私、のんびり暮らしたいんです！

城へと帰還1

「イディオス、番が見つかってよかったなあ。」


「………。」


「一応、念話で王や王妃、王太子に話しておいた。」


「………。」


「駄目だ。これっぽっちも聞いちゃいない。」


「余所見をしているのに竜から落ちないなんてなあ。
流石、優秀と言われている第2王子だ。」


「………。」


「イオ、私、無視する人は嫌い。」


「えっ！？」


「最低限の返事はしないと。」


「分かった！分かったから、嫌いなんて言わないでくれ。リアに嫌われたら生きていけない。」



「無視する人は嫌い。」と言われた。
ああ、無視しないから、最低限の返事だけはするから
嫌いなんて言わないでくれ。



「ん、ならいい。」



寄りかかったかと思ったら、寝息が聞こえてきた。
どうやら、寝てしまったようだ。
寝ていても周囲の動きに敏感なようだから、
会話は念話でしよう。

それにしても、可愛い。
すっぽりと収まるサイズは小動物みたい。
髪は村で長年生活していたとは思えないほど清潔で、
しっかりと手入れがされている。
指を入れれば絡まることなく、スーっと手が通る。

見つかる前は番はいないと諦めていたけれど、
いざ手にしてみると、必要不可欠の者だと認識する。
なくてはならない存在。
幼い頃から何事にも執着心がわかなかったのは、こういうことか。
番が側にいないと落ち着かなくて。
頭ではいなくてもとか思っていたけれど、本能では番を欲していたんだ。



『お前ら、こっちを見るなよ。』


『へいへい、分かってるって。
早速、過保護になってるなあ。　束縛しすぎると嫌われるぞ？』


『冗談でもそういうことを言うな！
本当に嫌われたらどうするんだ！？』


「んぅ……。」



ぐりぐりと頭を胸に押し付けてきた。



『かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、かわいい！！
言いつけ通り、最低限の会話はするからな。
仕事を辞めてずっと側にいたいけれど、それは父や兄も同じだからな。それは諦める。
ああ、それにしても、かわいすぎる。』


『うえっ、イディオスが壊れた。』


『……やっと番を見つけたんだ。目をつぶってさしあげろ。』


『アレクは目の毒とか思わないのか？』


『……俺も番には同じような行動を取っているからな。
イディオスだけを攻めるわけにはいくまい。』


『おおっ、そういや、久し振りの王都への帰還だなあ。
番はどうしてるんだろ？』










～作者から～
出来る限り文字数を多くしようと頑張っています！
ぐだぐだになっているかもしれません。
何か指摘があれば、感想で！！

今後ともよろしくお願いします！！