただ眠りもせず、食べもしないのはよくわからない。暇である事にも慣れてそれに順応していた。
時間が過ぎている感覚はあるものの、それがどれ程なのかの見当もつかない。
喜怒哀楽の感情でさえ、どれも一瞬浮かぶものの、そのすぐ後にふわっと消える。そしてまた穏やかな時間に戻る。そしてまた空間は縮んでいる。まだゆったりと座る事はできるものの、それも時間の問題かもしれない。それでも心は穏やかだ。
これは一種の死へのプロセスなのだろうか。
それならそうと、死神とかお迎えとか、何かしら人外でもいるのではないかと思ってもう一度その場から呼びかけてみる。どうせ反応はないだろう。まあそれでもいい。俺はまた狭くなったもはや空間というよりも箱のような大きさのクラゲ様の物体に体を預ける。ぷよぷよしていて、寄っ掛かるのに気持ちいい。心も穏やかだし、何の欲求もない。ただ心地よい温度で、それに包まれている。これはこれで正解だ。
その空間はとうとう体育座りで座る位の大きさにまで小さくなった。全体的にぷよぷよとしているので体が当たった所で痛い訳ではない。そして小さくなればなるほどより精神的に落ち着く。体は折り畳んでいるのに、全然辛くない。ぼーっと待っていればその時を心安らかに迎えられる気がする。それは体にくっつく程にまで縮んでいて、それはそれで心地よかった。もう、このままでいいのかもしれない。
するとその声は聞こえた。はっきりとまるで脳みそに直接呼びかけられたような、絶対に聞き逃す事が出来ない、そんな呼びかけだった。
「衝撃に備えてください。」
唐突に聞こえたその言葉が消えると同時に意識が飛ぶ程の衝撃を受け、瞬間に体を包んでいた何かが弾け飛んだ。そしてふっと意識は途絶えた。
色々な音が聞こえる。ただそれは体内に響いてくるような、聴覚で聴いている感覚とはまた違う何かだ。話し声のように聞こえる瞬間もあれば、ただの環境音のような瞬間もあり、それが何なのか、よくわからない。特に不快な訳ではないが、何かわからないものが自分の周りを取り囲むのはあまりいい気分ではない。例えそれが自分の命を脅かすものであったとしても、その正体を知っているかそうでないかは精神的な差が大きい。
俺は今二メートル四方程度の空間の中にいる。中を歩く事はできて、その面に触れる事も寝転がる事もできる。それは透過しているから中は明るいが、外が全て見えるほどの透明度はない。だが遠くに赤や青や白の何かが見えるような気がする。その壁はぷよぷよしていて指で突くと一瞬へこんですぐに戻る。この空間は暑くも冷たくもなく、適度な温度湿度が保たれていて、過ごしやすい。ただ、閉所だ。しかも周りの状況が何もわからない。ただ、ひと所にいるのではなく、この部屋と言うか空間と言うか、それごと移動しているようにも感じる。明るくなったり、暗くなったり、バウンスしたり、大きな音、小さな音、色々な音が響いたり、遠かったりするのは移動しているから、そう言われれば何となく腹落ちはする。変幻自在のこの空間は所により、へこんだり、伸びたり、縮んだりしているようだ。その度に俺の体も同じように変化し、程なくして何事もなかったかのように元に戻る。ぷよぷよとしていて、透明感がある。まるでクラゲのようだ。毒があるから本来はこんなに触る事は叶わないが、触れないそれはこんな感じだろうと思っていた。見ている分にも彼らが泳いでいる姿は伸びたり縮んだりしていた気がする。
命の危機を感じる訳ではないが、何とも奇妙だ。ただ、自分で脱出するにも何が何だかわからないのではどうにもならない。もう暫く、この方舟に乗って状況を確かめるしかないだろう。時折、楽しげな音楽のような、話し声のような、そんな何かが聞こえる。それは呼びかけられているような、そうでないような、不思議な感覚だ。
俺を包んでいるこの壁はすぐに再生するし、自分が出る程の穴を作る前に再生に巻き込まれて壁の一部になってしまいそうだ。一度指で穴を開けて拳を入れてみるも、二、三秒で再生した。穴を開けるのは予想通り無理そうだ。
とりあえず一度立ち上がってその場でぴょんと跳んでみた。もしかすると着地した瞬間に空間が切り替わるとか、底が抜けるとか、何かのスイッチが入るとかがあるかもしれないと思ったが、思った通りに思い違いだった。何も起こらない。これはここから出てどうこう、と言う線は無理そうだ。それからしばらくの間、ふと思いつくような方法を手当たり次第に色々と試してみたものの、その空間が姿を変える事も、何かヒントをくれたりする事もなかった。何もできずにもはやゴロゴロしていると、もういいかと言う気分にもなってきて、いつの間にか眠ってしまっていた。
「ぅうわぁ!」
恐ろしい夢を見た気がして、声を上げて飛び起きる。ただそこはうとうとと寝落ちする瞬間まで過ごしていた心地よい何かで出来ている空間の中だ。この中にいる限りは特に身の危険はない。よっぽど夢の方が攻撃的だった。とは言え、起きて仕舞えばそれが何だったか覚えていやしないが、飛び起きる程の衝撃だった事は確かだ。
改めてキョロキョロとしてみると、この中はシーンとしている。自分の声がこだまする事さえない。この空間の壁となっているぷよぷよしたものに吸音作用があるのかもしれない。叫んだって全然音が広がらない。それでも外からの音は時折聞こえてくる。微かにではあるものの、水が流れるような音や同じリズムで鳴る低い音。まるで心臓音のような、そんな音が遠くで鳴っている。それに耳をすませば心地よく落ち着く。ともすると、何かに食べられでもしてしまったのだろうか。かつて読んだ童話に鯨の腹の中で暮らすような話があったような気がする。いる訳もないのに、もしかしたらその童話のように先住民がいるかもしれない。そんなイタズラな考えが脳裏をよぎる。
