私、のんびり暮らしたいんです！

イディオス、嫉妬する

「お父さん、大好き！」


「俺もリアを愛しているぞ。」


「………………。」



リアは父親が来てから変わった。
俺のベッドが定位置だったのに、今では父親の膝の上が定位置だ。

俺には「大好き！」だなんて言わないのに、
父親には言っている。

無理に引き剥がして嫌われたら最悪だ。
リアに嫌われていては生きる意味などない。

魔導師団の訓練で八つ当たりをすることにした。



「これくらいでへばってどうする！！」


「無くなるギリギリまで魔力を使えっ！」


「次、かかってこい！！！」



八つ当たりしてもどうにもならないのは分かっている。
だけれど、八つ当たりでもしないともたないのだ。



「うげっ、なんか機嫌が悪いみたいだぜ。」


「鮮血の戦乙女達が城に来てからだよな？」


「両親にベッタリな番を見て嫉妬、だとよ。」


「両親くらいならいいじゃねえか。殿下は心が狭いなあ。」



ギロッ



「「「ひいっ！」」」



たとえ両親だとしても、男の側には一時もいさせたくない。
たとえ両親だとしても、愛の言葉を囁かれるのは私だけでいい。



「ねえ。」



ああ、この声はリアだ。



「リア！」



かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、
俺の愛しの番。
訓練の様子を見に来たのだろうか？
俺の勇姿を見ていただろうか？

その美しい瞳に他の男を写らせるのは嫌で、写るだけで気が狂いそうになるが、我慢だ。



「あのね、」


「なんだい？リアの望みなら何でも叶えてあげる。」


「あのね、今日はお父さんとお母さんと一緒に寝るの。
ソファーじゃなくて、ベッドを使っていいんだよってことを伝えに来たの。」


「え………。」



城に来てから毎日毎日俺の部屋のベッドで寝ていたのに？
一緒のベッドで寝ると我慢できないからと、自分はずっと我慢していたのに。



「え、な、何で？俺のこと、嫌い？」



嫌だ嫌だ嫌だ。
俺のことを嫌いにならないでくれ。
やっと見つけた番なんだ。
君のことだけを愛しているんだ。



「1日だけだよ？別にいいじゃん。」


「嫌だ。絶対に離さない。」



やっぱり他の人を見ないように、閉じ込めておけばよかったんだ。

リアの世話をするメイドも、扉の前で護衛している騎士も、天井で警護をしている暗殺者もいらない。
全て俺がその役目を担う。

着替えさせるのも、風呂に入らせるのも、全て全て俺がやる。



「………そんなに反対するならいいや。
お父さんとお母さんと寝るのは諦める。」



ああ、よかった。
思い直してくれたんだね、リア。

でもね、今日からは、



「一緒のベッドで寝よう？」



もう遠慮をするのは止める。
面倒なことが嫌いなら、俺が全ての世話をしてあげるから。



「他の人と一緒に寝るなんて考えないで。」










～作者から～
5万文字まであと1万文字くらい。
頑張って超えられるように頑張るぞ！