私、のんびり暮らしたいんです!

クロウ

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視察

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「はあ。」


「溜め息をつくな。イディオス様はれっきとした王族。
その御前で溜め息をつくとは、不敬にあたるぞ。」


「別にいい。俺だって溜め息をつきたい気分だ。
何年探しても番が見つからないんだ。
この中には番がいるものもいる。
早く愛しい者の所に帰りたいだろう?」


「私達は殿下に忠誠を誓っております!
貴方様の番を見つけるまで帰りませんと、王に宣言しました。
見つけてもいないのにかえれるわけがありません!
そんなことを言わないでください!
諦めたらそこで終わりですよ!?」


「……番を探すためにと何年旅したと思っている。
沢山の魔力を持つ者は他の者と比べ長寿とはいえ、
成人してから約30年も探したんだ。
もう死んでいるさ。」


「流石に生まれたてってことは無いですもんね。
50歳以上も歳が離れてるなんて前例が無いですし。
貴族にいないということは平民でしょうから寿命が短く、亡くなっているかもしれませんね。」



ゴンッ



「いってえ!」


「殿下、前例がないだけで番を探すのを諦めてしまうのですか?
貴方様がその前例かもしれないではないですか。」


「……期待しないでおこう。」










「事前の通達で伝えられたかと思うが、我々は第2王子殿下の番を見つけるために旅をしている。
広場に女性を年齢に関わらず、召集してほしい。」


「は、はい。」



走って去って行った村人。
威圧感を与えないよう15人だけしか騎士を伴っていないのだが、それでも与えてしまったらしい。
終始おどおどとしていた。

女性全員が召集されたのは15分くらいが経ってからだった。

化粧をしていることからそのせいで準備がかかったのだと思われる。
化粧をしたり、着飾ったりしようが番というものは変わらない。



「ふむ。」



見渡すが番はいなかった。
番は一目見ればこの人だ!というのが分かるらしい。
兄は「番って言うのは一目見ただけで分かるもんだ。
見つけた途端、その人だけのことしか考えられなくなる。」と言っていた。



「で、殿下、どうですか?」



期待を込めた目でこちらを見てくる騎士。



「いつも通りだ。
後は予定通り、3日だけ滞在をする。」


「視察、ですか。」


「森の近くだからな。魔物による被害があるだろう。」


「畏まりました。
各自荷物に袋に入れているだろうから、部屋を確認した後は解散ということで。」


「かまわない。」



今回の村でも番を見つけることができなかった。
過去に番見つけられなかった者がいたらしいのだが、
最終的には発狂し、衰弱し、亡くなったらしい。

自分は王族であるが故に幼い頃から発狂したりしないよう精神の訓練をしていたが、それもいつまでもつか分からない。



「はあ……。」



王都になんか戻りたくない。
父と母のイチャイチャっぷりを見せつけられるから。
番がいまだに見つからない自分には目の毒だ。
兄とも会いたくない。
成人しないうちに番を見つけられたなんて、
嫉妬で狂いそうだ。

考えても仕方がないので寝ることにした。










~作者から~
王子とセシリアの出会いをどういう風にするかを迷っています。
セシリアは引きこもりなため、出会える機会なんて全くと言っていいほど無いですし。

頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いします!!
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