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クロウ

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神の祝福

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食堂にいた全ての人々が息をのんだ。
王族のみならず貴族は見目麗しい者が多いのだが、
セシリアはそれ以上。

美しいと単純な言葉しか出ないほど思考が固まり、
そんな言葉しか出なかった。



「イディオス、神の祝福を受けた子だとは聞いていなかったぞ。」


「聞かれていませんでしたからね。」


「減らず口を。」


「まあまあ、父上は神殿の干渉を心配してるんだよ。
そんな素っ気ない態度を取らないで。」


「ふふふふ、娘ができたみたいで嬉しいわあ。
ドレスを買わねば。」


「母上、今回の朝食でさえ無理に連れて来られたのです。今後は干渉をしないよう、お願いします。」


「…………。」


「あらあら、セシリアちゃんだったかしら?
先程から無言だけど緊張しているの?」


「セシリア、どうした?」


「………眠いの。」


「ああ、そうか、旅の疲れが取れきれてないのか。
じゃあ、部屋に戻ろうか。」



朝食がまだ始まってもいないのに去って行ってしまった。
近くにいた者に2人の食事は部屋へと運ぶように言う。



「ふふふふ、家族といえども男に会わせたくないのかしら?
夫は最近は束縛度が低くなってきたし、寂しいわあ。」


「ま、マーガレット……。」


「嘘よ、嘘。束縛が無くなろうと好きよ。」


「マーガレット!」


「……父上、母上、食事が配膳されてきました。
そろそろあちゃいちゃは慎むように。」


「あら、本当だわ。
貴方と一緒にいると時を忘れてしまう……。」


「マーガレット……。」


「父上、母上!!」


「ちょっとしたジョークじゃないの。
さ、食べましょうか。」










「美味しい?」


こくっ


「それはよかった。
これは南国で取れた甘い果実でね、庶民にも人気なんだ。」


「これ。」


「ああ、シャーベットだね。口を開けて。」



世の中の女性の憧れのシチュエーションでかる
あーんが王子の私室で展開されている。

あまりの甘ったるい光景に目をそらしたかなるのだが、
護衛上、そうもいかない。
目をそらしていては咄嗟に反応できないからだ。



「美味しい。
もっと食べたいけれど、満腹。」


「近くにいる使用人に頼めば、持ってきてくれるからね。いつでも言うといいよ。」


こくっ


「ああ、かわいいな。
仕事に行きたくなくなるよ。」


「駄目。」


「言うと思ってた。
じゃあ行くけれど部屋から出ないで。
出るとしても俺に報告をさせ、許可を貰ってから出ること。
誰が来ても扉を開ける許可を出さないこと。
分かった?」


こくっ


『くれぐれも人を部屋に入れたりしないように。
父上や母上、兄上でもだ。
もし入れたらどうなるか、分かってるよなあ?』



セシリア様にバレないようにと念話で念押しをされた。
最後の『分かってるよなあ?』はとても低い声で言われた。
人を室内に入れたら殺されるんじゃないか。
全力で死守することを決意した。










~作者から~
小説化するにはそれなりの文字数がないといけないんですよね。
10万文字を超えている方がいるのですが、
私には遠い道のり。

これからも頑張ります!!
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