1 / 4
はざまの世界とその番人
しおりを挟む
ふわりと心地よい風が通り抜け、快適な気温で、季節で言えば春の初めくらいだろうか。花々は咲き誇り、色とりどりの色が溢れる。様々な季節の花が一堂に咲き乱れ、その香りがその空間を埋め尽くしている。そんなまるで天国とも言えるような場所で、東ちあきは目を覚ました。
「いらっしゃぁい。何が気に食わなくて蝋燭捨てちゃったの?教えて?」
「・・・え・・・?私は確か、え・・・?ビル、のう、うえか・・・ら・・・。」
「そう。東ちあきさん。あなたはついさっき、数秒前に自死されました。詳細聞きたい?」
「わ・・・、私のな、名前・・・?え・・?私は死んだ・・・んですか?」
「そうとも言えるし、まだ、とも言えるよ。もし良ければあなたの話を聞かせてくれない?」
「わ、私の・・・はなし?・・・き、聞いてくれるんですか・・・?」
「もちろんっ!ようこそ、はざまの世界へ。僕はここの番人でジン。よろしくね!」
はざまの世界。
それは強い思いを持ったまま、寿命の蝋燭を折ってしまったもの、折れてしまったものを受け入れる場所。代々花の守護を受けたものが守ってきた世界。彼らは花呪いを掛けて、その傷を癒し、選択肢を与える。
ヒトが自分で人生を仕舞ってしまう時。その時に何かあれば違ったのかもしれない。何かあっても何も変わらなかったかもしれない。大いなるもののイタズラといえばそれまで。ヒトからすればほんの少しの可能性に、そうでない側からしたらほんの時の戯れに、それぞれの思いの中で何かひとつでも拾えるものがあるのなら、それはそれで悪くない。
そう、それは戯れ。
だから全てが与えられるとは限らない。奪われる事も思い通りにならない事ももちろんある。その可能性の方が多いかもしれない。
それでもあなたはその可能性に賭けたい?
もう全てを忘れて先の行くべき場所に焦がれる?
そんな思いがたくさんの花に込められた場所。
ここを守るのは花呪いを施す番人達。
全ての季節がここにあって、全ての花がここで咲く。永遠の時の中で。
「いらっしゃぁい。何が気に食わなくて蝋燭捨てちゃったの?教えて?」
「・・・え・・・?私は確か、え・・・?ビル、のう、うえか・・・ら・・・。」
「そう。東ちあきさん。あなたはついさっき、数秒前に自死されました。詳細聞きたい?」
「わ・・・、私のな、名前・・・?え・・?私は死んだ・・・んですか?」
「そうとも言えるし、まだ、とも言えるよ。もし良ければあなたの話を聞かせてくれない?」
「わ、私の・・・はなし?・・・き、聞いてくれるんですか・・・?」
「もちろんっ!ようこそ、はざまの世界へ。僕はここの番人でジン。よろしくね!」
はざまの世界。
それは強い思いを持ったまま、寿命の蝋燭を折ってしまったもの、折れてしまったものを受け入れる場所。代々花の守護を受けたものが守ってきた世界。彼らは花呪いを掛けて、その傷を癒し、選択肢を与える。
ヒトが自分で人生を仕舞ってしまう時。その時に何かあれば違ったのかもしれない。何かあっても何も変わらなかったかもしれない。大いなるもののイタズラといえばそれまで。ヒトからすればほんの少しの可能性に、そうでない側からしたらほんの時の戯れに、それぞれの思いの中で何かひとつでも拾えるものがあるのなら、それはそれで悪くない。
そう、それは戯れ。
だから全てが与えられるとは限らない。奪われる事も思い通りにならない事ももちろんある。その可能性の方が多いかもしれない。
それでもあなたはその可能性に賭けたい?
もう全てを忘れて先の行くべき場所に焦がれる?
そんな思いがたくさんの花に込められた場所。
ここを守るのは花呪いを施す番人達。
全ての季節がここにあって、全ての花がここで咲く。永遠の時の中で。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう
まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥
*****
僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。
僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】王太子妃の初恋
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。
王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。
しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。
そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。
★ざまぁはありません。
全話予約投稿済。
携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。
報告ありがとうございます。
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
他には何もいらない
ウリ坊
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した。
悪役令嬢のナタリア。
攻略対象のロイスに、昔から淡い恋心を抱いている。
ある日前世の記憶が戻り、自分が転生して悪役令嬢だと知り、ショックを受ける。
だが、記憶が戻っても、ロイスに対する恋心を捨てきれなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる