私、のんびり暮らしたいんです!

クロウ

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お披露目会2

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「アルバテス王国が国王の代理で参りました、
セルデバント・フォン・クローゼウスと申します。
此度は番を見つけられましたこと、お喜び申し上げます。」


「旅では丁重なおもてなしをしていただいたこと、
感謝する。是非、楽しんでいってくれ。」


「はっ、ありがたき言葉にございます。」



次々と人が挨拶をしてくる。
列を見る限り、まだまだ続きそうだ。



「バイスタフ王国の国王、ラツィオ・フォン・バイスタフでございます。
番の発見、誠に喜ばしい限りでざいます。」


「番が貴国で取れる魔石に興味があると言っていてな。
他の国でも魔石は取れるが、こんなに高品質な物が取れるなんてとのこと。
これからもよい関係を築いていきたい。」

「お誉めいただき、光栄でございます。」



長い長い長い!
最初は王族、皇族、上位貴族が挨拶に来るんだけど、
それだけでも数10人はいる。
その後ろには下級貴族の方々がぞろぞろと並んでいる。

食事をしたいんだが、挨拶をしているのに食べるわけにもいかないし。



「クロアキア帝国の皇帝、アルファロメオ・フォン・クロアキアでございます。
番様の発見、心よりお喜び申し上げます。」


「娘のエリザベータ・フォン・クロアキアですわ。
イディオス様に会うことができて、光栄です。
ご帰還になってから何度か貴方様を訪ねようとしたのですが、会えなくて残念でしたわ。」



むむむむ、何故かエリザベータさんに睨まれている。
もしかして、イオが好きだとか?
イケメンだしありえるかも。



「………次。」


「またお伺いしますね、イディオス様。」



いつもベッドでゴロゴロとしている私にとっては、
とても大変な時間です。
対応はイオがしてくれるとのことなので、ニコニコと笑顔でいればいいのです。










ああ、相も変わらずカッコいいイディオス様。
自称番さんは噂によると、田舎で暮らしていたらしい。
そんな田舎女がイディオス様の番なわけがない。

身分が高く、教養があり、美しい人物じゃないと隣に立つ資格はない。
私は皇族であるが故に、幼い頃から淑女教育を受けてきた。毎日毎日勉強をしていた。

臣下や町行く人々は私を美しいと言ってくる。
「貴女様よりも美しい人はいない。」
そう何度も言われて育ってきた。

自称番さんは確かに公爵令嬢で、百歩譲って美しいとしても、田舎で暮らしていて教養があるわけがない。

またお伺いすると言ったので、全員の挨拶が終わったらイディオス様の所に行かねば。
その時に自称番さんにきちんと勉学をしていなければ
答えられない質問をしよう。



「私、フロムナード王国の初代国王陛下の政治の手腕を尊敬しておりますの。
若い頃に即位して大変だったそうですけれど、
その時代はたいへん栄えたそうですわ。
貴女様は初代国王陛下以外でどんな人物を尊敬しておいで?」


「………特に?」


「まあ!他にも賢者とも呼ばれた方や魔物大暴走を止めた英雄がいるじゃない!
その方々は尊敬していないんですの?」


「…………。」


「こんなことも知らないなんて、王子妃が務まると思って?田舎に帰った方がよろしいんじゃないの?」



少し大きな声で話し、周りに自称番さんがどれだけ無知かを知らしめるためにどんな質問をしようか。
まだ時間はある。
ゆっくり考えるとしよう。










~作者から~
論破するシチュエーションもいいですけれど、
全員の挨拶が終わったら「疲れた。」とか言って
部屋に戻るのもいいですね。

これからも「私、のんびり暮らしたいんです!」を
よろしくお願いします!!
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