「おーい。誰かいますか・・・?」
宛がある訳でもないが、とりあえず呼びかけてみる。何せ暇なのだ。それでも何の返事もないし、空間に変化が起きた様子もない。やはり先住民はいなさそうだった。とりあえず俺はここから出られないから、もしいたとしても交流は難しいが、それでも脱出方法は一緒に考える事ができたかもしれない。確かあの時は潮吹きの潮に乗って外に吹き出されたんだっけ・・・、そんな事を考えるとこんな場所にひとりでも少し楽しかった。
気を取り直して、改めて手の届く範囲を触ったり押したりしてみるものの、特に感触に変化が出たようにも思えない。ただ、気のせいだろうか。ほんの少しだけ空間が小さくなったような気がする。そもそも空間の伸縮でさえ主観によるものだから思い違いなのかもしれない。
何が何だかよくわからないままに周りを見渡すとやはり空間がまた少し小さくなっている。今度ばかりは間違いない。立ち上がって頭が天井につく事はなかったのに、今は真っ直ぐ立つと頭がぷにぷにに食い込んでしまう。両手も広げられたはずなのに今やそれも無理そうだ。どうやらこの箱は時間をきっかけに少しずつ縮んでいる。
「おおおおおおおおい。誰か聞こえますか・・・?」
改めているかわからない誰かに呼びかけてみる。まあわかってはいたが、何の反応もない。暇でしょうがない俺は壁を構成している何かにいっそ頭を突っ込んで呼びかけてみたのだが、特に取り立てて何か起こったりはしなさそうだ。それは口に入るでも、肌にべっとり張り付くでもなく、形をその時々で自在に変えているようだった。真綿でくるむように包まれる事はあっても、それに取り込まれて分解されるような事もなさそうだ。
そして気づけばまた空間は小さくなっている。中腰で手を曲げた状態で壁を触れる位だろうか。座ってしまえば特に気にならないが、もう立って何かをするのは無理そうだ。これは最後に俺を包み込んで爆発でもするのだろうか。それとも箱のように上がパーンと開くとか。
わからない。
何よりも不思議なのが、空間が狭まっているにも関わらず、何の不都合もないのだ。あらゆる欲求のその一つも必要でない。眠くも食べたくもない。なのに心は落ち着いて晴れやかだ。閉所が落ち着くと言うのはなくもないかもしれない。ただ眠りもせず、食べもしないのはよくわからない。暇である事にも慣れてそれに順応していた。
時間が過ぎている感覚はあるものの、それがどれ程なのかの見当もつかない。
喜怒哀楽の感情でさえ、どれも一瞬浮かぶものの、そのすぐ後にふわっと消える。そしてまた穏やかな時間に戻る。そしてまた空間は縮んでいる。まだゆったりと座る事はできるものの、それも時間の問題かもしれない。それでも心は穏やかだ。
これは一種の死へのプロセスなのだろうか。
それならそうと、死神とかお迎えとか、何かしら人外でもいるのではないかと思ってもう一度その場から呼びかけてみる。どうせ反応はないだろう。まあそれでもいい。俺はまた狭くなったもはや空間というよりも箱のような大きさのクラゲ様の物体に体を預ける。ぷよぷよしていて、寄っ掛かるのに気持ちいい。心も穏やかだし、何の欲求もない。ただ心地よい温度で、それに包まれている。これはこれで正解だ。
その空間はとうとう体育座りで座る位の大きさにまで小さくなった。全体的にぷよぷよとしているので体が当たった所で痛い訳ではない。そして小さくなればなるほどより精神的に落ち着く。体は折り畳んでいるのに、全然辛くない。ぼーっと待っていればその時を心安らかに迎えられる気がする。それは体にくっつく程にまで縮んでいて、それはそれで心地よかった。もう、このままでいいのかもしれない。
するとその声は聞こえた。はっきりとまるで脳みそに直接呼びかけられたような、絶対に聞き逃す事が出来ない、そんな呼びかけだった。
「衝撃に備えてください。」
唐突に聞こえたその言葉が消えると同時に意識が飛ぶ程の衝撃を受け、瞬間に体を包んでいた何かが弾け飛んだ。そしてふっと意識は途絶えた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
静寂の星
naomikoryo
SF
【★★★全7話+エピローグですので軽くお読みいただけます(^^)★★★】
深宇宙探査船《プロメテウス》は、未知の惑星へと不時着した。
そこは、異常なほど静寂に包まれた世界── 風もなく、虫の羽音すら聞こえない、完璧な沈黙の星 だった。
漂流した5人の宇宙飛行士たちは、救助を待ちながら惑星を探索する。
だが、次第に彼らは 「見えない何か」に監視されている という不気味な感覚に襲われる。
そしてある日、クルーのひとりが 跡形もなく消えた。
足跡も争った形跡もない。
ただ静かに、まるで 存在そのものが消されたかのように──。
「この星は“沈黙を守る”ために、我々を排除しているのか?」
音を発する者が次々と消えていく中、残されたクルーたちは 沈黙の星の正体 に迫る。
この惑星の静寂は、ただの自然現象ではなかった。
それは、惑星そのものの意志 だったのだ。
音を立てれば、存在を奪われる。
完全な沈黙の中で、彼らは生き延びることができるのか?
