竜人の溺愛

クロウ

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公開訓練1

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 ついに公開訓練の日がやってきた。王妃・王太子妃・王子妃のフルコンプに女性はざわざわ男性は戦々恐々としている。もし何らかのアクシデントがあって素顔を見てしまうものなら、半殺しにされること間違いなしだ。


貴族向けのブースにはテーブルや椅子が設置してあり、
優雅に見ることが可能だ。お茶をするとベールが取れるため、番持ちはお茶を飲まない。




「王妃様と王太子妃様もイオを見に?」


「まあ!他人行儀な呼び方をしないで頂戴。私のことはお義母様と」


「私はお義姉様で」


「ではお言葉に甘えてそう呼ばせて頂きますね?」


「ええ」


「ほら、早速呼んでみて?」


「お義母様、お義姉様」


「ふふふふ、いいわあ!」


「2人目の娘ができて嬉しいわ」




 和やかに話す3人をバレないように見るレベッカ。扇で隠された口元は醜く歪んでいる。

調査により危険人物認定されているレベッカ。監視の目がついており、その様子もイディオスに報告される。




「(本来ならば私があのポジションにいるはずだったのに!!貴族の血を引いていない平民の癖に!!)」




番を見つけたイディオスの様子を見て、すり寄るのを止めた賢明な女もいる。親がまともで番を見つけた奴に近寄る危険性を説き、納得した令嬢もいれば納得しなかった令嬢もいる。後者の場合は屋敷に閉じ込めて対策していた。

セルバンテス家の当主はレベッカを溺愛しており、態度を諌めることなどない。なんならうちの娘の方がその地位にふさわしいのにとか思ってたりする。非常に危険だ。




「(お父様ならきっと良い手をうってくれるわ。何かを頼んで叶わなかったことなんて無いもの。イディオス様は絶対に平民なんかに渡してやらないんだから)」




 そもそもイディオスがレベッカのものになったことなど無い。渡す渡さないは物に対する扱いであり、人に対して使う表現ではない。




「本当に憎い」




 平民から貴族になったまでで我慢しておけば貴族のままでいられたのに。王族の仲間入りにと欲を出しすぎたせいで断罪される未来が着実に近づいていることをレベッカは気づかないでいた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「父上、今度の夜会で一騒動があります」


「………セルバンテス家は取り潰しレベルだな。娘を諌めないのはいただけない」


「勿論諌めない伯爵にも責はありますが、先ずは娘の方を処理いたします」


「あいわかった」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




その日の夜、王城の一室でそんな会話が行われていたのだった。










~作者から~
久し振りの更新です。遅れて申し訳ありません。
読んでくださると嬉しいです。
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