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クロウ

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帝国の姫君達

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第2王子であるイディオス様が番を見つけ、城へと帰還したらしい。
協力してくれたことへの感謝の手紙と品と共に、そんな報告がされた。

彼女の国には番という存在がなかった。
政略結婚は当たり前で、王国みたいに愛し合う人と結婚するなんて夢のまた夢。
そもそも出会いの場と言えば社交界くらいしかない。
愛し合う人ができるなんてそもそもありえない。

だからこそ、自分の好みの容姿の男性と結婚したかった。

フロムナード王国の第2王子であるイディオス様と出会ったのは番探しの旅で我が国を訪れたとき。
人目見て、この人だと思った。
だからお父様に頼んで婚約者にしてもらおうとお願いしたのだが、断られた。

曰く、フロムナード王国には番というものがあり、
番としか愛し合えないし、子をなせないと。

私は国の中で1番美しいし、お母様を除いては、
女性の中では1番身分が高い。
誰よりもイディオス様に相応しい。
私こそが貴方様の番だとそう言うと、冷たい目で見られた。



「番は着飾ったからと変わるものではない。
その人だけを求め、その人だけしか見えなくなる。
そういうものだと兄上が仰っていた。
私は貴女にそういう感情は一切持っていない。」



何故、私ではないのか。
私よりも美しく、身分の高い者などいないだろうに。
私こそがイディオス様に相応しいのに。



「フロムナード王国に行くわよ。準備をなさい。」


「姫様。」


「何?何か文句があって?」


「……いえ、何でもありません。直ぐに出立の準備を致します。」



番に手を出して滅ぼされかけた国があるというのを
姫様は知らないのか。
そんな従者の思いは皇女には届かない。











カシャーン


「何ですって!?」


「フロムナード王国の第2王子であるイディオス様の番が見つかったそうだ。近々、お披露目をするとのこと。
明日には仕立て職人を呼ぶから、準備をしておきなさい。」


「私こそがイディオス様に相応しいのに!!
番はどこのどなたなの!?
まさか平民じゃないでしょうねっ!?」


「……ユークリット公爵家の嫡男と鮮血の戦乙女との間に生まれた子だそうだ。
王族の血が色濃く流れている証拠でもある黒の瞳らしいし、魔力量はかなりある。これ以上ない良縁だな。」


「私は認めないわ!
私こそがイディオス様に相応しいの!!」



そう言って執務室を去って行った。

初めての子だからと甘やかしたのがいけなかったのか、
傲慢な子に育ってしまった。
侯爵家であるがゆえに望んだことは大抵叶うという環境がいけなかったのか。
教育を間違えてしまった。

フロムナード王国は我が国よりも格上の大国。
その国の王子であるイディオス様の機嫌を損ねると、
外交問題になりかねない。
しかもこちらは公爵よりも爵位が1つ下の侯爵家。



「はあ、憂鬱だ。」



せめてお披露目会では常に側で目を光らせ、
粗相のないようにせねば。
心労で剥げてしまいそうだ。
そう思いながら、頭を擦った。










~作者から~
王子で見目が麗しいとなれば優良物件として女性に目をつけられてしまいますよね。
王族はきらびやかなイメージがありますが、影では大変な思いをしているそうな。

贅沢はしたいと思えども、大変な思いをするんじゃあねえ?

これからもお読みいただければ幸いです。
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