そして、最後に待ち受けるのは── 沈黙を破るか、沈黙に飲まれるかの選択 だった。
極限の静寂と恐怖が支配するSFサスペンス、開幕。
銀河辺境オセロット王国
kashiwagura
SF
少年“ソウヤ”と“ジヨウ”、“クロー”、少女“レイファ”は銀河系辺縁の大シラン帝国の3等級臣民である。4人は、大シラン帝国本星の衛星軌道上の人工衛星“絶対守護”で暮らしていた。
4人は3等級臣民街の大型ゲームセンターに集合した。人型兵器を操縦するチーム対戦型ネットワークゲーム大会の決勝戦に臨むためだった
4人以下のチームで出場できる大会にソウヤとジヨウ、クローの男3人で出場し、初回大会から3回連続で決勝進出していたが、優勝できなかった。
今回は、ジヨウの妹“レイファ”を加えて、4人で出場し、見事に優勝を手にしたのだった。
しかし、優勝者に待っていたのは、帝国軍への徴兵だった。見えない艦隊“幻影艦隊”との戦争に疲弊していた帝国は即戦力を求めて、賞金を餌にして才能のある若者を探し出していたのだ。
幻影艦隊は電磁波、つまり光と反応しない物質ダークマターの暗黒種族が帝国に侵攻してきていた。
徴兵され、人型兵器のパイロットとして戦争に身を投じることになった4人だった。
しかし、それはある意味幸運であった。
以前からソウヤたち男3人は、隣国オセロット王国への亡命したいと考えていたのだ。そして軍隊に所属していれば、いずれチャンスが訪れるはずだからだ。
初陣はオセロット王国の軍事先端研究所の襲撃。そこで4人に、一生を左右する出会いが待っていた。
『星屑の狭間で』(チャレンジ・ミッション編)
トーマス・ライカー
SF
政・官・財・民・公・軍に拠って構成された複合巨大組織『運営推進委員会』が、超大規模なバーチャル体感サバイバル仮想空間・艦対戦ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』を企画・企図(きと)し、準備して開催(かいさい)に及んだ。
そのゲーム大会の1部を『運営推進委員会』にて一席を占める、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』として、順次(じゅんじ)に公開している。
アドル・エルクを含む20人は艦長役として選ばれ、それぞれがスタッフ・クルーを男女の芸能人の中から選抜して、軽巡宙艦に搭乗(とうじょう)して操り、ゲーム大会で奮闘する模様を撮影されて、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の中で出演者のコメント付きで紹介されている。
『運営推進本部』は、1ヶ月に1〜2回の頻度(ひんど)でチャレンジ・ミッションを発表し、それへの参加を強く推奨(すいしょう)している。
【『ディファイアント』共闘同盟】は基本方針として、総てのチャレンジ・ミッションには参加すると定めている。
本作はチャレンジ・ミッションに参加し、ミッションクリアを目指して奮闘(ふんとう)する彼らを描く…スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移(せんい)します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察(どうさつ)力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』と言う。
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語は始まります。

No.79【ショートショート】この世の果て~近い将来、絶対に起こるSFな話~
鉄生 裕
SF
人類が滅亡してから数世紀が経ち、地球上ではアンドロイドと”かつて人間だったもの”との対立が激化していた。
アンドロイドのアダムとイヴは、全ての真実が記された“この世の果て”を目指して旅を続ける。
Neo Tokyo Site 01:第二部「激突‼ 四大魔法少女+2‼ − Asura : The City of Madness −」
蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」で始まる……4人の「魔法少女」と、1人の「魔法を超えた『神の力』の使い手」……そして、もう1人……「『神』と戦う為に作られた『鎧』の着装者」の戦い。
様々な「異能力者」が存在し、10年前に富士山の噴火で日本の首都圏が壊滅した2020年代後半の平行世界。
1930年代の「霧社事件」の際に台湾より持ち出された「ある物」が回り回って、「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo Site01」の「九段」地区に有る事を突き止めた者達が、「それ」の奪還の為に動き始めるが……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる